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ボーカリストという存在

——自身にとって、ボーカルとはどういった存在ですか？

団長：自分は、今だにあんまりボーカリストという言い方を自分ですることを避けていて。エンターテイナーでスポークスマンっていう言い方をしてるんですよ。なので表現者って自分では言っていて。自分にとってのボーカリストは、自分の存在を、自分の思っていることを人に伝えるための仕事なんですよね。NoGoDっぽく言うと、求道者というか、救済者というか。手を差し伸べ続ける人っていう…。何か話が宗教っぽくなっちゃうな（笑）。そういうニュアンスですね。自分はやっぱりエンターテイナーで、救済者でいたり。

卓偉：でもそれは、もうちょっと時間が経てば、ボーカリストっていう自分の認識も変わってくるんじゃなくて？

団長：多分、今でも自分がボーカリストとしてのプライドはあるんですよ。それをはっきり言葉にするには、自分の精進が足りなくて。

卓偉：そうか。5年前も同じことを言ってたよ。

一同：（笑）

卓偉：もういいんじゃない、ボーカリストで（笑）。大丈夫だよ、それだけ歌唱力があれば。

団長：でもやっぱり、人に伝え続けたいですね。人の魂を、まだ揺さぶれはしないかもしれないけど、触るくらいはできるようになってきたのかなとは、自分は思ってるんで。もっと人の心に触れる歌を歌いたいなとは思いますね。あとはよくも悪くも傷跡をつけれれば。

卓偉：ボーカリストとしてね。

団長：はい。とは常に思ってますね。

——卓偉さんはどうですか？

卓偉：客観的な言い方をすれば、ボーカルってバンドのメンバーが何人でも、数字で言うと“1”の人じゃなきゃいけないと思うんですよね。ギターリストが2でベーシストが3とか、そういう言い方があるのかもしれないですけど。でやっぱりね、その色の服を着ていなくてもいいんですけど、赤がイメージというか。ゴレンジャーで言うと、赤レンジャーじゃなきゃいけない感じって分かるでしょ？

団長：俺、全く一緒です。バンドでずっと赤い服ばっかり着てます。

卓偉：そうなんだ。青や黄色の服を着てもいいんだけど、位置的に、「この人は赤の人だな」っていうのが、センターだというのがはっきり見えてる人がボーカリストになるべき、というか、そういうボーカリストの方がステージを見ていて気持ちいいですかね。やっぱりセンターにいて、赤っぽく見えて、なおかつ野球で言うとピッチャーでとか。自分が投げないと始まらないっていうような立場で存在してなきゃいけない緊張感と責任感と、そういうものを持つべき人がやっぱりボーカリストだと思いますね。1回イベントでバンマス兼ギターリストでやったことがあるんですよ。うちの会社って、モー娘。とかのアイドル系が多く所属してるじゃない？ で、ジャンルを問わず色んなアーティストに出てもらって自分がバンマスでアレンジを全部やるっていうのをやって。自分も自分のコーナーになれば、そのハウスバンドで3〜4曲歌ったりするんだけど、基本的にはずっとアレンジをやってるから、サイド・ギターで全部指示を出させてもらってやっていたんだよね。で、ギターリストで3時間やったら、悪い意味でとらないで欲しいんだけど、すごく楽だなって思ったんだよね（笑）。

団長：いや〜、そうですよね。責任感が。

卓偉：ボーカリストの方が、みんなに見られるし。センターにいると。ギターリストが楽だなって感じたのは、余裕も感じる立ち位置にいれるから、結構全体を見渡せるんですよね。僕らって、やっぱりそうはいかないんですよね。お客さんを見てなきゃいけないですから。ドラムを見て歌えないしね。

団長：そうですね。やっぱりお客さんの視線も嫌でもセンターに集まりますし。卓偉さんが言ったことがすごく分かります。自分の中で思ってるのが、神輿の上に乗ってなきゃいけないって、バンドの時は常に思っていて。いわゆる山車の上に乗っている人ですよね。遠くから見た人は、「あの人、楽しそうだな。目立つな」って思ってるけど、実は下で支えているメンバーがいて。バンドって神輿、もしくは会社って捉えてるんですよ（笑）。

卓偉：うんうん、そうだと思いますよ。

団長：で、俺は常にバンドという神輿では上に乗って、踊る人、煽る人だし、会社だったら、アパホテルの社長みたいに、「私が社長です」って、出てる人でなきゃいけないっていう（笑）。

卓偉：やっぱりボーカリストが、そういう存在感でいてくれないとバンドって盛り上がらないですよね。

団長：意外にボーカリストの方って、すごく引っ込み思案な方が実は多くて。

卓偉：多い多い。ステージだけいくけど、普段は引っ込み思案とか、シャイな人が多いよね。

団長：多いですよね。「どうしたら、MCが上手くなるんですか？」とか聞かれて、そんなこと考えたことがなかったから。

卓偉：（笑）いや、団長さんはその辺は素晴らしいですよね。

団長：伝えたいことがあるからステージに上がってるのに、「伝えたいことが分からない」って言われた時に、「俺も分からない！」ってなっちゃって（笑）。

卓偉：でも歌って、自信さえあればね、別にしゃべんなくても格好はつくんでしょうけどね。確かにバンドって、ギターリストやベーシストやドラマーの方が目立ちたがり屋が多いですよ。

団長：あー、多いですよね。ドラマーとか、すごいですよね！

卓偉：ドラマー、多いよね（笑）。シンバル、うるせーからって思うよね（笑）。

一同：（笑）

団長：確かに！

卓偉：不思議なもんでね。ただステージ上では、やっぱりボーカリストが全部仕切って、一番目立ってて欲しいですよね。