現在、鋭意敢行中の新宿ロフト40周年アニバーサリーライヴの数々。各日この周年ならではのラインナップと豪華さを誇り、連日の賑わいと盛り上がりを見せている。
そんな数多の周年記念ライヴの中でも、特に目を惹くのが、拠点ロフトを飛び出し、9月25日に渋谷TSUTAYA O-EASTにて行われる『DREAM MATCH2016』だ。
「曲の良さを伝えたい」との趣旨の下、新宿ロフトの名物スタッフ樋口寛子が彼女所縁のアーティストに声をかけ、世代もジャンルも音楽性も違った、いわゆる「歌を大切にした」アーティストが幅広く集う同フェス。<良い曲を多くの人に伝えたい/届けたい>そんな主旨が各所から滲み出ている、良質さが目に浮かぶイベントだ。
そんな『DREAM MATCH2016』の話を中心に、出演アーティストと主催者樋口を交えて行っている、この対談インタビューシリーズ。今回は同フェス最年少の出演となるBrian the Sunに登場願った。
池田スカオ和宏(LUCK'A Inc.)
━今回の出演アーティストの中では、最年少のBrian the Sunですが、まずはこのフェスに誘われた際の感想から教えて下さい。
森 : 嬉しい以外の何ものでもなかったですね。
白山 : 数年前からライヴの打ち上げ等で、樋口さん自身から今回のようなフェスの構想は訊いていたんです。だけど、その端々で、「私は本当にいいと思えるバンドしか呼ばないから」「今、話題だから呼ぶとか、そういったイベントにはしないから」等、当時から、かなり高いハードルが課せられていて…(笑)。
小川 : 確かにかなり以前から言ってましたもんね。「こんなフェスをやりたい」って。
白山 :「ロフトに出てもらっていて、私がずっと見てきて、その中でも認めたバンドしか出れないから」と、当初から釘をさされてましたからね(笑)。
ロフト樋口 : えっ、私、そんな偉そうなこと言ってました(笑)? 酔っぱらってたのかなぁ(笑)。
白山 : で、あれから2年ぐらい。実際にこのフェスに呼んでもらったってことは、まずは単純に樋口さんから、自分たちの活動が認めてもらえたのかなって。それがとても嬉しかったですね。
ロフト樋口 : 流行やトレンドを追いかけるだけなのは、私もロフトも使命ではないですからね。自分のフェスをやるなら、自分がブッキングをしてきて、0から1に変わるところを見てきたバンドさんに出演してもらいたいなと常々思っていて。且つ、ライヴで気に入って、家に帰っても作品を何度も聴き返せる楽曲の力を持ったアーティストさんに集まっていただきたくて。その中では、新人ではやっぱりBrianかなって。
━Brian the Sunにとって新宿ロフトはどういった印象のライヴハウスですか?
森 : これは以前も今も変わらないんですけど、ロフトに出る時は、他のイベントやライヴ以上に気合が入るんですよね。別に他の会場の手を抜いているってことではなくて、毎回、イベントのコンセプトがしっかりしているんで、出る意味や意義を毎回強く感じるんです、ロフトのブッキングには。何か一つ一つのイベントやライヴに特別な意味が込められている…。それもあって、”よし、そこに応えるゾ!!”や、”今日は他のアーティストには負けへんゾ!!”と、他とは違った特別な気合が入るんです。
小川 : だけど、ロフトは当初、敷居の高いライヴハウスのイメージがありましたね。
白山 : 僕、コメントにも書いたんですが、ロフトの音響って全く嘘をつけないんです。自分たちの実力がお客さんにダイレクトに出てしまうというか。ホンマ、しょうもない演奏やライヴやったら、そのまんま伝わってしまう。いい演奏をしなくちゃ、いい音として出てくれないんですよね、不思議と。あのリアルさは、ちょっと他のライヴハウスとは違うかなって。
━では、ここからは、9月7日に発売となるニューシングル「Maybe」の話に。先ほど、<歌を伝えるバンド>的な話が出ましたが、この曲は、これまで以上に、その辺りを念頭に入れた楽曲の印象を持ちました。
森 : 自分的には非常にいい曲やと思っています。ライヴでもまだ2回しかやっていないので、これからの反応も楽しみです。
━今回のサウンドアプローチに驚いたところもありました。メジャーデビュー第二弾シングルなので、てっきり今回も勢いのある楽曲でくることを予想していたもので。
森 : 曲調もミディアムですからね。良い意味で、自分の中でのこだわりがなくなってきているのも、この楽曲に繋がっているのかなって。<俺たちはギターロックバンドだから、こうあるべき!!>というのが、いい意味で段々と無くなってきているんです。何をやっても、どんなことをやっても本質さえ変わらなければ、俺たちは俺たちだ、みたいな気持ちに移っているというか。ポップなものとか、ロックなもの、キャッチ―なもの、そんなことに縛られず、自由に作らせてもらったのがこの楽曲だったんです。
━分かります。アコギを基調に、森君がギター1本で作った楽曲を最小限のアレンジで肉付けをした、よりネイキッドな楽曲印象を持ちました。いわゆる、楽曲の良さで勝負、みたいな。
森 : 狙ったつもりもなかったんです。自分の中での心地良さを追い求めていった結果とでも言うか。
白山 : この楽曲に関しては、良太の中で、ある程度イメージが固まっていたので、それを我々で具現化していった感じです。おかげさまで自分たちとしても、より振り幅を表すことが出来ましたね。
小川 : 個人的には、この曲、凄く好きで。それがシングルのタイトル曲になったところもあって凄く嬉しかったんです。
森 : これまでもアルバム等で、こういった部分は、枝葉としてエッセンス的には持っていましたが、表題曲としては初ですからね。そういった意味では、幅や今までと違ったカラーが表に出ていくのもいいことかなと。特に今回はアニメのエンディングということもあり、音楽好きだけでなく、幅広い人が聴いてくれる可能性があるので、その人たちに向けても、これまでよりも幅の広さを見せたかったところもあったんです。
田中 : 年齢層的にも幅広く受け入れてくれる要素が高いんで、そういったこれからの新しい僕たちと出会ってもらえる楽しみもあります。
森 : これまではライヴに来てくれてる人=お客さんだったものが、ここ最近、特にメジャーデビュー以降は、作品から気に入って、逆にライヴに来てくれたり、作品をきっかけに出逢ってもらえる方も増えてますからね。そんな方々まで、幅広く受け入れてもらえる楽曲になったと自負しています、今回は。
━カップリング「しゅがーでいず」は、打って変わって勢いがありつつも、こちらも軽快でポップなナンバーで。
森 : そうですね。こちらもポップで。いつもの勢いに加え、軽快さや心地良さを、より重視しました。
━最後にロフト40周年へのお祝いの言葉をお願いします。
森 : この浮き沈みが激しく、一つのものごとを続けていくことが困難な時代に、一つのことを40年間も続けることって非常に凄いことだし、大変なことだと思うんです。昨日より良い一日が積み重なって行った結果の今の空間があるような気が、ロフトには出させてもらう度に感じています。常にそんなライヴハウスでライヴが出来る自分をカッコよく思ってもらいたいし、今後も是非一緒に歩んでもらいたいです。これからもよろしくお願いします。