Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー原口あきまさ(Rooftop2016年5月号)

業界の古びた慣習を突き破る革命家は“ものまねヤリチン”だった!

2016.05.02

 日本テレビ系ものまね番組『ものまねグランプリ』とフジテレビ系の『ものまね紅白歌合戦』、このふたつの番組は、数年前まで両方に出演する事はできなかったそうだ。そんな悪しきルールと闘い突破したのが実は原口あきまさ、その人である。別れ際に「ホナ、またぁ〜」と明石家さんまさんのものまねで見送ってくれるサービス精神のかたまりのようなこの男だからこそ、古い慣習を飛び越え双方の局から2名ずつが集うイベント「変人」のリーダーを務める事ができるのだ。パブリックイメージとかけ離れた突破者としての顔と、ものまね安売り王としての顔、どちらも彼の本当の素顔である。
[interview:東健太郎(LOFT/PLUS ONE)]

昔からのルールというか壁をブチやぶりたいっていうのがあった

 
――ロフトプラスワンには何度かご出演いただいていると思いますが、最初に出たのは何のイベントだったか覚えていますか?
原口:最初にステージに上がったのは、タムケン(放送作家)がやってる首都神話だと思います。あれが一番最初だったと思う。5〜6年前かな(編集部註:「首都神話トークライブ〜第三十三夜〜」2010年11月30日)。その前、10年くらい前から存在自体は知ってましたよ。足を運ぶ勇気はなかったんですけど(笑)。
――ロフトプラスワンはどういう印象でした?
原口:その当時、芸人さんがトークライブをやり始めた頃だと思うんですけど、お酒を飲みながらやれるんだっていうのが他の劇場とは違ったので、いつか出てみたいなっていうのはすごいありましたね。で、出てみたらやっぱり楽しかったし、お客さんとの一体感もありました。
――そんなロフトプラスワンで今度5月にやってもらう「変人 企画会議」も4回目ですね。これはもともと「ものまねライブ 変人」っていう公演があって、そこから派生してスタートしたんですよね? そもそも「ものまねライブ 変人」はどういういきさつで始まったんですか?
原口:言っても、ものまね業界だけの話なんですけど、フジテレビと日テレで出演者が別れてて、どちらかの番組に出ていたらもう片方には出られないというルールみたいなものがあったんですよ。巷では“何で原口さんはフジテレビのものまね番組出ないんですか?”とか言われたりして、でも事情はみなさん分からないから“スケジュールが合わないんだ”と最初は言っていたんですけど、それもつらくなってきて。
――そもそも隠す必要のないことですしね。
原口:そうなんですよ。昔からのルールか何か知らないですけど、日テレの番組に出なくなってフジテレビに出たら“あいつ裏切り者だ”とか…なんでそんなこと言われなきゃいけないの、みたいな。実際そういうことが結構ある業界の中で、演者は実は仲良いんだぜっていうとこを見せたくて「変人」ライブを始めたんですよ。何となく壁をブチやぶりたいっていうのがあって。
――それまでは日テレとフジテレビのどっちのものまね番組にも出ている人っていうのはいなかったんですか?
原口:いなかったですね。で、テレ朝のアメトーークさんとかがものまねくくりで企画を出してくれた時には両方から出られるんです。でも、それでも“あんまり(他局には)出ないでくれ”みたいなことを言われたりしてたんですよ。そういうこともあったんですけど、僕らは何を言われようとも出ようぜって言って闘ってきたんです。だから、一回目の「変人ライブ」でフジテレビのものまね番組の偉い人と、日テレの偉い人を招待して隣同士で座らせたんですよ(笑)。それで反応見て。最初はお互いに意識してたみたいですけど、“面白かったよー”って言ってくださって。それで「変人」の2回目くらいの時から、それじゃ年に一回くらい(それぞれの局に)レンタルで出してみようか、っていう流れになってどっちにも出られるようになったんですよ。
――そうだったんですね…。そもそも「変人ライブ」をこの4人(原口あきまさ、ホリ、山本高広、ミラクルひかる)でやるっていうのはどういう流れだったんですか?
原口:最初、僕とホリで一回「変人」っていうライブをやってるんですよ。試しにやってみて、うまくいけば人数を増やしてもいいねっていう話をしていたところ、そのフジテレビと日テレの壁とかの話が出てきてたんで、じゃあ日テレからではなく、フジテレビから二人入れようぜって。で、ほぼ同世代の方がやりやすいから、その時ノリにノっていた山本高広と(笑)、ミラクルひかるを呼んだ、という。
――山本さんとミラクルさんがフジテレビ派、原口さんとホリさんが日テレ派、ということでいいんですかね(笑)?
原口:そうですそうです。でも、もう実際そういう派閥も特になく、この4人だと面白いことができそうだなっていう部分で集めましたね。やる気があれば誰でも良かったんですけど、ただ、ネタを作っていく上で絵が見えたのが、山本高広とミラクルひかるで、舞台で活きるんじゃないかっていう。
 

