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鳥居咲子(Rooftop2017年3月号)

 2016年9月に韓国語ラップ読本『ヒップホップコリア』を上梓した鳥居咲子のトークLIVEが、LOFT9 Shibuyaにて開催されることが決定した。韓国ヒップホップの専門サイト「BLOOMINT MUSIC」の運営や韓国のヒップホップアーティストのLIVEを主催するなど、今や日本で有数の韓国ヒップホップLOVERであり自らその魅力を伝え続けている彼女に、現在に至る経緯や韓国ヒップホップの魅力、イベントへの意気込みを語ってもらった。[interview:盧徹圭(LOFT9 Shibuya)]

外資系企業の会社員から韓国ヒップホップの道へ

——はじめに『ヒップホップコリア』を書くことになったきっかけを教えてください。

鳥居:もともと韓国のヒップホップが個人的に好きで、ずっとブログを書いていたんですが、ハマザキカクさんという編集者の方がパブリブという出版社を立ち上げたタイミングで声をかけてくださって。私もご連絡を頂くちょうど1~2週間前に10年勤めた会社を辞めてたんですよ。

——いいタイミングだったんですね。

鳥居:そうですね。当時、外資系の企業でフルタイムで会社員をしながら韓国のヒップホップのライブを主催したりラジオをやったりしていたので生活がパンクしてしまって。でも韓国のヒップホップの活動をしても1円にもならないですし、ライブをやってもマイナスになっちゃう時もあるくらいで。だから会社員で収入をキープしていないと生活ができないんで、辞められなかったんですよ。でもいつまでも中途半端で続けるよりも、一回辞めてやりたいことを中心にやったらそこで道が開けるかもしれないって思って。それで辞めて、「さて、どうしよう」って思ってた時だったんです。

——10年働いた会社を辞めるというのは大きな決断ですね。

鳥居:そうですね。10年もいてベテランなんでやりたいようにやらせてくれてました。でも、とにかくやってみようと。

 

音楽的ルーツはクラシック、ロック

——鳥居さんは音楽を専門的に勉強されていて、ロンドンの音楽大学に留学もされていたそうですが、もともとどんな音楽が好きだったんですか?

鳥居:小さい頃はクラシックを聴いていました。あとはムード音楽とか。中学生の時にビートルズにハマって、高校くらいになると完全にロックの方に気持ちが流れてって。好きだったのはアラニス・モリセット、シェリル・クロウ、あとキャロル・キングに中学生の時ハマって、自分の中の心の師匠?(笑) 彼女が生み出すコード進行とメロディがほんとに好きで。キャロル・キングみたいな音楽をやりたくて自分も音楽やってたんですよ。あとはベン・フォールズ・ファイブとかも好きだったりフィオナ・アップルとか。パターンとしては、ピアノ弾く人がまず好きで、あとはジャズとかブルースの要素が感じられる人ですね。一方でロックも好きなのでアラニスもそうだけど、エヴァネッセンスにもハマった時期があったり、ステレオフォニックスはもう大ファンで、日本来るたびに毎回出待ちしてます。オアシスもすごい好きだし、スパイスガールズみたいなイギリスのアイドルとかもすごい好きだし、マイケル・ブーブレも崇拝してたり、わりと手当たり次第なんですけど、ただ、若い頃絶対に避けてたのがダンス・ミュージックだったんですよ。今は好きなんですけどね。特にダブステップくらいのギュインギュインなのが。

——すごい振り幅ですね。ムード音楽からダブステップまで。

鳥居:そうなんですよ。でも、ダンス・ミュージックとならんで興味なかったのがヒップホップで。サンプリングしたものをループさせたビートにラップを乗せるっていうコンセプトがまず理解できなくて。音楽ってまず、音楽理論があって、楽曲構成があって、コード進行とかメロディラインとかがあるのに、既存のものから抽出して何かするというのがよくわからなくて。唯一聴いてたのがエミネムでしたね。たぶん、私の中の偏見でヒップホップといえばMCハマーくらいで止まってたんですよ。

——だいぶ止まってますねそれは(笑)。

鳥居:偏見で見ようともしてなかったから、ずっと止まってて。やっぱり生楽器信者なんで。

 

韓国ヒップホップとの邂逅

——どういうきっかけで韓国のヒップホップと出会ったんですか?

