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川奈まり子×徳光正行(Rooftop2017年10月号)

 怪談作家の恐宴「バンブーホラーナイト」の開催(10/5@阿佐ヶ谷ロフト、10/17@LOFT9)を記念して、実話に基づいた怪談本が大人気の川奈まり子さんと、無類の怪談好きである徳光正行さんの対談を決行! このお二人が並ぶということは、もちろんただの対談では終わりませんでした。イベントにひけを取らない恐怖体験の告白...お読みになる覚悟はいいですか...? (注)この対談を読んだあなたに奇妙な体験が起こっても、Rooftopは一切責任をとりません。

日常が非日常に変わった瞬間

徳光:川奈さんの作品は事件簿的に具体的な場所を記されているので、僕からするとそこに行ってみたいなって思うんですよ。

川奈:それはちょっと狙っています。みなさんに聖地巡礼をしていただけるといいな、と。でも、迷惑をかけちゃいけないのでなるべくぼかしているんですよ。わたしは取材で現地に行っているので番地まで知っているんですけど、そこに人がたくさん来て迷惑がかかってしまったり訴えられちゃう心配があるので。

徳光:怪談ファンの方ってすごく優しいので、そいういったルールって守ってくださいますよね。イベントで「実はこの話は鎌倉の○○なんだよ」とか言っちゃっても、そこに誰かが行って騒動を起こしちゃったとか聞いたことないですね。

川奈:有名な心霊スポットなら書いてもいいんですが、普通の住宅街の家だったりすると、もしかしたら分かっちゃうかな? と心配になることもあります。幸いばらされたことはないですが。

徳光:僕は岩井志麻子さんと「オメ☆コボシ」というイベントをやっていて、そこで芸能界の裏話もするんですが、それが表に出たことはないですね。もし出たら大変なことになってしまいますが(笑)。怪談のイベントに限らずロフトのお客さんって「秘密を共有したい」っていう思いが強いんだと思います。

川奈:わたしの場合はSNSで体験談を募集して、お話を伺って取材をして、それをネタにすることがあるんですけど、今回『実話奇譚 呪情』は24人の方を取材して、すごくたいへんだったんです。でも、それは岩井(志麻子)先生のせいなんです(笑)。

徳光:というのは?

川奈:3ヶ月前くらいに担当編集さんが「スケジュールがタイトだけど次の本を書いてみないか」って声をかけてくれたんですけど「あなたは1話1話がとても長いから、岩井先生の『現代百物語』のように短編を100までとはいかずとも修行と思って50までやってみたらどうか」って言われて、「修行」っていう言葉に惹かれて引き受けちゃったんです。でも、わたしはできるだけ現地に行きたいし、できれば対面で取材したくて、さらに、全く知らない人を取材したい。なので、作っている最中は「(引き受けたのは)失敗した」って何回も思いましたね(笑)。

徳光:僕の場合、取材は全部、飲みの席ですね。飲み屋で怖い話をしていると、カウンター越しにマスターとかお姉さんが結構入ってきて、「自分はこんな話知ってるよ」って教えてくれるんです。1冊目は心霊スポットを載せてたんですよ。でも、川奈さんを始めいろんな方の本を読んだときに、「自分の文章は心霊スポットだとパンチが弱いな」と思って。じゃあ個性を出すならなんだろう…と考えて、日常が非日常に変わった瞬間の奇妙な怪奇っぷりを書くことにしたんです。そのへんの住宅とか駅とか。あと、僕は全然霊感がないんですけど、霊が見える人の言葉を信じるスタンスなので、この人は嘘をついていないなと思った話を作品にしています。…あとね、やっぱりキ○ガイが好きなんですよ。サイコパス溢れる話が(笑)。

 

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共演した方がどんどん亡くなっていく…

徳光:ご自身は霊体験ってありますか?

川奈:霊体験があるとか霊感があるって言うとだいたいドン引きされるんですよ、この人やばい人だって。だから、ないって言いたいんですけど…本当はあります。

徳光:僕は基本的には全然ないんですけど、たまに変なことがあるんですよね。今、ホラー映画の脚本を書いているんですけど、書き終わった夜中の1時半くらいに実家から電話が来て、出たら切られちゃったんで寝ぼけてるのかなと思ってかけなおしたら、また切れちゃって。でも、ふと思ったらうちの母親って僕の電話番号を覚えていないから、携帯電話からしかかけて来たことないんですよ。おやじはその日、家にいなかったし。おかしいなと思って、翌朝もう一回電話をしたら、「そんな時間に起きてるわけないでしょ。あんたが変な話ばっかり書いてるから幽霊なんじゃないの?」って。

川奈:わたしはAV女優だったときに結構いろんなことがあって、それを最初書き始めたんですよ。共演した女優さんが次々に亡くなってしまって。7人くらい亡くなってるんですけど、その7人目っていうのが女優さんではなくて、○○の女子高生ストーカー殺人事件の○○○○ちゃんなんですよ。

徳光:え! あの可愛い女の子?!

