Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー佐藤太一郎(吉本新喜劇)(Rooftop2016年8月号)

関西で活躍する劇団によるガチンコのコントバトル!その全容とは!?

2016.08.01

 吉本新喜劇の座員として活躍する佐藤太一郎が指揮を執る『劇団対抗コントバトル~ゲキバト!!~』。佐藤が「面白い!」と太鼓判を押す劇団がオリジナルコントで競い合うこのイベントは、毎度満員御礼を記録し、関西のお笑い・演劇シーンに新たなムーブメントを作り出している。そして来たる9/13(火)には、待望の第4回の開催が決定。熱い戦いを前に、佐藤にイベント・新喜劇・そして関西の演劇界への想いを伺った。[interview:平松克規(Loft PlusOne West)]

お笑いと演劇を繋ぎたい!

 
ーまず『ゲキバト‼』を始めたキッカケを教えていただけますか。
佐藤:吉本新喜劇に入る前は、関西の劇団で役者として10年ほど活動をしてたんです。新喜劇に入団して5年目くらいから、「佐藤太一郎企画」という演劇の公演をスタートさせまして。新喜劇のお客様って演劇を1度も観たことがない方も多いんですけど、すごく喜んでもらえたんです。演劇のお陰で今新喜劇をやれてるんで、自分を育ててくれた演劇への恩返しと、関西の演劇界をもっと盛り上げたい想いがずっとあったんです。関西の演劇界の現状は少し厳しいのでね…。
ーそうなんですか。
佐藤:はい。関西の劇団で1000人以上動員できる劇団ってほとんどないんですよ。面白い劇団はたくさんあるけど、知られてないし、そこに時間とお金を割こうと思われてない。
ー厳しいですね…。
佐藤:そんな時に、放送作家でロフトプラスワンウエストのスタッフの尻谷よしひろさんが「何かイベントやりませんか?」と声をかけてくださって。それなら吉本新喜劇・お笑いの世界と演劇の世界を結びつけて、関西をより活性化させていけるようなイベントを作ろうと思って『ゲキバト‼』を立ち上げました。
ー強い想いがあったんですね。『ゲキバト‼』はどのようなイベントなんでしょうか。
佐藤:僕がオファーした劇団によるガチンコのコントバトルです。毎回4つの劇団に出てもらってるんですが、各劇団には持ち時間15分で、コントを1本ずつやってもらっています。
ー劇団の方々に出て頂くなら色々なやり方があったと思うのですが、なぜ「劇団の方によるコント」だったんですか。
佐藤:その切り口だと、お笑いファンの方々が足を運びやすいからです。劇団公演って大体2時間くらいあるので、その劇団への信用がないと行かないと思うんですよ。各劇団に新規のお客様を開拓するためにも、まずお笑いファンの方々が来やすいような環境にしたかったんです。
ーなるほど。
佐藤:あと演劇ファンの方々が、他の劇団を知るキッカケにして欲しかったんですよね。1回のイベントにつき吉本新喜劇の僕含め、5つの団体が出演します。同時に色んな劇団が観られる機会って少ないんですよ。1つの作品に客演として色んな劇団の役者が出てることはあるんですけど、それだと普段はどんな芝居をしてるのか全然見えないじゃないですか。『ゲキバト‼』だと15分で自分たちのカラーを出したパフォーマンスが出来るので、目当ての劇団以外の新しい劇団との出会いにもなります。
ー実際新しいお客さんは増えてるんですか。
佐藤:はい。お客様もTwitterやFacebookで「『ゲキバト!!』で観て面白かったから、観に行きました」っていう感想を書いてくれてるんです。僕自身、演劇ファンの方々に新喜劇に興味を持って頂くことも増えてます。
 

リスク高めの真剣勝負!

