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松本花奈(監督)×上野遼平(プロデューサー)映画『脱脱脱脱17』公開記念(web Rooftop2017年8月号)

『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016』での審査員特別賞&観客賞W受賞をはじめ、映画監督の岩井俊二ら各所で絶賛された長編映画、『脱脱脱脱17』。17歳の女子高生が監督ということもあり、何かと話題となった本作だが、紆余曲折あり、ようやく完全版が渋谷のユーロスペースにて9月2日より2週間限定でレイトショー公開されることとなった。この公開に先駆け、8月14日にLOFT9 Shibuyaにて開催される『脱脱脱脱17』公開記念イベントの出演が決定した監督・松本花奈と、プロデューサー・上野遼平の「現役大学生タッグ」に、本作のこと、そして今後の展望などを伺った。[interview:田実健太郎/構成:マツマル(LOFT9 Shibuya)]

「大人の事情」でお蔵入り

 

――2016年の2月に『脱脱脱脱17』が完成して、ようやく今年の9月に公開が決定となったのですが、なぜ公開までにこんなに時間がかかったのでしょうか?

上野:『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2016』と『MOOSIC LAB 2016』で少し短いバージョンを公開したんですが、「満を持して完全版の公開!」というところで、まあ、そこはいろいろと言えないような事情がありまして……。

松本:いわゆる大人の事情が(笑)。

上野:ほんとに「大人の事情」としか言いようがないので、そこは察していただけるとありがたいんですが(笑)。花奈ちゃん(松本監督)も僕も、映画業界の洗礼的なものを感じましたね。

――「女子高生映画監督」っていう触れ込みだけでも、悪い大人がたくさん寄ってきそうですよね(笑)。

上野:今後、花奈ちゃんに悪い大人たちが寄ってこないように、そういうことにしておきましょうか(笑)。

――撮影中も製作費を募るためにクラウドファンディングをしていたりと、いろいろ苦労されたのではないでしょうか。

上野:2015年夏の撮影中はまだクラウドファンディングのお金が手元に来ていなかったので、翌日必要になる10万円を工面するために、僕がドサ回りみたいなこともしていたんですが、その間、撮影現場ではこれまた言えないようなトラブルが続出していたりと、ホントに苦労だけは事欠かなったですね(笑)。

――ほとんどのシーンが夏休みの3週間弱で撮られていると聞いて、それも驚きだったんですが、高校3年生で長編映画を撮って、しかもここまで評価される……という人はあまり聞いたことがないですよね。それまでの監督の映画のキャリアはどんな感じだったのでしょうか。

松本:ちゃんと映画を撮り始めたのは高校2年生の春ですかね。長編映画としては『脱脱脱脱17』が2本目になります。

――スゴい!! なかなかいないですよ、そんな人。本当に素晴らしい映画でしたし。

松本:1本目の長編では映像だけに気を取られて、「音」がないがしろになっていたのが心残りだったんですが、そんな時に『MOOSIC LAB』さんからお話が来て、「これは絶対にやりたい!」と思いましたね。

――なるほど。主演の北澤ゆうほさんのバンド、「the peggies」の挿入歌など、さすが『MOOSIC LAB』という感じで、「音」もこの映画の魅力に感じました。

上野:映画の公開を見合わせている間に「the peggies」のメジャーデビューも決まったので、そのタイミングに合わせて公開が決まった、ということにしておきますか。全然違いますけど(笑)。

 

「舞台 ハゲ おじさん」で検索

 

――プロデューサーの上野さんとはどこで知り合ったのでしょうか。

松本:私が1本目に作った長編が『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』で上映されたんですが、上野さんはその前年に上映されていて……。

上野:そう! その時は僕がゆうばりの「史上最年少出品者」だったんですが、その翌年に僕より何ヶ月か若い最年少出品者として花奈ちゃんが現れたので、「1年で塗り替えられた!!」っていう、ある意味最悪の出会いでしたね(笑)。

松本:そんな感じで知り合って、『MOOSIC LAB』のお話が来た時に相談したのが上野さんでした。

上野:お互い若かったからっていうのもあるかもしれないんですが、監督の「こんなのが撮りたい!」っていうストレートな意見に対して、僕は僕で「アホか! できるわけないやろ!」と、納得させられるような言葉が出てこなかったりして、今思うとあまりうまくいっているとは言えない関係だったのかもしれませんね。

