Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE BOY MEETS GIRLS(Rooftop2016年8月号)

「誰も一人ぼっちにしない音楽」、ここにあります!
笑って泣けるノスタルジックポップバンドがふるまう音の鳴る弁当箱、どうぞ召し上がれ!

2016.08.01

 「誰も一人ぼっちにしない音楽」を掲げて活動する名古屋出身の4ピース・バンド、THE BOY MEETS GIRLS(以下、TBMG)が発表した3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』は、あなたの「おとなり(お隣り)」で「おとがなる(音が鳴る)」極上の弁当箱だ。食材は、一撃必殺のアッパー・チューン、センチメンタルなダンス・ナンバー、メロウなシティ・ポップ、トロピカルでやんちゃな無礼講ソングなど実に多彩でボリュームも満点。添加物ゼロで体と心に優しく、食べ方もおかわりも自由。また、音の名料理人・滝 善充(9mm Parabellum Bullet)がサウンド・ディレクションとして参加したことで、TBMGが持つ本来の旨味とコクを引き出すことにも成功している。これだけ美味しく仕上がった弁当なら食べなきゃ損だし、あとはあなたに食べてもらうだけだ。彼らが丹精こめてこしらえた手作り弁当、温かいうちにどうぞ召し上がれ。(interview:椎名宗之)

音楽だけが誰にも言えない気持ちを分かってくれた

──みなさんはいまも名古屋在住とのことですが、それがTBMGの音楽性に反映されているところはありますか。
高島大輔(vo , g, syn):名古屋にいるから唄える曲はあると思いますね。いずれは時期を見て東京で活動することも漠然と考えてますけど、いまはできるだけ結成した時の環境でやっていきたい気持ちが強いんです。自分たちの地元を盛り上げたい気持ちもありますし。
中野翔平(g, cho):最初に出した『坂巻通り』(2013年5月発表)は地元にいたからこそ出来た作品でしょうね。
高島:あのアルバムは特に名古屋がテーマってわけじゃないんですけどね。僕らが大学時代に下宿していたのが名古屋市の隣りにある北名古屋市というちょっと田舎っぽい所で、名古屋の中心街のほうへはあまり行かずに近所の公園でみんなでお酒を呑んだり、うろうろしてたんです。その頃の空気感みたいなものが『坂巻通り』には入ってるんですよ。
──そもそもはどんな経緯で結成されたんですか。
高島:僕らは名古屋の保育大学で出会った友達で、1年生の頃から各自バンドをやっていたんですけど、大学を卒業するタイミングで僕がこのメンバーに声をかけてTBMGを結成したんです。
かつくん(ds, cho):就職か? バンドか? の過渡期だったよね。
高島:最初は純粋に自分たちが楽しいと思える音楽をやっていきたかったんです。結成当初はバンドも就職もどっちも両立させたかったんですけど、やっていくうちにバンドにどんどん熱が入っていって、しょっぴー(中野)とドメ(DOMESTICKS)は途中でバンドを優先できる仕事に変えたりもしたんです。僕はいまも昼間に保育の先生をしているんですけど。
──バンド活動に本腰を入れるようになった転換点みたいなものはあったんですか。
高島:『坂巻通り』の時から良い反応をもらえたので割と最初から自信はあったんですけど、『RO69JACK 2014』(ロッキング・オンが主催するコンテスト)に入賞した前後からバンドをもっと良くしていこうと思った気がします。
DOMESTICKS(b, cho):うん、あの辺りで変わったよね。
──それ以降、リリースを順調に積み重ねて、バンドが注目を浴びつつあるのを実感していますか。
中野:東京のライブでお客さんが増えてきてるのは感じますね。
かつくん:対バンに誘われることが増えましたね。どういうわけか「名前を聞いたことがある」と言われることが多くて、名前が先行してるのかな? とも思うんですけど(笑)。
──これまで何度も訊かれてきたかと思いますが、改めてバンド名の由来を聞かせていただけますか。
高島:僕がバンドを始める時に最初から考えてた名前なんです。映画や小説とかの物語のジャンルでボーイ・ミーツ・ガールものってあるじゃないですか。男の子が女の子と出会って恋に落ちるっていう。誰かを好きになった時のときめきや揺れる思いを音楽にしたかったし、人生が続く限り人との出会いはずっとあるわけだから、誰かとの出会いについて唄っていけたらいいなと思ったんです。
──出会いから生まれる人との縁、恋に落ちた時の高揚感がTBMGの音楽のコンセプトということですか。
高島:それもあるし、一つテーマに掲げているのは「誰も一人ぼっちにしない音楽」をやることなんですよね。
──聴く人に寄り添うような音楽をやっていきたいと?
高島:そうですね。僕が思春期の頃は悩みやコンプレックスが絶えずあって、誰にも言えない、分かってもらえないような思いをたくさん抱えていたんです。そんな自分の思いに共感してくれたり、分かってくれた存在が音楽だったんですよ。銀杏BOYZとかGREEN DAYとかを聴いて失恋の痛手を癒してもらったりして。
 

