Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューfam(Rooftop2017年2月号)

時を経て、再び歩み始めた彼らが見つめる景色

2017.02.01

 2011年に惜しまれつつシーンを去った、famが再始動!
 6年ぶりの音源『glare / view』を発表、そして東京で初となるワンマンライブを開催。彼らが再び集まるまでの道程、時を経て変わった心情を、メンバーを代表して、Dr.山﨑聖之に語ってもらった。(interview:川本 俊[下北沢SHELTER] )

数本のライブから再結成へ

──Rooftop初登場となります。簡単に自己紹介をお願い致します。

山﨑:famのDr.cho 山﨑です。

──famは2011年に解散。そして昨年の3月に再結成しましたが、それまでの経緯を教えて下さい。

山﨑:解散したのが2011年3月で、3月末に予定していた地震のチャリティーイベントが会場の液状化の影響で使えなくなってしまい、中止になってしまったんです。解散した後はメンバーそれぞれの生活を優先してたんですけど、しばらくして落ち着いて来たのが2014年の頭ぐらいで、そのタイミングでやっぱりあのイベントをやろうという話になって。解散してはいたんですけど、千葉LOOKと稲毛海岸で、2本ライブをしたんです。それだけの復活かな? と思っていたんですけど、お誘いを頂いて、何本かライブをやっちゃってて(笑)。それで、またやりますか! という話になって、本格的にやりましょうってなったのが去年の春頃ですね。周囲からは、別れているのにたまにやっちゃう女みたいな感じだねって言われたりもして(笑)。

「やりたいことをやろう」

──再始動後、初となる会場限定CD 『glare / view』ですが、どのような作品に仕上がったでしょうか?

山﨑:昔からそうなんですけど、僕がギターでメロディを作って、Vo米田が歌を付けるという形が多くて、今回も今まで通りその感じで作った1曲と、Baの有田が作って持ってきた曲を「有田さんが歌っちゃえばいいんじゃない? 違う色が出せるし!」という感じで完成した1曲。この2曲のシングルになりました。でも2人とも声が似ているらしくて、あまり気づかれないっていう(笑)。今回は今までのfamとは違った印象のCDになっていると思うんですが、今までがどうとかよりも「やりたいことをやろう」という始まりを感じていますね。当時の感じとは違うので、どう思われているかな? とは思うけど、メンバー3人的にはすごく好みの作品ができたと思っています。

──これからは日本語が中心になっていく感じですか?

山﨑:メインで歌っている米田の中ではこれからは日本語で歌って行きたいって気持ちが強いようですね。だからといって英語でこれから一切やらないわけでも無いと思うし、速い曲とかも作ってたりするので、どんどんとっ散らかって行く感じになっちゃうのかな…(笑)。

──今回の音源は3P3Bからのリリースとなりました。どういった経緯だったんでしょうか?

山﨑:昔から僕がASPARAGUSが好きだったというのもあるんですけど、famが活動し始めた当時、曽根さん(3P3B代表)にデモ音源を渡して、「東京でもライブの予定がありますので良かったら来てください」って言ったらすぐに観に来てくれて。そこからずっと気にかけていただいてライブにもいつも来てくれていたんですが全然CDを出してくれなくて(笑)。「まだ早い」って言われ続けて…結局、違うレーベルから出したんです(笑)。でも解散を経て、また活動していきますっていう報告をしたら「絶対やらせろ!」と言っていただいて(笑)。是非お願いします!という流れでしたね。

「負けない」から「楽しむ」へ

──再始動後はSHELTER25周年企画、"quietly 2"、"INTO IT. OVER IT. JAPAN TOURのサポートと3本のライブを行いました。バンドのライブ感やテンション感はいかがでしょうか?