鳥居:日本にK-POPが入ってくるようになって、耳にする機会が増えたじゃないですか。その時期にYou tubeで何気なくBIGBANGのT.O.Pのソロ曲のTURN IT UPっていうのを聴いたらすごいカッコよくてビックリしたんですよ。その時にちょうどGD&T.O.Pがコラボアルバムを出したんで聴いたらすごいカッコよくて。エンターテイメント性もあるんだけど音楽的にもしっかり作りこまれてて。音楽ファンもアイドルファンもどっちも楽しめるなみたいな。あとファッションもすごいオシャレだなと思って。次にBIGBANGを聴いてみたらBIGBANGの大ファンになったんですけど、音楽的にというよりは一種のエンターテイメントとしてBIGBANGのことを追いかけることに喜びを覚えてました。それと同時にSupreme Teamを知って。音楽的にはSupreme Teamにどっぷりハマりながら、情報は常にBIGBANGの方を追ってました。そのうちBIGBANGの事務所にEpik HighのTabloが入って聴いてみたらすっごいよくてハマって。いろんな人とフィーチャリングしてたので知っている名前が増えていって。そうするとだんだん「私この人のラップ好きだな」とか。アルバムを買って聴いていくうちに沼にどんどんハマっていって。

——沼ですか。

鳥居:それが2011年だったんで…6年前ですよね。6年間、その沼の中にいるんです。

——(笑)。

鳥居:上がってこられないんです(笑)。出られない。

——その当時の情報検索はどうされてたんですか?

鳥居:韓国語がわからないので、とにかく英語のスペルをいろいろ入れてみたり、CDに書いてあるハングルのスペルでアーティスト名入れてみたり。韓国にいるマニアみたいな人が書いてるブログとかをGoogle翻訳にかけて、なんとなく理解したり。あと英語で情報書いてる人もたまにいるんですよ。だから英語で歌詞書いてる人と自動翻訳のめちゃくちゃな日本語を照らし合わせながらこの単語はこれだなみたいな。

——すごい地道な作業ですね(笑)。

鳥居:オタクなんですよ、基本っ!(笑) ほんとにオタクで。とにかくわかる範囲でなんとか「こうなんだろう」みたいなふんわりした理解の中で進めていった感じですね。だから割とふんわりしてる時期も長かったですよ。いつまでもアーティストの顔も覚えなかったし。

——どの辺りで切り替わるんですか?

鳥居:2012年にPrimaryがアルバムを出したんですけど、そこにいろんなラッパーが参加していて。それを聴いてだいぶクリアになった感じですね。ミュージックビデオ見て「あ、この人なんだ」とか。そのあと韓国語の教室に行って勉強し始めました。

——韓国のヒップホップにハマっていくのと同時に、日本のヒップホップへの興味が湧いたりはしたんですか?

鳥居:日本のヒップホップは、EAST END×YURIのDA.YO.NEとかで止まってて。

——それだいぶ止まってますね(笑)。

鳥居:あとは単純に基本洋楽が好きなんで、洋楽の情報を追って、同時に韓国の情報を追うのに忙しくて。アメリカとか日本のヒップホップを掘り下げようとは思わなかったですね。韓国のヒップホップにハマってからはもともと好きだった洋楽からも1年くらい離れちゃったくらい韓国のヒップホップの情報を追う毎日が忙しくて。だから日本のヒップホップを聴いてみようとは思いつきもしなかった感じです。でも、最近聴いて「いいな」と思ったものはありますね。

——たとえば誰でしょう?

鳥居:ちゃんみなを聴いて、すごいうまいなーと思って。リズムが違うなって。あとたまたまライブで見てカッコいいなと思ったOTOGIBANAHI’Sとか。RhymeStarも2年くらい前まで知らなかったんですけど(笑)、聴いてみたらすごいよくて、日本語のラップにもいいものがあるんだっていうのを知りましたね。

 

Live info.

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鳥居咲子×ZEN-LA-ROCK×丸屋九兵衛が語る『ヒップホップコリア』と日米韓ラップ

3月16日(木)

【出演】鳥居咲子、ZEN-LA-ROCK、丸屋九兵衛

OPEN 19:00 / START 20:00

前売¥2,000 / 当日¥2,500(税込・要1オーダー500円以上)

前売券はe+にて発売中!

【会場】LOFT9 Shibuya

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