最終回までにみんなが成長していたらいいなと思っています
――確かにアニメの場合は身長などの設定があるとありがたいですね。ヒロインたちの家庭環境が複雑で、そこからシリアスなパートもありますが、暗くなりすぎず希望が持てる形で続いていくのがいいですね。
三星:シリアスばかりだと不評かなと思って(笑)。それに日常コメディーが好きというのもあります。ただ、作品全体に緩急を付けるという意味でシリアスな話も入れています。全体のストーリーは第8巻の地獄編でひと区切りがついて、やっとグリが主人公になりました(笑)。
――成長している姿が見えてきて良かったです。最初の頃は頭にナイフを刺されてましたから。
三星:グリは男性ファンがつかないんじゃないかと心配していたんですけど、アニメでは可愛く描いていただけて良かったです。声と動きが入るとまた違いますね。
――ちなみに動かしやすいキャラはいるんですか。
三星:ブレないということであれば、柚です。問題が起きても自分で解決できる強い子なので。
――お母さんみたいですね(笑)。
三星:そんな感じです(笑)。みんな落ち着きなさい、って。最終回までにみんなが成長していたらいいなと思っています。
――連載スタート時に比べるとみんな成長してきました。
三星:家族みたいになってきましたね。あとは結婚するだけみたいな。
――そうなると血で血を洗う展開になりますね。他に、地獄が現実の会社生活を想起させる超管理社会という設定も新しくて面白いなと思いました。言われてみるとそうかもしれないって。
三星:普段から刺されたりして、一般的なイメージでの地獄以上のことが起きているので、ただの地獄にしても面白くないと思ったのと、グリが嫌がることはなんだろうと考えてああいう世界にしました。
――そこが魔王のキャラにもつながっていて。
三星:最初、魔王のキャラは全然考えていなかったです。
――ある意味しっかりした良い人ですけどね。逆に神様は心配になるぐらい自由人で、大人組もいろいろと物語があっていいですね。ちゃんと大人じゃないのも含めて。
三星:神様は外に出ると穢れてしまうので部屋から出られないという設定があるんです。だから奥さんであるマヴロも出て行っちゃって、グリも神にはなりたくない。
――確かにそれはきついですね。そういえば、学校内でのエピソードは少ないですね。
三星:そうなんです。だから、たまに教室を描くと楽で楽しいんです。
――学校は人も物も多いので大変そうですが。
三星:今連載で書いているファンタジーな展開は読むのは好きなんですけど、いざ自分で描くと大変で、早く現実世界に戻りたいと思いました(笑)。
――描き込みがすごいので好きなんだと思っていました。
三星:あまり自信はないですけど、夢中にはなります。お話を描くまでは(話の内容は)悩んでしまいますけど。
――ネームから変わったりするんですか。
三星:キャラ同士の掛け合いを重視するので、変わることもあります。プロットも書くんですけどそれを見ずにネームを切るんです。
――どういうことですか。
三星:私にとってプロットは、頭の整理をするためのものなんです。だから担当さん泣かせな部分も多いですけど、できてしまえば気にしなくてもいいかなって。それから、ネームを描いた自分と下描きを描いている自分とでよく喧嘩してしまいます、こんなの描けないって(笑)。
――(笑)。そうは言いつつもキャラの仕草も細かく描かれていて、そこが魅力だなと思っています。全身が入る引きの絵が多いなと感じていたので、人物を描くのが好きなんだと思っていました。
三星:キャラが多いので見せたいというのもあります。
私以上に作品を深く理解してくれています
――これからアニメも放送開始になりますが最初にお話が来た時はいかがでしたか。
三星:私を慰めるために言ってるんだろうなって思いました。決定と聞いても疑っていて、ダメだった時のための心の準備をしていたくらいです(笑)。
――そうなんですね(笑)。実際にアニメになったモノを見られていかがでしたか。
三星:すごいです。サブキャラのキャストも豪華で、こんな方々に演じていただいていいのかと思ってしまうくらいです。
――声のイメージはありましたか。
三星:全然ないです。何もないところにアフレコの声がハマった感じです。グリ役の青山(吉能)さんの声を聞いて「はじめまして、あなたがグリですか」って感動しました。小ネタも上手く入れてもらえると嬉しいなと思っていたのですが、限界まで拾っていただけたのでビックリしました。
――アニメを作られている方々も拾いたいんですよ。
三星:マシンガンのような情報量になっていました(笑)。
――原作がそのまま表現されているんですね。
三星:細かいところまで作品を汲んでくれて、びっくりしています。私以上に作品を深く理解してくれています。柚役の長野(佑紀)さんは第1話のアフレコの際に、台本と違うセリフを言われたんです。間違えたのかなと思ったら、原作と同じ言い回しで、そこは尺の都合で表現が変わった部分だったんです。
――すごく読み込んでいただけていますね。
三星:それだけ一心同体になっていただけて、凄くありがたいです。
――放送が楽しみです。まだまだ連載も続いていきますし、さらに盛り上がりますね。
三星:そうですね。アニメから入ってきていただける方にも、好きになってもらえたらいいな。連載では新キャラも出てきて、その子を中心にまたドタバタしていくので楽しみにしていてください。