 
ー着実に効果が現れてるんですね。劇団の方々に「コントをやってくれ」と頼んでやってくれるものなんですか。
佐藤:「お客様の投票によるガチンコ勝負」になることはちゃんと伝えた上でお誘いしてます。これまで笑いに特化した演劇を作ったことのない劇団も多いのでね。
ーリスク高いですよね…。
佐藤:各劇団は大体同じくらいの数のお客様を連れて来てます。そこにお笑いファンの方々が加わる訳ですから、自分の劇団のファンだけの投票じゃ絶対に勝てないんですよ。みなさん純粋に面白いチームに投票してくださってますし。自分の劇団だけだったら身内ネタでもウケるんですけど、そういう訳にもいきませんから。お客様は笑うためだけに来てるので、本当に面白くなければウケません。
ーということは静まり返ることもあるんですか。
佐藤:ありますね。ガチンコ勝負ですから。でも逆に「こんなにウケたことない!」ってなる人たちもいますね。演劇の世界に賞レースってあまりないので、負けた人は本当に悔しがってると思いますよ。
ー出演者にとっても新しい発見になるんですね。佐藤さんから見て、お笑いと演劇のコントにはどのような違いがありますか。
佐藤:演劇の方々のコントは物語性があって、役者がその世界観に引き込もうとするんです。そういう演技で見せるコントって新喜劇のファンやお笑いファンにとっては、目新しいんじゃないでしょうか。
ー佐藤さんが特に印象に残っている劇団はどこなんですか。
佐藤:そうですね…。第2回で優勝した「KING&HEAVY 」っていうまだ立ち上げて間もない20代前半の男の子3人の劇団ですかね。彼らは15分間でほぼサイレントのコントをやったんです。ヴェートーベンの『運命』がBGMとして流れる中、トイレに行きたいのに閉まっている。そして『運命』の音楽に合わせてトイレの波が来る。そしてそれがドンドンと他の人間にも伝染していって、皆でトイレを奪い合うようになるんです。全力の動きによるアンサンブルの完成度の高さが印象に残ってますね。
ーイベントでは全出演者を交えたトークコーナーもあるんですよね。
佐藤:はい。劇団が公演後にやる芝居の裏話を語るアフタートーク的なものじゃなくて、完全にお客様を笑わすエピソードトークをしてもらってます。
ーまたリスクの高いことを…。
佐藤:今までやったことのない不慣れな人も多いですけど、自分なりに話を繰ってやってもらってます。それで面白ければ、お客さんもその劇団に興味を持ってもらえるでしょ。
ードンドン外に発信していく姿勢なんですね。新喜劇自体も最近はそうですよね。
佐藤:そうですね、新喜劇の需要がドンドンと広がってますから。いろんな分野で活躍している座員も多いです。僕も僕なりのアプローチで新喜劇を広めていきたいです。
ー『ゲキバト!!』が良いキッカケになると良いですね!それでは最後に読者の方にメッセージをお願いします!
佐藤:今年の年末くらいには、過去の優勝劇団が一堂に会するチャンピオン大会をやりたいんです。9/13(火)の『ゲキバト!!』は、それに参加する最後の一枠を争うイベントになります。やっぱり劇場に来てもらうことが僕らにとって一番嬉しいことなので、お笑いファンも演劇ファンも生でこのイベントを観て頂いて、面白いと思った劇団のイベントには足を運んでもらいたいです!

LIVE INFOライブ情報

9/13(火)
ロフトプラスワンウエストpresents
『劇団対抗コントバトル~ゲキバト!!#4~』 
OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥1,500 / 当日¥1,800(※別途1オーダー500円以上要)
前売券は、イープラス及びロフトプラスワンウエスト店頭&電話予約にて7/22(金)発売開始
※ご入場はイープラスチケット→店頭&電話予約→当日の順となります。
電話予約 → 06-6211-5592(16時~24時)
 
関西で活躍する人気劇団が、持ち時間15分のオリジナルコントで対決する、
完全ガチのコントバトル!
MCは関西小劇場出身で、現在は吉本新喜劇で活躍する佐藤太一郎。
関西の演劇を笑いで盛り上げます!
コントの後は、劇団の垣根を越えて、出演者全員でのトークショーも!
 
【出演】
【バトル参加】
関西で活躍する人気劇団4組
 
【MC】
佐藤太一郎
(吉本新喜劇)
 
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