山﨑:当時はもっと若かったし、「負けねぇ!」っていうのが全面に出てた気がするんだけど、今は当時とは違ったベクトルでライブをやってるので、それが一番変わったかな。集中しているんだけど当時と向かっている矛先が違うような気がします。もうちょっと和気あいあいとしているし、楽しく演奏できていますね。曲調的に暗い感じや悲しい感じは多いけど、やっている感じは当時と全然違う。大人になったというか、各々が丸くなったのかな(笑)。

──3人で演奏することを、より楽しめている感じですかね?

山﨑:うん。楽しめていますね。メンバー間の雰囲気がすごく良くなっている。バンドの活動ペースも、しょっちゅう集まれるわけではないから、スタジオに1回入るだけでも集中している感じがします。他のメンバーも楽しくやれていると思うし、意欲的になっていますね。3人とも曲を作れるからいろんな曲ができるし、1人3曲ずつ作ればアルバムが作れるじゃん、頑張りましょうって(笑)。

──山﨑さんご自身は昨年から新バンドthe firewood project、そしてCOUNTRY YARDの新ドラマーとして大きな動きがあった1年だったと思うのですが、他の活動を通してfamに影響している点などあったりしますか?

山﨑:やっぱりあると思いますね。別のバンドをやっているのは僕だけだけど、他のバンドで知り合った人とfamで一緒にやれたり、famで繋がったバンドとfireで一緒にやったりとか。それでfamを知ってくれたりとか。あと他のバンドでは、俺は作曲をしないから、この人こういう感じで曲を作るんだなぁ、この人のこういうフックみたいなところが良いなとか、そういう部分は自分で自然と吸収しているんじゃないかと思います。他のバンドのメンバーも、本当にみんな音楽が好きな人ばっかりだから、いろんなバンドや音楽を教えてくれたりとか、年齢的に結構先輩であったりもするし。そういう自然と入って来るものの間口が増えている感じがする。良いんだか悪いんだかはわからないけど(笑)。いろんなバンドで活動をしてきたからこそ知れたことがたくさんあったんだよな、と思っています。遡ると本当にいろんなバンドやったなぁ。若い頃はfamだけだったのに(笑)。

──そして、再始動から初となるワンマンライブですが開催の意図、どのような1日にしたいかをお聞かせください。

山﨑:東京でのワンマンライブはずっとやりたかったし、再始動ですしね。これといってトピックはそこには無いんだけど、単純に開催できることが嬉しいです。ワンマンってやっぱ2〜3バンドでやるイベントとはいろんなことが全然違うし、自分たちを観に来てくれているお客さんしかいないわけだし、だれちゃうとダメですしね。何なら新曲もたくさんやりたいなぁとか。断片みたいな曲も多いからワンマンのときにはそれを形にして披露できたら良いなとも思っています。新旧折り混ぜつつね。ありがちだけど(笑)。

──良い意味で、時間の経ったfamが見れそうですね。

山﨑:それを面白い感じでやれたらなと。良いワンマンライブができるように頑張ろうと思っています!

──シェルターという場所にはどんな気持ちがありますか?

山﨑:大好きですよ! 18、19歳の頃はシェルターでライブができれば死んでもいいと思ってましたから(笑)。その後、意外とすぐに出演はできちゃったんですけど(笑)。もともと、シェルターは若い頃にASPARAGUSやHAWAIIAN6をさんざん見に行ってましたからね。シェルターのステージに立った時は毎回、感慨深い気持ちになるし、それは他のライブハウスではないことかもしれない。思い入れが凄くありますね!

──最後にRooftopの読者に向けて一言お願い致します。

山﨑:もはやなかなか活発には活動できないバンドなので(笑)、当たりまえですが1本1本を大事にして、素敵なライブができるよう日々頑張りたいと思っています。会場限定のCDは本当に良い作品に仕上がったと思うので、たくさんの方に聴いてほしいと本当に思っています!

glare / view

3P3B-71
1,000円+税
売元:3P3B Ltd.

LIVE INFOライブ情報

2017.2.18(sat) 下北沢SHELTER
fam one man live "masses"
出演 : fam
open18:30 start19:00
adv¥3,000(+1drink) door¥3,500(+1drink)
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