――そういう衝突はどうしても出てきますよね……。映画本編の話でいくと、本当に高校生が演出しているとは思えないくらい、登場人物が皆さん個性的で面白いのですが、ヒロインと旅をする34歳で高校生のおじさん(ノブオ)はどうやってキャスティングしたんでしょうか。

松本:ノブオは「おじさんだけど精神年齢が低め」という、ちょっと振り幅がある役どころなので、舞台で演技経験が豊富な人を探していたのと、わかりやすくハゲてる人がよかったので、「舞台 ハゲ おじさん」で画像検索したんですが、その検索の下の方で出てきたのがノブオ役の鈴木さんでした(笑)。

――本人としては複雑ですね(笑)。映画本編ではストリップ劇場がメインの舞台のひとつとなりますが、これも高校生が撮っていると思うとちょっと不思議ですよね。

上野:現場で「どこまで(裸を)撮る?」っていうのは正直ありましたよね。ストリップ女優さんにもたくさん出てもらったんですが、向こうも「ホントに出していいの?」と思っていたんじゃないかと(笑)。結果的におっぱいが出まくりなんですが、それが面白い画になったので良かったです。

 

次はAVに転身!?

 

――まだ20歳で、なんでもできる年齢かと思いますが、監督は今後どういった展望をお持ちでしょうか。

松本:うーん……整音をやってみたいですね。

上野:そこは監督じゃないんだ! まあ、技術屋さんの方が生活的には安定するからね(笑)。

――じゃあ、しばらくは長編を撮る予定はないですか?

松本:今は水面下で色々と企画を動かしたりしています。良いお知らせが出来るように頑張ります。

上野:今回の公開でどこまで盛り上げられるか、っていうところもありますよね。

――僕が関わっている映画監督だと、ちょうど同じくユーロスペースで昔撮った作品(『ゴンドラ』)のリバイバル上映をしたTOHJIROさんが、かなり反響があったようで、いま色んなところで公開が決まってるみたいですね。TOHJIROさんも以前、色々な大人の事情が嫌になってAV監督になった……といったようなことを仰っていました。

上野:なるほど、じゃあ花奈ちゃんもちょっとAV撮ってみるっていうのはアリかもね(笑)。

松本:ええ!なんで!?(笑)。

上野:いや、花奈ちゃんが女優としてAVに出演するのはツラいけど、監督としてなら新たな作家性に目覚めるかもしれないじゃない?

松本:そうか……ちょっと考えてみます(笑)。

――えっと、なんだか思っていたのと違う方向に話が進んできたので(笑)、最後にこのインタビューの読者の方々にメッセージをお願いします。

松本:『脱脱脱脱17』は実際に夏休みに撮ったというのも関係ありますが、「夏」の雰囲気をすごく意識して作った映画だったので、皆さんが映画を観終わった後に、主人公たちと同じような「ひと夏の思い出」といったような感覚を感じてもらえたら嬉しいですね。

上野:個人的に『脱脱脱脱17』は「ポップコーン・ムービー」の要素があると思っていまして、もちろん作家性もスゴいんですが、ちゃんとポップコーンも美味しく食べられるような爽快感タップリの映画になっているので、ぜひポップコーンを片手にお楽しみください!!  

注:ユーロスペースではポップコーンを販売しておりません

 

Live info.

『映画「脱脱脱脱17」公開記念!トークショー&監督過去作上映イベント』

前売・予約¥1,500 / 当日¥2,000(税込・要1オーダー500円以上)

前売はe+にて発売中 予約は当店スケジュールにて

【出演】松本花奈(監督)、鈴木理学(主演ノブオ役)*予定、上野遼平(プロデューサー/司会)、直井卓俊(企画/MOOSIC LAB主催)*予定、夜羽エマ(出演/現役最高齢SM女王様)他、随時キャスト追加予定

 

映画『脱脱脱17』は9/12(土)~9/15(金)ユーロスペースにて2週間限定レイトショー!!

http://dadadada17.com/