ライブでの新曲の割合
——新曲を披露する時は、どういう心構えでライブに臨まれているんですか?
卓偉:もう17年もやってきてるんで、若かった時とここ最近で多少はスタンスが変わってはきてるんですけど。昔は単純に曲が少なくて、デビューして2〜3年っていうのはリリースしているものも少ないんで、新曲でどんどん開拓していこうとか、ファンのノリ方を育てようっていう感覚があったんです。それが10年くらい続いて、今度は育ててきた曲の方がファンが望んでいるっていうのが分かってきて、新曲の割合が少なかったりした時期もあったんですけど、それもまた一周して、ここ5年くらいはリリースした曲は全部やるようにしてますね。新しく作った曲たちが、一番自分がやりたいことだし、そこにそれ以上の理由もないですし。長く続けてらっしゃるアーティストやバンドの方って、自分たちが新しいこともやりながら、ファンを引き連れていくやり方とか、伝えていく伝授の仕方みたいのが、すごく上手だと思うんですよね。突っぱねていくと、やっぱり付いて来れなかったりして、それはライブとして面白くなかったりすると思うので。話が戻ると、今はやりたいことが100あったらちゃんと100ライブでやって、後半にちゃんと望んでくれている曲とかもやりながら、上手くバランスとってやるっていう、そういう気持ちの整理がつくようになりましたね。僕、個人的にはですけど。将くんは?
将:うちはライブでやる曲をBaの沙我くんが決めてるんです。彼はAB型で…っていう形容の仕方は違うかもしれないんですけど、人と違う視点でものを考える人なんですね。1つ前に出したEPでファンと磨き上げて来た曲たちが7曲くらいあったんですけど、このツアーでは全部その曲はやってなくて。「今のモードは違うから」って(笑)。ファンの子たちよりも先に飽きちゃったりするんですけど、その分、自分の心が動くように、昔の曲でもリアレンジを繰り返してやっていったりして。メンバーはライブに関しては彼の監督に乗っかって、それを楽しんでやってる感じなんですね。
卓偉:彼がリーダーなの?
将:リーダーは僕なんですけど、僕はアートワークとか全体をプロデュースする部分を担っていて、俗に言うバンマスみたいな所を沙我くんが担ってるんです。
卓偉:なるほどね。音楽論とかをってことね?
将:はい。弦楽器のコードがどうとかっていうのを全部整理しているのが彼です。
卓偉:歳はみんな近いんですか?
将:はい、大体近いです。
卓偉:この前のライブで言うと、前半がわりかし新曲めで、後半が普段の曲だったんでしょ?
将:結構そんな感じでした。
卓偉:僕、個人的には前半の振り切った感じ、すごく好きでしたけどね。
将:有難うございます。嬉しいです!
卓偉:僕もライブ会場へ観に行くと、どうしても職業病で、どういう風なことを思って今やられてるのかな、とか、ファンは今どう思ってるのかな、とか、自分がファンの立場になった時の気持ちとか、ステージに立った自分の感覚とか、やっぱりいろいろ混在するんですけど、どうしても外タレのライブとかに行くと、ニュー・アルバムのツアーのはずが、ニュー・アルバムの曲がほとんどなくて、ヒット曲ばかりになって。盛り上がってるのはいいんですけど、送り手側として観ると、それってどうなのかなって思う部分があるんですよね。それだったら思い切って、今やりたいことはこれだからって言って、バーンと振り切るやり方で魅せてくれるバンドやアーティストのライブは、お客さんがついてこなくても不良っぽくて好きだなって思う部分はあるんで、そういう意気込みを感じましたけどね。
将:卓偉さんがさっき言って下さったように、自分がバンドをやっててバンドマジックが起きてるなって感じる時って、うちはメンバーの中でもお客さんの気持ちに寄り添いたいっていうメンバーと、全然気にしないメンバーで分かれてるんですけど、その意見をいい感じに取れてる時とかは、やっぱりバンドマジックみたいなものを感じますね。
卓偉:やっぱりメンバーの中で、そういうのを気にする、気にしないっていうのはあるんですね。バンドだからバランスなんでしょうね。
将:そうですね。バランスなのかなって思ってます。
卓偉:ちなみに将くんはどっちの方なの?
将:僕は間を取り持つ感じですけど、どっちかと言うとお客さんのニーズを窺いたい方ですね。お金を払ってお時間を頂いているっていう考え方が結構強いので。でも職人気質なメンバーの気持ちもすごく分かるので、どうやったら間を取れるのかなって、バンドの中では考えているタイプです。
卓偉:なるほどね。すごく分かりますよ。長くやればやるほど、そういう風に思うよね。