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あなんじゅぱす(Rooftop2017年11月号)

藤井貞和さんは「言葉にならない声」を聞き届けて詩を書かれる方

 
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 11月5日の公演(う/た)では、詩人の藤井貞和と共演する。初演は2015年、湘南国立大学という市民講座で、当時学長を務めていた故・和多田進(週刊金曜日の初代編集長)の主催で開催された。
 
よーこ:私はもともと藤井さんの詩が大好きで曲も作っていたんですが、和多田さんが「藤井さんに会いたい」と言ってくれたのがきっかけで湘南国立大学での共演ライブ(う/た)が実現しました。和多田さんは湘南国立大学開校のことばとしてガンジーの「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」を引用しているんですが、それを知った古賀茂明さんが2015年の3月に報道ステーションを降板する時、その言葉をフリップで出したんです。藤井さんもリベラルの人にすごく影響を与えている人なので、そういう部分で和多田さんは藤井さんと話したかったんじゃないかな。
 
 東京大学名誉教授の藤井貞和は『源氏物語論』など古典文学の研究家として有名だが、現代詩人としても数多くの詩集を出している。湾岸戦争の際には反戦詩を発表して芸術と社会の関わりについて激しい論争(湾岸戦争論)に発展した。
 
よーこ:藤井貞和さんは「言葉にならない声」を聞き届けて詩を書かれる方だと思うので、読み手としてもすごく心に響く朗読をなさるんです。朗読のCDも出されていて『パンダ来るな』ってタイトルなんですけど、これがまた最高なんです。本当に超オススメなので、藤井さんのことを知らない人も是非聞きに来て欲しいんです。
 
 そして12月3日には代表作である幻灯演奏会「夜の江ノ電」を再演する。写真家・田中流の200枚ほどの幻灯写真のスライドを投影しながら、田村隆一の「夜の江ノ電」を中心に萩原朔太郎「旅上」、寺山修二「ロング・グッドバイ」、谷川俊太郎「新しい荒野-アポロ11-」など13曲のあなんじゅぱすの曲で構成される。構成演出は、五反田団主宰の前田司郎が務めている。
 
よーこ:これはもう鉄板です!(笑) 当初は、田中流さんの写真とあなんじゅぱすの歌をどう合わせるのかがすごく難しくて、これは演出家に頼むしかないと思って、当時まだそれほど忙しくなかった前田さんにお願いしたんです。それで朝から夜までというコンセプトで写真と曲をチョイスしてくれたんですが、本番の日はライブハウスの椅子の角度まで前田さんが調整してくれました(笑)。初演以来、すごく好評で、東京、横浜、さいたま、福岡の劇場や、室蘭のホスピス、富良野では知的障害のある子どもたち向けのコンサートなど、様々な場所で再演を重ねて、2004年にイタリア・ローマの劇場でも上演されました。
 
 よーこは詩を歌にして演奏することは「ひとつの共通の時間軸の中で、お客さんと演奏家が楽しめる」共通体験だと言う。
 
よーこ:なんで朗読というジャンルがあるのか? 書いた本人が読むから価値があるというのもあると思うけど、それだけじゃない。本を読むという行為は、読む人が同じ箇所を読み返したりそれぞれが自由に読むことができるけど、朗読では時間と共に読んだ文章が消えていって、ますます謎が深まっていく。それは書かれた詩とは全く違うものになるんです。藤井さんの朗読を聴くとその必然性がよくわかります。
 
 
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あなんじゅぱす公演「夜の江ノ電」(2017年8月20日ネイキッドロフト)
 

Live info.

11月5日(日)夜の部
秋の夜長のあなんじゅぱす(う/た)
〜ことばをうたうバンド・あなんじゅぱす+詩人・藤井貞和
 
【出演】
あなんじゅぱす:ひらたよーこ(歌・キーボード)、大光ワタル(ドラム・トラック)
スペシャルゲスト:藤井貞和(朗読)
トークナビゲーター:上村陽子
【会場】Naked Loft
【内容】
ことばをうたうバンド・あなんじゅぱすの演奏と、詩人・藤井貞和の朗読で綴るひととき。ことば、奏でる、時間、一つになりました。
正岡子規の短歌から谷川俊太郎の現代詩まで100年の言葉を歌うバンドあなんじゅぱすが、藤井貞和の詩を特集して演奏します。スペシャルゲストは、「詩」「ことば」「声」「うた」を問い続けてきた詩人・藤井貞和。新詩集『美しい小弓を持って』他、自作詩を朗読します。
”詩の力はどこで保たれるか、その本性は「ことば」、あるいは「声」、または「うた」のひびきにどう向きあうか、詩そのものが仮にうたであってもよくて、共有できる「ことば」のひびきを尋ねて”(藤井貞和詩集「ことばのつえ、ことばのつえ」より)あなんじゅぱすと藤井貞和が新宿ネイキッドロフトに集います。
 
12月3日(日)昼夜二部公演
あなんじゅぱす幻灯演奏会『夜の江の電』
〜ことばをうたうバンド・あなんじゅぱす+写真家・田中流
 
【出演】
あなんじゅぱす:ひらたよーこ(歌・キーボード)、大光ワタル(ドラム・トラック)
写真:田中流
トークゲスト:枡野浩一(昼)、東直子(夜)
【構成演出】前田司郎
【会場】Naked Loft
【内容】
今夏に新宿ネイキッドロフトで上演された幻灯演奏会「夜の江の電」が、好評につき早くも再演決定です! 正岡子規の短歌から谷川俊太郎の現代詩まで100年の「ことばをうたう」バンド・あなんじゅぱすの代表作となります。A.ランボー、萩原朔太郎、寺山修司、田村隆一、谷川俊太郎、入沢康夫の詩がポップな歌になりました。田中流の200枚ほどの幻灯写真とともに演奏されます。前田司郎が構成演出し、2002年の初演で好評を博したこの作品は、東京、横浜、さいたま、福岡の劇場や、室蘭のホスピス、富良野で知的障害のある子どもたち向けのコンサートなど、様々の場所で再演を重ね、2004年にイタリア・ローマの劇場でも上演されました。ネイキッドロフトから出発する小さな電車の旅をお楽しみください。