自分の理想とするロック・バンドに近づいてきた
──THE 夏の魔物なりのロックというのは、狭義なカテゴライズに閉じ込めずにもっと自由なもの、という認識ですよね。楽器を持たなくてもロックなものはロックなんだという。
成田:自分がキッズの時代はもっと頭が固かったんですよね。ハイロウズ、ミッシェル、ブランキー、ルースターズ最高! って感じで、高校の頃に自分でもバンドをやるようになったんだけど、バンドって自分自身を出すものじゃないですか。ただし俺は自分を出すのがすごくヘタクソで、やり方が分からなくてずっと模索していたんです。それがチャンを始め一人ずつ大切な人たちと巡り合って、だんだんと自分の理想とするロック・バンドに近づいていった。それがTHE 夏の魔物で、自分が高校の頃、一番最初にやりたかったことにいまものすごく近づいてるんですよ。この6人とバンド・メンバーが月日を重ねて出会わなければ今回のEPは絶対に作れなかったし、いろんな人たちとの出会いがあっていまがあるんです。
──ロック・バンドは我の強い人の集合体なのに、成田さんは自分よりも先に他のメンバーのことを考えてバンドの全体像を構築しますよね。自分は一歩引いて、メンバーが一番輝くにはどうすればいいのかを常に優先して考えていると言うか。
成田:不思議なんですよね。人のために頑張るなんて考えたこともなかったんですけど、今回のEPもそうだけど、自分以外のことを考えるからこそ自分が頑張れるところがあって。みんなのために頑張りたいし、みんなと一緒にライブも作品作りもしたいし、このチームでもっともっと続けていきたい。その思いに尽きますね。
──「ロックとはこうあるべき」という雛型からいかにはみ出すかがTHE 夏の魔物の進むべき道ですか。
成田:『俺たちにしかできない魔物らしいロックをやること』、『自分たちにしか出せないロックの音を出すこと』がTHE 夏の魔物らしさだと思ってます。曲の作り方しかり、ライブの在り方しかり。それをもっといろんな人たちに知ってほしいですね。まだまだ自分たちは発見されてないし、だからこそこうしてバップとタッグを組めるのがいまで良かったと思います。いまのTHE 夏の魔物の最強の布陣、最高の状態がパッケージされた作品をやっと世に放つことができるので。