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INTERVIEW

トップインタビュー<良質な曲を伝えたい!>ロフト40周年イベント「DREAM MATCH 2016」特別対談:つじあやの(web Rooftop2016年9月)

目の前に居てくれている人に向けて一生懸命歌うだけ

2016.09.23

 いよいよ、この対談も今回が最終回。登場するは、主催・新宿ロフトの樋口寛子が、今回出演するアーティストのうち、最も古くからの付き合いだという、つじあやのだ。
1998年に、まだブッキング担当になりたてだった頃に手に入れた一本のカセットで一聴惚れ。イベント出演を依頼したのが、なれそめだったと言う。「私が一番最初にブッキングしたアーティストさんたちを代表して、是非とも今回の記念すべきイベントに出てもらいたい!」との樋口の思い入れの込もった依頼を快諾。今回の『DREAM MATCH 2016』の出演に至ったと聞く。
出会いから18年。今や大の親友的な間柄の、この二人。それだけに今回の対談も想い入れたっぷりなものとなった。
当日の意気込みに対し、「目の前に居てくれている人に向けて一生懸命歌うだけ。とにかく自分の歌と演奏で楽しんでもらえたら嬉しいです」と真摯に語る、つじ。当日はウクレレ弾き語りでの歌の披露を予定しており、その風景感やどこかノスタルジックな雰囲気や、時に風や温かみを感じる彼女の歌は、きっと、あなたの気持ちや心を、しばし心地良いところに誘ってくれるはずだ。

「18年前に出会ったあやのちゃんのカセットで一聴惚れし、即イベント出演をオファーした」(ロフト 樋口)

 
━今回のフェスは、全10組のアーティストさんが出演するのですが、その中でも樋口さんは、つじさんと最も古い付き合いだそうですね。
樋口 : そうなんです。私が現在地のロフトでイベントを任され出した1998年に組んだイベントに出演していただいた中の1組がつじさんだったんです。
━ちなみにつじさんとの最初の接点は?
樋口 : CDショップで見つけた1本のカセットテープでした。まだインディーズの頃で。可愛いくて素敵なカセットテープだなと思い、購入しました。聴いたら凄く良くて。即イベント出演をお願いしました。
つじ : で、京都から東京の樋口さんのブッキングしたイベントに呼んでもらったんですけど、そのライブの数日前に、当時、樋口さんが作られていた冊子のインタビューを受けたのを覚えています。それが樋口さんと直接話した最初でしたね。まだデビューの1年ぐらい前だったので同世代の方と色々お話しできる事がとても嬉しかった記憶があります。
━当時、つじさんは新宿ロフトはご存知でしたか?
つじ :: もちろん知ってました。でも、<バンド!!>ってイメージのライヴハウスだったので、出演の声をかけていただいた時は、”まさかそこに自分が出れるとは…”って感じでした。最初のステージは嬉しさもありましたが、かなり緊張もしていたと思います。
━18年前と言うと、まだロフトもパンク色の強いイメージが残っていて、ちょっと怖い印象があったかもしれません。
つじ :でも、入り口が樋口さんとの出会いだったこともあり、そこまでではなかったんです。”ああ、こういった人も働いてらっしゃるんだ…”って安心があったと言うか。親しみやすい方なんで、それが中和につながったのかなと(笑)。
━わかります(笑)。
つじ :なので正直、ロフトのステージに立つというよりかは、樋口さんのイベントがロフトで行われる、そんな参加意識に近かったかもしれませんね、当時は。それから私、昔から京都でも吉田寮とかメトロというクラブとか、わりかし男臭いところでやっていたこともあったんで、その辺りとロフトの空気感が似ているところもあり、それほど違和感なくロフトのステージに立てたのかもしれません。
 
 

「世代は違えど、アーティストの根本は、昔からあまり変わっていない」(ロフト : 樋口)

 
━つじさんのロフトや樋口さんとで印象深かったことを教えて下さい。
つじ : これまでもここ18年ぐらい、樋口さんのライヴに呼んでもらってきたんですけど、つい先日、自分が随分と先輩的な立ち位置になっていたことを実感する出来事があって。"ああ、私も出た頃は一番若い世代だったな…”って改めて思いました。その日も、みなさん、私に対しても、「お疲れ様でした‼」って感じだったんです。そう考えると、樋口さんは凄いなって。今でもキチンと次から次へと現れる若い世代のアーティストさんとも同等に付き合っているし、そんな人たちに対しても非常に面倒見がいいですからね。たいがい歳をとると保守的になったり、自分の知らないものに対して飛び込んだりって、しなくなっちゃうじゃないですか。だけど、樋口さんは常にそれをやり続けて、ここまで来ているんですもんね。それは凄いし、素晴らしいことだと思っています。
樋口 : この仕事をしていると、歳はとれませんからね(笑)。次から次へと新世代が現れるんで、常にそことも向き合い、真摯に音楽を受けとめながらつき合うことを心がけています。新しい世代の子たちとも、話しているとけっこう面白いんですよ。自分には無い考えや発想もあったりして。勉強になるところもあったりします。「世代は違えど、あまりアーティストの根本って、そう変らないんだな…」と若いアーティストさんと話していて思うこともありますよ。そんな中でも私が意識しているのは、例え年下でも親しみやすく接しているつもりです。
 