今では“ものまねヤリチン”って言ってます(笑)

 
――「トークライブ変人」はどういういきさつでスタートしたんですか?
原口:みんなで話してたら面白い話がボロボロ出てくるんですよ、先輩のグチとか(笑)。その話とかを周りの人間が聞いていて“もったいないね”って。それで、はじめ「変人ライブ」をやるってなった時に、ものまねのコントとかばっかりで素の部分を出してなくて…んで、打ち上げでいろんなことやっていきたいねっていう話になって。で、トークイベントとしてトーク中心のイベントにした方がいいんじゃねぇかって。そこでしゃべりたいことしゃべろうよって(笑)。
――一応イベントタイトルは「変人 企画会議」ってなってますけど、正直企画を考えるイベントではないですもんね(笑)。
原口:そうですね(笑)。一回目の後半はちゃんと企画会議っぽいことやってたんですけどね。二回目くらいから自分たちが言いたいことを言うイベントになってました(笑)。ホントに、内輪話じゃないですけど。
――よくコロッケさんとかものまね界のレジェンドの話も出てきますよね。あれが最高に面白いです!
原口:コロッケさんとかクリカン(栗田貫一)さんとかをイジる人がいないので。でも、あの人たちがどういう人なのかっていうのを知ってもらいたいし(笑)。
――さっきのフジテレビと日テレの話もイベント中にお話されてましたけど、ものまねレジェンド達の伝説とか、なかなか聞くことができない話を聞けるのがこのイベントの醍醐味ですよね。絶対ツイートとかしないでくれっていう話とか(笑)。
原口:そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。でも、お客さんもみんな黙ってくれてるから漏れないですよね。ありがたいですね。やっぱり特別感があるんでしょうね。だから本体の「変人」がスケジュールの兼ね合いでできなくても、トークライブだけはちょいちょいやっていけたらいいなぁとオレは思っていて。
――5月のトークライブはどんな感じになりそうですか?
原口:まぁ、今までの和気あいあいとした空気は変えずに、ものまね界の溜まった裏話、あとは、みんなで打ち上げに来て、みんなで楽しんでる空気が出せればいいのかなと思ってます。ものまねというものをみんなに知ってもらって、人間性も知っていただいて、もっと好きになっていただければありがたいなと思ってますけどね。そしたらものまねの見方も変わってくると思いますし。トークイベントですけど、いっぱいものまねも見られるし、お得だと思いますよ。しかも、普段やらないものまねをやることもありますしね。初おろしとか公開練習もあるかもしれないですし、貴重ですよね。
――ものまね業界の方がそうなのか、この4人がそうなのか分からないんですけど、みなさんサービス精神が旺盛ですよね。これってものまね界あるあるなんでしょうか?
原口:なんでしょうね、性格的なものもあると思うんですけどね。僕はね、一時期“ものまね界のドン・キホーテ”って言われてましたよ。安売り王や! って。お前が安売りするからオレらもやんなきゃいけねぇだろ、って先輩たちに怒られたこともあったんですけど(笑)。今ではもう“ものまねヤリチン”って言ってます(笑)。
 
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LIVE INFOライブ情報

5月12日(木)
「ものまねライブ 変人 企画会議 Vol.4」@新宿ロフトプラスワン
【出演】原口あきまさ、ホリ、山本高広、ミラクルひかる、タムケン(放送作家)
OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥2,300/当日¥2,800 ※共に要1オーダー(500円以上)
前売券はローソンチケットにて発売中!【Lコード:32530】
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