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映画『笑う招き猫』監督・飯塚健(web Rooftop2017年4月号)

もう単純に、マジかよ! って思いました。

――映画、拝見しました! 冒頭の清水富美加さんと松井玲奈さんがケンカしてるシーンが今の状況と相まって、まず心つかまれましたよ!(笑)そもそもこの映画が出来るキッカケから教えて下さい!

 

飯塚健監督(以下:飯):ずいぶん前に清水(富美加)で映画をやろう、とは決まってたんですよ。で、この映画のテーマが“漫才”なんですけど、漫才って映画の題材で扱っちゃいけないテーマのひとつだと思ってるんですね。


――あぁ、なんとなくわかります。

手、出しちゃいけないんですよ、ちょっと練習したぐらいで出来るもんじゃないですから。でもとにかく「ヒトミ」の視点で動く物語なんで、これが出来るのは清水富美加だろうと。じゃあ相方は誰がいいかとなり、その頃ちょうど松井(玲奈)と深夜ドラマ(『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎』)を一緒に作ってまして、これはもしかしたらハマるんじゃないかとなり、それで固まっていった感じですね。

 

 

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映画『笑う招き猫』より。
松井玲奈、清水富美加、角田晃広(東京03)。
©山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会


――漫才を相当練習した感じが伝わってきましたけど、実際どのくらい練習されたんですか?

実は撮影前は、そこまでできてないんですよ。多忙な二人なので、なかなかスケジュールが合わず、多く言っても5日間ぐらいでしょうか。映画にも出演して頂いている、なすなかにしさんに監修で付いてもらって。


――そうなんですね!

 

その5日も午前から夜までビッチリ、という感じではなくて、1日3時間くらいとか。で、もちろん漫才は大事なんですが、他の芝居のシーンがあってこその漫才なので。清水がいない時は清水の代役を入れて、松井がいないときは松井の代役を入れて、いわゆるプロンプシステムで稽古して。本当に2人が揃ったのは1日だけでしたね(笑)。それでも芝居は現場でなんとかなるんですけど、漫才に関してはどうにもならないので、撮影の合間に2人が率先して練習してくれていて、こっちも現場の合間で見て、足したり引いたりしながら仕上がっていった感じです。


――そんな短い練習期間の中で、ほぼ完璧に漫才をこなしていた清水さんに起きた今回の出家騒動は、ホントにビックリされたと思うのですが……。監督はこの件を聞いた時にどう思われましたか?

もう単純に、マジかよ! って思いました。記事が出る前日の夜に委員会から聞いたんですが、「ちょっと何言ってるかわからないっす」って(笑)。ですが、大々的に報道が出た2日後には、松井とアフレコしてました。当然、清水の映像を見ながら。それはなかなかのメンタルだったと思います。ホントに2人はずっと練習していただけあって、絆みたいなものが生まれていて。この業界って、一緒に仕事をしても本当の意味で人間的な距離が縮まることってなかなか少ないじゃないですか? なのに、我々スタッフから見ても、二人の関係いいなーと思ってたんですけどね……。

 

山本さんが作ってくれた庭の中で、限界の端まで行った

 

――でもそのぐらい、漫才の息はバッチリ合ってましたよ。今回の映画化は制作サイドからのオファーだったんですか? それとも監督のリクエストで?

 

これは僕が結構前に小説(『笑う招き猫』(集英社文庫)第16回(2003年)小説すばる新人賞受賞作)を読ませてもらって、映画化したいと言ったのがそもそもの発端ですね。原作の山本(幸久)さんに3~4年前にお会いしまして、脚本を読んで頂いて。結構原作から自由に変えていたにも関わらず、快諾を頂けて。


――そこは監督のコメントにもありましたね。

 

これは初号を見て山本さんが言ってくれたことですけど、根っこの部分をちゃんと丁寧に描いてくれているから、どんなに変わっても凄く楽しく見れた、とおっしゃってくれて。原作を映画にするって、まんまやるならやらなくてもいいと思うんですよ。ただ山本さんが描いているマインドからズレると、その作品じゃなくなっちゃうと思うので、そこを守ることは当然ながらあって。だから山本さんが作ってくれた庭の中で、限界の端まで行った感じです(笑)。

 

――根っこの部分は守りつつどこまで発想を飛ばせるかチャレンジしたわけですね。


そうです、よく許してくれたなと思います(笑)。ハマケン(浜野謙太さん)演じる「和田」とか、前野(朋哉さん)演じる「土井」など、原作に出てこない人物も多々いますからね。

 

 

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映画『笑う招き猫』より。前野朋哉。
©山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会

 

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映画『笑う招き猫』より。浜野謙太。
©山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会
 

――そうなんですね。ハマケンさん映画の中ですごくいい味出してましたよ(笑)。配役はどういう基準で選ばれたんですか?


脚本が出来てからその役に合う人を選んだ感じですかね。ハマケンはずっとご一緒したい方だったんで面白かったですね。ファンクやってる人だから、変わった人だったらどうしよう……とか思ってたんですよ(笑)
 

――妙なこだわりがあったり?

そうです。何せファンクですからね。でも全然そんなことなくてしっかり俳優部としての考え方も持っている人で、僕と歳が2コしか違わないんですぐに仲良くなりまして、飲み行ったりしますよ。

 

――他の役者さんのこともお聞きしたいんですけど、清水富美加さんは、役者としてどういう印象をお持ちですか?


清水は、すばらしいですよ。今後も絶対一緒に仕事していくだろうな、と思えた人に出会えたと感じていたので。それだけに残念ですね……。こんな才能ある人が、なぜ辞めちゃうんだと。彼女がすごいのは、とりあえずやるんですよね。やってって言ったらポンと返ってくる。キャッチボールの速度が早いんです。まずは投げ返してくれないと精度って上がって行かないので。ウーンって、考えこまれちゃうと始まらない。それが演出と芝居の関係だと思うんですよね。動いてみて、またカメラマンが別の発想をしたり、プラスされることってあると思うんです。とにかく速度が早くて、その回答がおおむねストライクゾーンに入っているという。

 

 

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映画『笑う招き猫』より。清水富美加。
©山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会
 

――松井玲奈さんはどうですか?


松井は2回目なので、関係性はできていて。前作も今作もタイトなスケジュールの中で、ドンドンたくましくなっていったなと思います。今とても信頼している俳優の1人ですね。

 

 

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映画『笑う招き猫』より。松井玲奈。
©山本幸久/集英社・「笑う招き猫」製作委員会
 

Live info.

『笑う招き猫』
監督・脚本・編集:飯塚健
原作:山本幸久「笑う招き猫」(集英社文庫刊)
出演:清水富美加、松井玲奈
落合モトキ、荒井敦史、浜野謙太、前野朋哉
稲葉友、角田晃広(東京03)、戸田恵子
漫才監修:なすなかにし
主題歌:Mrs.GREEN APPLE「どこかで日は昇る」
(ユニバーサルミュージック合同会社/EMIRecords)
製作幹事・配給:DLE
製作:「笑う招き猫」製作委員会
4月29日(土・祝)新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー!
 
 
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映画「笑う招き猫」公開直前トークイベント
4月21日(金)
【出演】映画「笑う招き猫」関係者 他
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥2,200 / 当日¥2,500(税込・要1オーダー500円以上)
前売券はe+にて発売中!
【会場】LOFT9 Shibuya(詳細はこちら)