「あの日のイベントがあったから今も続けられている。その想いも込めて出演依頼をしました」(ロフト : 樋口)

 
━ところで、つじさんは、『DREAM MATCH 2016』に誘われてみていかがでした?
つじ :ホント嬉しかったです。ロフトのイベントなのに、ロフトじゃないところでやるのも面白いし。出演バンドも多岐に渡っているし。なんかデビューした頃を想い出します。
━ちなみに当日は、どんな気持ちで臨みそうですか?
つじ : もう、目の前に居てくれている人に向けて一生懸命歌うだけです。各人好きなアーティストも違うだろうし。初めて観て下さる方も居るだろうし。とにかく自分の歌と演奏で楽しんでもらえたら嬉しいです。自分を出し切りたいですね。
━共演するアーティストさんに関してはいかがですか?
つじ : 豪華ですよね。見逃せないアーティストさんばかりで。まさに樋口さんの集大成的なイベントだなって。そんなイベントに誘ってもらえて嬉しいです。
樋口 : あやのちゃんには、自分がブッキングした最初のアーティストの1人でもあったので、絶対に出て欲しかったんです。私にとって当時から今もキチンと現役で音楽に携わっている数少ないアーティストのひとりなので。
━確かに。
樋口 :初めて出てもらったのが18年前ですからねぇ。そう考えるとこの長い縁も凄いことだなって。私も、あの日のイベントがあったから今も続けられているところもあるし。あれがモチベーションのひとつとなって、今の私が居るというのは確実にありますからね。ホント、今回の出演の快諾は嬉しかったです。
つじ :もう、当日はまっすぐ自分の歌を届けるだけです。私のことを知らなかったり、興味がない方も少しでもいいので、当日は耳を傾けていただけたらなと。こういった音楽もいいなと立ち止まって聴いていただけたら幸いだし、そこで何か色々なことを想い出したり、色々な光景が広がってくれたら嬉しいです。
 
 

「ロフトにはこれからもスタッフの顔が浮かんでくるようなライヴハウスで居続けて欲しい」(つじ)

 
━今後お互いに臨むものがあったら教えて下さい。
樋口 : これからも、いつまでも多方面に渡って、<つじあやの>で居続けていて欲しいです。
つじ : 樋口さんには、ずっとこのまま、上の世代のミュージャンから下の世代のミュージシャンまで、幅広い方に親しまれ続けて欲しいですね。あと、プレイベ-トでは…是非幸せになって欲しい(笑)。
━最後に今年40周年を迎えたロフトに、つじさんからメッセージをお願いします。
つじ : 40周年おめでとうございます!  今も昔も日本の音楽シーンに無くてはならないライヴハウスだと思っているので、その脈々と受け継がれているものを、これからもどんどん先に繋げていって欲しいです。私の地元の京都には、磔磔(たくたく)や拾得(じっとく)といった老舗のライヴハウスがあり、そこではそこのスタッフの顔が浮かんで来るほど、みなさん親しみを持って付き合って下さるんですが、私にとってロフトは、東京には珍しく、そういったスタッフの顔が浮かんでくるライヴハウスでもあるんです。是非その辺りは、今後も守り続けて欲しいですね。特に地方から来たバンドにとっては、ロフトみたいなライヴハウスは出ていてかなり安心すると思うんです。それをいつまでも守り続けて、引き継いでいき続けて欲しいです。
 
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LIVE INFOライブ情報

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2016.09.25(Sun)
SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY MUSIC FES DREAM MATCH 2016
TSUTAYA O-EAST
 
【出演】
スキマスイッチ、ヒグチアイ、藍坊主、成山剛(sleepy.ab)、堕落モーションFOLK2、音速ライン、SAKANAMON、Brian the Sun、つじあやの、メレンゲ  全10組出演!!
【出展】
「路地裏の僕たち」
※フジファブリック初代Vo&G志村正彦の故郷、山梨県富士吉田市在中の同級生を中心とした団体
【時間】
開場 13:15 開演 14:00
【料金】
前売 ¥4,800 当日 ¥未定 ※ドリンク代別
【会場】
TSUTAYA O-EAST(〒150-0043 渋谷区道玄坂2-14-8 / 03-5458-4681)
【チケット】
・一般発売
イープラス、ローソン、ロフト店頭、Yahoo!チケット、Live Pocketにて一般発売
主催:SHINJUKU LOFT
企画制作:LOFT PROJECT / VINTAGE ROCK std.
協力:LivePocket-Ticket- / LUCK'A Inc
お問い合わせ:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900 / 平日12:00〜17:00 / http://www.vintage-rock.com)
 
「SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY DREAM MATCH」
写真展開催
9/16~9/24 LOFT9 shibuya カフェ内
※入場無料
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