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HAVE A NICE DAY! 浅見北斗(Rooftop2017年1月号)

 東京のジャンルレスなアンダーグラウンド・シーンから登場した浅見北斗率いるHave a Nice Day!(以下、ハバナイ)とMCバトルによって大ブレイク中のラッパー、DOTAMA率いるFINAL FRASHが1月31日に下北沢SHELTERで対バンする。この異色対決を前に、2016年11月に4枚目のアルバム『The Manual (How to Sell My Shit)』をリリースしたばかりのハバナイの浅見北斗に話を訊いた。(interview:二木信)

熱狂を求めることは変わらない

 

――2014年9月に音楽ウェブサイトの〈ele-king〉でインタヴューさせてもらった時の浅見くんの発言で、印象深かった言葉があるんです。「これまで〈SCUM PARK〉は閉じてたけど、この強力なコミュニティが別の強力なコミュニティとぶつかって、サヴァイブして、新たなビッグバンを起こす。それぞれのコミュニティ・ミュージックがそうやって衝突して、新しいムーヴメントが生まれていけばおもしろいと俺は考えてますね。」2年ちょっと経ちましたけど、その当時から見ている景色はどう変わったかをまず聞かせてください。

 

浅見:今はシーンのこととかあまり考えてないですね(笑)。シーンがある程度大きくなっていくと、そのシーンにいるみんなと意思疎通がそこまで正確にできなくなる。それぞれの状況も変わるし、俺の思想や考え方とマッチしないことにも手を出し始める人も出てくる。そういう状態でシーンに固執すると、自分のやりたいことができなくなる。だから、以前にも増して今はハバナイというバンドに軸を据えて活動してますね。2015年前半まではハバナイでワンマンやるなんて考えられなかったけど、2015年11月に〈LIQUID ROOM〉で『Dystopia Romance』のリリース・パーティをやって、今年5月(※取材は2016年12月)に〈O-WEST〉でワンマンをやった。ただ、見ている景色は〈SCUM PARK〉をやっていた当時と変わらない。やっぱりフロアのバキバキの熱狂ですよ。当時と違うのは、その熱狂をハバナイとそのオーディエンスとの関係性の中で作ってるところですね。

 

――そうやって環境が変わる中でライヴのやり方はどう変わりましたか?

 

浅見:昔はゆっくりした曲ができないと思ってたけど、今はゆっくりした曲もやれるようになりましたね。2015年に「Blood on the Mosh Pit」を作って、ああいう曲を演奏してもライヴが成立することがわかった。2014年ぐらいの頃は演奏時間はせいぜい20分か30分だったけど、今は45分が平均で、ワンマンともなると1時間半ぐらいやるでしょ。そういう中でライヴのやり方も変化してきていますよね。

 

――11月に4枚目のアルバム『The Manual (How to Sell My Shit)』を出しました。しかもバンド編成が変わりました。浅見北斗(Vo, Key)、チャンシマ(Dr)、遊佐春菜(Key)、むつお(Gt)、内藤(Vo)と。「666」のようなギターを大々的に取り入れたサウンドはハバナイにとってはチャレンジですね。

 

浅見:たしかにこれまでの編成ではできなかったサウンドをやっている。自分としてはアッパーな曲が少ないと思うし、World's End Girlfriendにアレンジをやってもらったのが大きい。アレンジ前はだいぶ地味だった曲がアレンジによってだいぶ変わった。

 

インターネットは君に愛を伝えるために生まれた

 

――浅見くんの最近のインタヴューで2016年に大きな話題になったフランク・オーシャンの『ブロンド』をフェイヴァリットに挙げていたのが印象に残りました。ジャンル関係なく新しい音楽に貪欲ですよね。そこもハバナイの強みだなと。

 

浅見:バンドは下手をするとルーティンになっちゃうから、アイディアを求めて常に新しい音楽を聴こうとしている。新しくはないけど、ボーズ・オブ・カナダの別名義のヘル・インターフェースが過去のファンクをリミックスした曲を久々に聴いたらメッチャ良かった! それこそボーズ・オブ・カナダをリリースしてる〈ワープ〉(イギリスのクラブ・ミュージック系のレーベル)は、去年OPN(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)、今年はダニー・ブラウンのアルバムをリリースしていて面白いですよね。あと、今まで全然ピンとこなかったアーケイド・ファイアの良さがやっと今年わかった!

