"Maison book girl"(通称:ブクガ)。メンバーは矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミの4人。2014年11月に活動開始以来、音楽のみならず、映画出演、ファッション・ブランドとのコラボレーションなど多岐にわたって活動を展開。過去2回のワンマン・ライブは即日完売、カナダでのツアーなどライブ活動を精力的に続け、昨年11月にはメジャー・デビューを果たした。そしてついにメジャー・ファーストアルバム『image』が完成し、初の全国ツアーも控えている。楽曲制作、総合プロデュースの音楽家・サクライケンタに生命を吹き込まれた彼女たちは静かに確実に躍進し続けている。今回は前半にアルバムのこと、後半にLOFTグループで行なったイベントを振り返り、実にブクガらしいそれぞれの色が出たインタビューに。この4人おもしろい。そしてMaison book girlの未来は明るい。[interview:須田舞未(LOFT9 Shibuya)/photograph:kenichi inagaki]
次を超えても目指すものがちゃんとある
──去年、実際にメジャー・デビューしてみてどうでしたか。
コショージ:周りの人が熱心にブクガを売ろうと動いてくれるので、いままでとは違うなと思っています。一緒に頑張ってくれる大人が増えてすごく力になってます。
矢川:決まった時はちょっと不安な気持ちもありつつ、楽しみだなっていうワクワクが大きかったんですけど、いま考えるとより頑張ろうというスイッチ的な機会になったかなと思います。
和田:決まった頃はメジャー・デビューしたら具体的にどうなるのかわかっていなかったんですけど、メジャー・デビューしてみたらいろんな人が動いてくれて、そのぶん背負うものが大きくなったので、これから頑張んなきゃなって感じです。
井上:まだそのレベルまで達してないなと思ったので私も決まった時は不安だったんですけど、決まったことによって周りの人の気持ちの高まり方とかで自分たちも高まっていけると思うので、いま気持ちは上がってます!
──次のアルバムを出してツアーがあってというのはいい状況ということですね。
コショージ:そうですね。目指すものがちゃんと次を超えてもあって。
井上:いい流れ。勢いと言うか。
コショージ:でもそれをね、毎回超えていかなきゃいけないっていうプレッシャーもあるんですけど。
アルバムはより深い部分のブクガ
──今回のアルバム『image』、収録曲が意外でした。これはサクライさんが決めたのですか?
コショージ:そうですね。全部サクライさんが決めています。私たちもメジャー・シングル表題曲の「cloudy irony」が入るのかなと思ったら「karma」だったので意外だなって思ったんですけど、最後は「blue light」で終わって、アルバムとして聴いてみたらすごく納得がいきました。すごい…いいアルバムだなって思います(笑)。
矢川・井上・和田:(笑)
コショージ:言っちゃった(笑)。
井上:シングルはメジャー一発目というのもあって、いろいろ意識した上で「cloudy irony」がリード曲という扱いだったんです。でもアルバムは途中にインストの曲が入っていたりして、シングルもブクガと言えばブクガだったんですけど、アルバムはより深い部分のブクガ。
矢川:長編って感じがする。
和田:サクライさん的にシングルの2曲目だった「karma」も、どっちをリード曲にしようか迷っていたくらい気に入っていて。アルバムだけ買う人っていると思うんですよ。そういう人たちみんなにも聴いてもらいたいという気持ちがあったんじゃないか…と言うか、私も個人的にそう思います(笑)。
──楽曲について特にサクライさんから説明されることがなく、みなさんそれぞれで解釈されるということなのですが、アルバム全体についても説明はないのでしょうか。
コショージ・井上:ないですね。