川奈:彼女とは、大学生が作っている自主制作の映画で共演したんです。わたしが学校の先生で、彼女が生徒役だったんですけど、すごい美少女で、いいおうちのお嬢さんでした。映画が完成してからも、上映会や舞台挨拶で、半年くらいの顔を合わせる機会があったんですよ。印象に残る子でよく覚えていたので、何年かたってあの事件があって、報道された写真をみたときに彼女だったから本当に驚きました。その前から、個人的に仲がよかった冴島奈緒さんや林由美香さんや桃井望さんや…共演した方がどんどん亡くなってしまって。さすがにちょっと怖いと思って、ホラー小説を書き始めたんです。書いてしまうと怖くなくなるような気がするんですよ。

徳光:なるほど! 書いて昇華する感じなんですね。

川奈:実は、○○○○ちゃんが亡くなった直後に幽霊を見ているんですよ。パソコンのモニターってしばらくそのままにしていると暗くなるじゃないですか? そこに映ったんですよ。

徳光:えっ、ご本人が?

川奈:分からないんですよね。でも真後ろに裸の女の人が立っていて、胸からお腹のあたりが写っているんですよ。びっくりして椅子から転げ落ちたら、そこには誰もいないんですよ。そのあとお風呂に入ってうとうとしちゃって、ふと急に溺れそうになってゴボゴボって目が覚めたら…横に立っていたんです。

徳光:さっきの裸の女が?

川奈:そう、今度は足のあたりが見えるんですよ。ちょうどその本を書き始めたあたりからちょっと変な婦人科系の病気にかかってて、子宮の中に原因不明の丸い袋のようなものができているから、ひどくなるなら外科手術しかないって言われていたんですが、その瞬間に尋常じゃない量の血の塊が出て、湯船の中が真っ赤になったんです。翌日、病院に行ったらその袋がなくなっちゃってたんですよ。これは『血胎』っていうタイトルで竹書房で書いたんですけど。

徳光:症状としては良くなったと。

川奈:治っちゃったんですよ。でも気味の悪い話なので、幽霊の話と合わせて怪談にしました。

 

心霊も人を選ぶ?

徳光:僕は全然ないんですよ。夜中の1時か2時ころに、窓を全開にしてモニターの灯りだけで書くようにしているんですけどね。来ねえかなぁ! と思って。……ぜんっぜん来ないんです。しかも前に住んでた家なんて、霊感がある人を連れていくとみんな見えるって言うんです。階段の下のふきだまりにいるよ、とか、2階のトイレにいるよ、とか。心霊も人を選ぶんですかね? 僕みたいなふざけた態度の人の前には出たくない、みたいな。

川奈:どうなんでしょうね(笑)。そういえば、今回の原稿が書き終わったのは8月14日なんですけど、その日はずっと雨が降っていたんです。書く時はカーテンを閉め切ってるんですけど、まるでひょうでも降っているような音がしていて。ちょうど書き終わったころに夫から、終わったなら飲みに行かない? って電話がきて。でもすごい雨でしょう? って言ったら、今は建物の中にいるから分からないけどさっきは降ってなかったよって言われて。確かに一日雷雨のような音がしていたのに、と思って外に出たら降った形跡もないんですよ。部屋でずっと雨の音がしていたのに。

徳光:うわぁ…お盆中だし、翌日は終戦記念日だし、日本にとっては悲しい時期ではありますよね。イベントでもいろんなお話が聞けそうですね。

川奈 まり子
「実話怪談 穢死」

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徳光正行
「怪談手帖 遺言」

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川奈 まり子
「実話奇譚 呪情」

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Live info.

10/5(木)

バンブーホラーナイト〜ルポルタージュ怪談作家スペシャル〜

【出演】川奈まり子、吉田悠軌、西浦和也

【ホスト】住倉カオス

会場:阿佐ヶ谷ロフトA

 

10/17(火)

徳光正行×岩井志麻子の怪談妄想特急

(バンブーホラーナイト番外編)

【出演】徳光正行

【特別ゲスト】岩井志麻子

【ホスト】住倉カオス

会場:LOFT9 Shibuya