 

――ハハハ。あと、ソングライターとしての浅見北斗を語る上で欠かせないのは、そのロマンティックな歌詞ですよね。今回のアルバムに入ってる「LOVE SUPREME」という曲の「星屑が降る夜に世界中の悲しみと涙かき集めて巨大なプールで朝まで遊ぶ」とか、なかなか書けないですよ。

 

浅見:ハハハハハッ。ロマンスですよ。歌詞は書くのはメチャクチャ時間かかる。トラックとオケが先にできてそこから書くんだけど、歌詞は何回も修正しますね。で、歌詞を修正するとアレンジも変えないといけなくなる。そう、今回のアルバムの中に絶対に入れたいと思った歌詞があるんです。それは、「ミッドナイトタイムライン」の「インターネットは君に愛を伝えるために生まれた」というライン。ツイッターで「インターネットはみんなを幸せにするために生まれたのに、なんでこんなに憎しみに満ちているんだろう」みたいに憤慨してるヤツがいて、熱いなって思ったんだ。そこからアイディアをもらった。

 

――それこそ浅見くんが主催していた〈SCUM PARK〉ってイベントと、〈歌舞伎町Forever Free!!!〉や〈SHIN-JUKE〉ってパーティの劇的な連動によって生まれた2014年ぐらいのシーンはインターネットがなければ成立しなかったですよね。

 

浅見:そう。だから、ネットはメチャメチャでかいですね。もちろん、戦争や争いは良くないと思う。ただ、憎しみは人間の性というか、人間の持つ感情じゃないですか。インターネットによってそういう人間の本質が表面化しているだけで、人間はそういうものだと受け入れるしかない。俺はいまだにインターネットには愛の方が大きいし、そもそもお花畑みたいな世界だけが広がっていても気持ち悪いと思う。

 

ムーヴメントが終わってもバンドを続ける

 

――相変わらず素晴らしく熱いなあ。1月31日に下北沢のSHELTERで、MCバトルをきっかけに大ブレイク中のラッパーのDOTAMA率いるバンド、FINAL FRASHとの2マンがありますね。

 

浅見:実はDOTAMAくんとは、面識があるとまでは言えないけれど、何回か対バンしてる。というか、俺はDOTAMAくんの音楽を一方的にすごい昔から聴いてる。2000年代中盤のFragmentやキリコと一緒にやっている曲とか、北関東スキルズ(DOTAMAが所属していたヒップホップ・グループ)も聴いてましたからね。DOTAMAくんやFINAL FLASHと俺やハバナイはどこかで通底してるんですよ。似たような間口の広さと、どのシーンにもハマらない居心地の悪さ(笑)。そこはお互いに共通したキーポイントだと思う。

 

――ハバナイは2マンとかになると、バトル・モードで臨むんですか? 

 

浅見:昔は対バン相手にバトル・モードだったけど、最近は完全にバンドとフロアの関係性でライヴしてるんですよ。こういう2マンの時にバトル・モードでMCを始めると、客からの野次が凄すぎてライヴにならない(笑)。「浅見、とっとと始めろーー!!」って。なので、バトル・モードではやりません。

 

――こういうちょっとジャンルが違うように見えるバンドとのライヴはハバナイにとっては珍しいことではないですしね。

 

浅見:そうですね。今回のアルバムの「24hours」って曲に入江陽くんが参加しているけど、彼も俺が個人的に好きでネットで話しかけてオファーして曲を作った。ワンマンのライヴには永原真夏ちゃんや大森靖子さんにも参加してもらったし、以前よりもメジャー/インディーとかも関係なく、リスペクトできる人とはやっていきたいと思ってますからね。若いバンドとも交流してる。異種格闘技戦というかね。

 

――異種格闘技戦と聞いてちょっと最初の話に戻るんですけど、浅見くんは2014年に当時のそれこそジャンルがバラバラの混沌としたシーンの熱気を詰め込んだV.A.『Fresh Evil Dead』というコンピレーションを監修しているじゃないですか。あのシーンは今どうなってますか?

 

浅見:すっかり落ち着いちゃいましたね(笑)。あのネイチャー(NATURE DANGER GANG)も活動休止しますしね。

 

――2年前に取材させてもらった時に、映画の『アメリカン・ハードコア』の話になって、「あれだけでかかったムーヴメントが5、6年という短命で終わるじゃないですか。その、エネルギーだけでやって終わる刹那的な感じもわかる」って浅見くんは語っていたんですよ。

 

浅見:うん、だから、俺はマイナー・スレットを解散したあとにフガジを始めたイアン・マッケイということにしておきたい(笑)。彼みたいなストイックさは真似できないけど、そこにこだわりたい。ムーヴメントが終わってもバンドを続けた男として。

Live info.

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2017年1月31日(火)

SHELTER PRESENTS [BATTLE50×50]

OPEN 19:00 / START 19:30

ADV¥3000 / DOOR¥3500

[発売]PIA・LAWSON・eplus・SHELTER 発売中

●Pコード:315-160/ Lコード:73000

出演:Have a Nice Day! / FINAL FRASH