──こういうアルバムなのかな? っていうそれぞれの解釈があるんですね。
コショージ:そうですね。
和田:「これ、どういうことですか?」とか聞いても教えてくれなくて。それぞれの解釈に任せるっていう感じです。
──「end of Summer dream」はいままでの曲のなかでとてもバンドっぽい曲ですね。サビがすごくポップで、逆にどういう振り付けになるのか気になります。
コショージ:いままさにその曲に取り掛かっているところです。
井上:振り入れに私たちのレコーディングした曲が間に合ってなくて、サクライさんの仮歌で振り入れしてたんですけど、実際レコーディングした曲を聴いたら全然印象が違くて…だからいま付けてる振りはちょっと違うんじゃないか! って思い出して(笑)。
──サビが印象的な「faithlessness」はすでにライブで披露されていますが、お客さんの反応はどうですか。
コショージ:初めて聴いた人が耳に残りやすいみたいで、好きって言ってくれることが多いです。
和田:「曲はわかんないけどこういうやつ!」って振り付け(サビの印象的な手の動き)を真似してくれたりする人がけっこういます。
井上:歌詞では「裏切られる」とか言ってるくせに、サビで飛んだり跳ねたりみたいな。
コショージ:ピースとかしちゃうもんね。
──「townscape」は歌声が力強い印象です。今回それぞれの解釈で曲ごとに唄い方や表現の方法を工夫されたりしたんですか。
和田:けっこう意識しました。「end of Summer dream」はちょっとかわいい系かなと思って、「townscape」は殺伐とした系かなと解釈しました。ボイトレの先生には違うと言われたんですけど(笑)、その時のままその解釈でやりました。
よく聴くと出てくるメロディやリズムが隠れてます
──「screen」は最初に聴いたことのない音が入っていますね。
井上:私、電車かな? と思ったんだけど。
コショージ:私はヘリコプター系の何かかな? って。今度聞いておきます!(笑)
──聴いてくれる人も、これは何の音なのかな? って想像すると楽しいかもしれないですね。
井上:確かに! ライブしてても毎回こんな音入ってたんだ! って思います。
和田:ダンス・スタジオの音のせっそくが……
コショージ:せっそく…? 滑舌が悪いわ!(笑)
矢川・井上・和田:(笑)
和田:接触が悪くて片方の音しか聴こえない状態で振り入れが行なわれてしまってたんだと思うんですけど、イヤホンで出来上がったものを聴いたら全然違う音に聴こえてびっくりしました。ライブで観ててもあまりわからないかもしれないんですけど、片耳だけで聴くと実は音と振りが合っていて、これはおもしろいことになっているなって思いました。よーく聴くと出てくるメロディとかリズムとかが隠れてます。
──最後に入っているポエトリー・リーディングの「opening」はコショージさんの作詞ですね。今回はどのように書かれたのですか。
コショージ:最初に「『image』というアルバムが出ます」という情報だけで1曲書いていて録ったんですけど、ストーリー性のあるものをもう一個欲しいと言われてこれを書いたんですよ。他の曲が出来上がってこのアルバムの全体像が見えてきてから作ったので、けっこうギリギリに出来ました。サクライさんに「ここから始まるという希望があるようなストーリーがいい」と言われて書きました。
──だから最後に入っているけど「opening」ってタイトルなんですかね?
コショージ:たぶん…(笑)。このポエトリーの物語のなかで終わりと始まりを繰り返してるんです。今回のアルバムは「ending」という曲から始まり、この「opening」というポエトリーで終わるんですね。最後にこの曲が入って始まりと終わりが混ざり合ってひとつになるんじゃないかなと思います。
まだ人見知りが取れなくて全然しゃべってくれなかった
──ブクガさん、LOFTグループには60回以上出演してくださっているんですが……。
全員:えーーーー!!