音楽とアイスクリームは形がなくなっても残るもの

──「誰も一人ぼっちにしない音楽」という高島さんのコンセプトを最初に理解したのがこの3人だったというわけですか。
高島:いや、最初はそのコンセプトが3人に上手く伝わってなかったんですよ(笑)。
かつくん:みんな徐々に理解した感じですね。そのコンセプトは歌詞の端々に出ていると個人的には思っていて、大ちゃん(高島)は「俺らについてくれば大丈夫だよ!」って言うタイプじゃないし、それよりも「ずっとそばにいるよ」とか「一緒に頑張ろうよ」っていう温かみのある歌詞にバンドのコンセプトが出てると思うんです。そういうのが結成5年目にしてやっと分かってきました(笑)。
DOMESTICKS:僕は最初から理解しようとせず、高島のやることにとりあえずついていこうって思ってましたね。自分はベースを弾くのが好きだし、高島が作ってきた曲をみんなで演奏するのが好きだから、コンセプトがよく分からなくてもひとまず任せてついていこうって。高島としょっぴーがやってたTBMGの前身バンドには一目置いていたし、高島の書く曲やセンスには全幅の信頼を置いているので。
──ちなみに、その前身バンドではどんな音楽をやっていたんですか。
高島:いまと全然違いましたね。9mm Parabellum Bulletのコピーをやったこともあったので(笑)。
中野:TBMGは前のバンドとは全然違ったけど、高島がやりたいことは結成した時からなんとなく分かったんですよね。「どこでもドア」(『坂巻通り』収録)を最初に聴いた時から、TBMGではこういうことがやりたいんだなと思ったし。
──本作『OTONARI BENTO BOX』で言えば、スロー・バラードの名曲「レイニーレイニー」に「こんな日は僕の傘に入りなよ」「辛い時はお互い様さ」という歌詞があって、僕にはそれが「誰も一人ぼっちにしない音楽」を端的に表していると思えたんですよね。
高島:そうですね。君も僕も同じ立場なんだし、「頑張ろうよ」って言うよりも「辛い時はお互い様だよ」って言うのがちょうどいいなと思ったんです。
──今回の『OTONARI BENTO BOX』のなかで問答無用にアッパーで勢いがあるのは1曲目の「アイスクリームポップスター」くらいで、あとはミディアム・テンポ主体の曲が多いですが、それは意図するところだったんですか。
高島:いまも「誰も一人ぼっちにしない音楽」とはどんなものなのかを自分たちで模索してる段階で、そのコンセプトにより近づこうと取り組んでみたら今回はこうなかったという感じですね。ディスコっぽいのもあり、トロピカルな感じもありと、どれも曲調が違うのは意識してることで、音楽的なジャンルを限定しようとは思ってないですし、どんな要素が入ってもTBMGの音楽になると思ってるんです。だから次はいきなりバキバキ系の音楽をやることがあるかもしれません(笑)。ずっといろんな音楽を好んで聴いてきたので、バンドでもいろんな曲調に挑戦してみたいんです。
──パンチのあるパワーポップ・チューン「アイスクリームポップスター」は、テンポの速さも含めてTBMGの新機軸といった感じですか。
高島:新しいと思いますね。ああいうタイプの曲はいままでなかったので。
──高島さんが心の拠り所にしていた音楽をアイスクリームになぞらえて、どちらも消えてなくなるものだけど心には残るもの、というのが歌詞のテーマですか。
高島:僕の母親は忌野清志郎さんがすごく好きで、ライブに連れて行ってもらったこともあるんです。清志郎さんが亡くなっても清志郎さんの歌はいまだに聴き継がれてるし、まるでいまも生きているように思えるじゃないですか。つまり、音楽はそうやっていつまでも残っていくものなんですよね。形がなくなってもちゃんと残る。それがちょっとアイスクリームと似てるなと思って。アイスクリームは食べたら溶けてなくなるけど、食べた時の味や感覚はちゃんと残りますからね。
 
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3rd Mini Album
「OTONARI BENTO BOX」

Sazanga Records SZNG-002
価格:1,600円+税
2016年7月6日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
① アイスクリームポップスター
② T.R.F.
③ インスタント旅
④ SUSHI☆ZANMAI
⑤ レイニーレイニー
⑥ ハッピーソング
⑦ おさるのジョニー

LIVE INFOライブ情報

3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜大阪2マンシリーズ〜』
2016年9月10日(土)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
Guest Band:後日発表!!
OPEN 17:30/START 18:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:LIVE SQUARE 2nd LINE 06-6453-1985
 
3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜東京2マンシリーズ〜』
2016年9月16日(金)渋谷 TSUTAYA O-nest
Guest Band:後日発表!!
OPEN 18:30/START 19:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:TSUTAYA O-nest 03-3462-4420
 
3rd Mini Album『OTONARI BENTO BOX』リリース記念ライブ後半戦
『OKAWARI!〜名古屋2マンシリーズ〜』
2016年9月25日(日)名古屋 CLUB UPSET
Guest Band:後日発表!!
OPEN 17:30/START 18:00
前売 2,500円(ドリンク代別)
問い合わせ:CLUB UPSET 052-763-5439
 
OTHERS
2016年8月6日(日)福岡 UTERO【with:about a ROOM/sukida dramas/踊る!ディスコ室町】
Stephen Smith / odol】
2016年8月12日(金)広島 4.14【with:LINE wanna be Anchors/WOMCADOLE/THE PINBALLS/and more...】
2016年8月23日(火)新宿 LOFT【with:マカロニえんぴつ/サイダーガール】
2016年8月27日(土)仙台 CLUB JUNK BOX【with:アンテナ/ヨルニトケル/ひとりぼっち秀吉BAND/みるきーうぇい/鳴ル銅鑼】
2016年8月30日(火)新潟 RIVERST【with:ウラニーノ/Chic Sick/PSYMUSH/仮初のウマシカ】
2016年9月18日(日)新宿 ACB/club SCIENCE/SAMURAI/HOLIDAY/MARZ/Marble/Motion/RUIDO K4/LOFT/LOFT bar【Eggs presents TOKYO CALLING 2016】
 
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