Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューYUKARI&谷口共鳴×大石規湖(Rooftop2017年9月号)

生活と音楽を両立させ、楽しいことだけぶちかますパンクな家族と愛すべきはみだし者たちの痛快な生きかた

2017.09.01

こんなに面白い人たちを知らずに死んだらもったいない

──仮に今撮ったらまた違う内容になるんでしょうね。

大石:もし今年撮影していたら、『I ACCEPT ALL』のレセプション・パーティーのU.G MANが間違いなくハイライトだったでしょうね。

YUKARI:そうだろうね。でも、撮れたのは面白い時期だったと思いますよ。チーターズマニアの初ライブがあったり。

大石:いつ撮っても面白いと思いますよ。谷ぐち家の3人もそうだし、レスザンTVに集まるバンドもそうだし、こんなに面白い人たちを知らずに死んだらもったいないよ!? って思ってますからね。特に波風の立たない普通の人生でも、谷ぐち家なりレスザンTVっていうちょっとしたスパイスがあるだけで俄然楽しくなるんですよ。

yukari_1.pnglive_縺昴・莉・live_ni-hao_1.png──月並みですが、どんな人にこの映画を観てほしいですか。

大石:若い人たちに観てほしいですね。将来に不安を抱えている人は特に。わたしが谷ぐち家と出会った25、6くらいの人とか、不安だらけだと思うので。

YUKARI:「大丈夫! 何とかなるよ!」みたいなね(笑)。でもそうだよね、当時のくらのすけは「結婚できるかどうか分からない、子どもも欲しい気がするけど自分に母親が務まるか分からない」って言ってたもんね。

大石:そうなんですよ。でも今は早く結婚したいし、早く子どもを産みたいんです。谷ぐち家みたいに楽しい生活を送れると思うし、この家族のことを知ると自分の生活自体が楽しくなりますよ。

YUKARI:たまたまわたしたちは結婚して子どももいるけど、それが必ずしもベストじゃないし、わたしだって今の生活が正解だとは思ってないし、人それぞれでいいと思う。結婚しないでも、子どもがいなくても楽しく生きる方法はいくらでもあるはずだから。あくまでも選択肢のひとつとして、この映画を観て「こんな生きかたもあるんだな」って思ってもらえたら嬉しいかな。

大石:わたしたちと同じ女性、若い女の子にも観てほしいんですよね。YUKARIさんが共鳴くんを育てながらバンドをやる姿はなんて格好いいんだろう! って感じるはずだから。もちろん男の人にもYUKARIさんの格好良さは伝わるはずですけど。

YUKARI:わたしね、今まで男の人には絶対に負けねぇぞ! と思ってバンドと仕事をやってきたところがあるの。負けたくないからもっと武装しなきゃと思いながら身構えてたところがすごくあった。でも、この映画を観てくれた人たちの感想をいろいろと聞いて、無理に武装して強くなる必要なんてないんだなと思って。女性なりの良さを自然に出していけばいいんだな、って。

大石:女性を武器にするというわけではなく。

YUKARI:うん。特に気負わなくても闘えることを、この映画が完成してからの数カ月で知った。この間の『METEO NIGHT』のニーハオ!!!!のステージでも「わたしたちが『METEO NIGHT』唯一のガールズ・バンド!!」って胸を張って言えるようになったしね。それまでは自分に引け目を感じるか、逆に「絶対に負けねぇ!」って気負うかのどっちかだったから。

──それが、この映画を観てくれた人たちの感想を聞いて自身を客観視できたと言うか。

YUKARI:そうですね。あと、みんな意外と好意的に見てくれてたんだなと思って。もっと言えば、レスザンTVはわたしにとってはすごく大きな存在で、25年も続いて、根強いファンがいるすごいレーベルじゃないですか。そこにタニと結婚したわたしが急に現れてレーベルを手伝うようになって、あまりいい気がしてない人もいるんじゃないかと思ってたんですよ。この間のU.G MANのライブもそうですよね。わたしなんかがベースを弾いて、長年のファンの人を冒涜してしまったんじゃないか? とか思ったし。そういう新参者の気おくれみたいなものが今までずっとあったんですけど、自分がどう思われようと別にもういいかなと思って。わたしはわたしでしかないし。

大石:そこまでYUKARIさんが吹っ切れるきっかけになった映画だから、余計にYUKARIさんのお母さんには観てもらわないとですね。

YUKARI:うーん。自分で曲を作っといてなんなんだけど、言いづらいんだよね、映画のタイトルが(笑)。


 

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映画『MOTHER FUCKER』

出演:谷ぐち順、YUKARI、谷口共鳴 他、バンド大量
監督・撮影・編集:大石規湖
企画:大石規湖、谷ぐち順、飯田仁一郎
制作:大石規湖+Less Than TV
製作:キングレコード+日本出版販売
プロデューサー:長谷川英行、近藤順也
1.78:1/カラー/ステレオ/98分/2017年/日本
配給:日本出版販売
© 2017 MFP All Rights Reserved.

8月26日(土)〜9月8日(金):渋谷HUMAXシネマ
9月9日(土)〜9月15日(金):シネマート心斎橋
9月16日(土)〜9月22日(金):シネマート新宿
9月23日(土)〜9月29日(金):名古屋シネマテーク
9月30日(土)〜10月6日(金):広島・横川シネマ
10月14日(土)〜10月20日(金):横浜シネマ・ジャック&ベティ
10月21日(土)〜10月27日(金):仙台・桜井薬局セントラルホール
10月28日(土)〜11月3日(金):京都みなみ会館
以降、神戸・元町映画館ほか全国順次公開

Less Than TV 25周年記念写真集
I ACCEPT ALL

仕様:B5変型(170mm×230mm)/328頁/ハードカバー
価格:本体3,500円+税
ISBN:978-4-908749-03-2
版元:TANG DENG
全国の書店、Amazon等で好評発売中

映画『MOTHER FUCKER』パンフレット

定価800円(税込)/A4サイズ/全24ページ/フルカラー
映画『MOTHER FUCKER』公開劇場限定販売

【掲載内容】
作品解説
キャスト・監督紹介
谷口一家×大石規湖監督対談[文:遠藤妙子(音楽ライター)]
磯部涼(音楽評論家)コラム
森直人(映画ライター)コラム
『Less Than TV』完全ライブデータ
『Less Than TV』年表
『Less Than TV』ディスコグラフィ

LIVE INFOライブ情報

映画『MOTHER FUCKER』公開記念インストアイベント
【開催日時】2017年9月6日(水)19:00〜
【イベント内容】ミニライブ&特典引換&サイン会
【場所】ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 イベントスペース
【出演】FUCKER、チーターズマニア
【参加方法】観覧自由
*ヴィレッジヴァンガード渋谷本店にて、Less Than TVイベント対象商品をご購入いただいたお客様に先着で、特典引換&サイン会参加券を1枚差し上げます。「特典引換&サイン会参加券」をお持ちの方は、ミニライブ終了後の特典引換&サイン会へご参加いただけます。当日は特典引換&サイン会参加券を必ずお持ちください。

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