──そうなんですよ。ライブはもちろんですがトークイベントもたくさん出てくださっていて、「自然とメンバーそれぞれのものが出ているのがMaison book girl」というお話を別のインタビューでされていたように、それぞれの個性があるからやっていただけているのかなと思っていまして、ここからはいままでのトークイベントを振り返ってみたいと思います。まず最初に、2015年4月に『Maison book girl緊急!ミーティング!!』に出演していただきました。この時、新メンバーとして和田さんはお披露目されていましたが、ここで歌声初披露でした。
和田:緊張してマジで無理でした…しゃべれなかったし、唄えなかったし。緊張感しか覚えてない。
矢川:(和田が)全然しゃべってくれへんかった。まだ人見知りが取れてなくて、何を話しかけても一言で終わり。
井上:私たちもトークイベントをしたことがなくて初めてだった。
──続いて同じ年の9月に、dropの大場はるかさんをゲストにお迎えしてコショージさんの生誕イベント『第弐拾弐歳「せめて、人間らしく」』を開催。この時、コショージさんがMVに参加している大森靖子さんの曲を初めてギター弾き語りで唄いました。
コショージ:人の曲だし、すごい緊張しました…ギター弾いたことなかったんですけど、そのイベントやると決まってから1ヶ月頑張ったらできるんじゃないかと思って練習したんです。でも、もう忘れました。
──あの時、泣いちゃったの覚えてますか?
コショージ:えっ!?
井上:泣いてた。めっちゃ泣いてた。みんなで「なんで泣いてんの!?」って。
コショージ:なんで泣いたんだろう? いい話してましたっけ?
井上:私のためにありがとうみたいな感じで泣いたんじゃない?
コショージ:そうかなー? 緊張な気がする。緊張したのはすごい覚えてる。メンバーみんな来て、プレゼントにオクラくれました。
──その後、年末の深夜に『パパパンパパンパンパンパパンパパパンパパンパンパンパパンパパパンパパンパンパンパパンパパパンパパンパジャマパーティー 〜そして僕の世界にはサンタがいないことに気づく〜』を開催。メンバーとサクライさんと抽選で選ばれたお客さん1名でプレゼント交換しました。
全員:あーーー!
コショージ:私、めっちゃ良くて、サクライさんの1万円分チャージが入ったSuicaをゲットして超嬉しかった!
井上:私、和田のが当たって歯ブラシと変な味の歯磨き粉だったんですけど、その歯磨き粉がチョコレート味か何かで、匂い嗅ぐだけで無理で捨てた気がする。
コショージ:コショージはジブリのおばあちゃんセット! あれ誰がもらったの?
矢川:私。まだ家にあるよ。
和田:私は冷めないようにマグカップに蓋するやつ。
コショージ:和田、絶対使わな……
和田:使ってる。
コショージ:あ、使ってるんだ。意外〜。
井上:私のはお客さんに当たった。最悪だった(笑)。
全員:(笑)
井上:Francfrancのアクセサリーケースみたいな、灰皿の形のワニの頭が出てるおしゃれ過ぎて理解できないタイプのやつを買った。そしたらリリース・イベントの私物サイン会で、すごい木箱持ってる人がいるなと思ったら中にそれが入っていて…とても大切にしてくれてました。
全員:(笑)
──2016年4月には矢川さんの生誕イベント『矢川葵生誕イベント「0401」』を開催していただきました。抽選で選ばれたお客さんとデュエットしましたね。
矢川:しました! 意外とめちゃくちゃ盛り上がったの。すごい乗り気なお客さんに程よく当たって、しかもその人が好きなアーティストの曲を私も知ってて、パートも阿吽の呼吸で、「君はそっちね」みたいなので決めれてすごい楽しかったです。
──お客さん同士でのデュエットもしてもらいましたね。
矢川:やってもらいました。ただ私は聴いてるだけ(笑)。
──企画がひとつあって、矢川葵ver.の「おれの愛する女たち」をやりました。
矢川:一方的に好きな女の子への愛を語る時間(笑)。またやりたいです。
──同じ年の8月にはめがねに特化したトークイベント『和田輪とメガネ 〜めがねは顔の一部です〜』を開催。めがねっ娘教団さんを迎え、お互いのめがね愛プレゼンをしていただきました。
和田:めがねっ娘教団さん、いまだにリツイートしてくれます。やさしい〜!
井上:じゃあ、メガロック(株式会社ハセガワ・ビコーから発売されている、メガネのつるに付けるだけでズレを防止してくれるメガネ用パーツ)のやつ、すごい喜んでくれるんじゃない?
和田:引用リツイートしてくれると思う(笑)。
──その時にメガロックのお話もされていましたもんね。
和田:コラボもするんです。先月の生誕イベント(『和田輪を祝う会22』)から発売になったんですけど、パッケージをパロディしたオリジナルのメガロックを作ってもらったんですよ。メガロックのイメージ・キャラクターになりたいって言ってたので、ちょっと近づけたかなって。
──近づけたどころか、いまやもう“公認”じゃないですか。
和田:叶った。やったー!
──『和田輪とメガネ 〜めがねは顔の一部です〜』では和田さんのメガネ遍歴、好きなメガネキャラが出てくる漫画の紹介をしてもらいました。和田さん、すごいしゃべりが早くて本当に好きなんだなと思いました(笑)。
コショージ:和田さ、緊張するとしゃべってる時に震えだすじゃん。もう〜おもしろくて(笑)。
和田:でも、あの時はすごい流暢にしゃべった。
井上:流暢にしゃべったらしゃべったでおもしろいもんね(笑)。
──その後、井上さんがまだ単独でイベントをやってなかったので「井上さんも」とお願いしたら「どうかな〜?」って言われて、あ〜やっぱり井上さんは井上さんだな〜って思いました(笑)。
全員:(笑)
──でも絶対やってもらわなきゃと思って、やっとやっていただきました!(笑) 同じ年の12月に『井上唯の人生お悩み相談室 〜カレーを食べて全て忘れよう2016〜』。前半のゲストにクマリデパートの羽井リサコちゃんを迎えてカレーを作ってもらいました。
井上:お悩み相談よりカレーがメインになっちゃった。
──カレーたくさん出ましたね。2種類も作っていただいて、100食くらい出ました。
全員:えー! すごーい!
井上:お悩み相談はともかく! 楽しかったですね!
ニュースを途切れさせたくない
──そして現在、cafe9とのコラボカフェ『image cafe』がスタートしていて、4月13日(木)にはLOFT9 Shinuyaにてイベントがあります。
井上:CDジャケットとかはあまり可愛さが感じられないおしゃれ系じゃないですか? コラボカフェだったら可愛くなるしかないじゃないですか? だからどうブクガカフェにするのか、どうなるんだろうって感じです!(笑)
──コラボメニューの提供のほか、期間中カフェはライブ写真の展示やBGMがブクガさんになり、ブクガさん仕様になります。
全員:楽しみ!
──それでは最後に、グループでも個人でもいいのでこれからやっていきたいことはありますか?
矢川:私もメガロックみたいにスポンサーが欲しいなと思います。探そうかな……。
全員:(笑)
矢川:何がいいかなぁ。コンタクト? 清涼飲料水?
コショージ:清涼飲料水は絶対10代だよ。20代の飲み物?
井上:水!
スタッフ:水のイメージ・キャラクターでお願いします(笑)。
井上:アルバム発売に全国ツアーと、いまニュースがいっぱいあって、このまま勢いを途切らすことなくドンドン大きくなっていけたらいいなと思います。
和田:ニュースを途切れさせたくない。
コショージ:めっちゃ個人的でもいいですか? 欅坂46に会いたい。一緒にライブに出たい。そう! 夏フェスに出たいです。でも夏、似合わないですよね?
和田:「cloudy irony」だし、「snow irony」だし。夏の終わりくらい……?
コショージ:……あ!!
和田:「end of Summer dream」!
コショージ:フェスでも雨降ったりするじゃないですか? その時に出ればいいんだよ!
井上:雨用員!
全員:(笑)
コショージ:屋根があるステージなら雨降ったら最高じゃん。みんな来るじゃん。雨降らせよう!
──今回のアルバム、「夏」ってよく出てくるんですよ。
コショージ:前に出したのも『summer continue』だった。
井上:夏っていう単語が好きなのかな?
スタッフ:サクライさん、夏好きだったんだ……(笑)。
──大きい所でライブ観たいですね。
井上:大きい所でしたいです。
コショージ:おっきい所でしかできないようになれるかな?
井上:そうなりたいです!
──今後のブクガさんに期待しています! 今日はどうもありがとうございました!
全員:ありがとうございました!