メンバーは現役の若手声優・女優とパフォーマーで構成され、その演技力・表現力を活かし、歌とダンス、朗読劇などのパフォーマンスを行なうガールズ・ユニット、Mystery Girls Project(以下、MGP)。ダンサブルでキャッチーなナンバーからメロウなバラード、荘厳な佇まいのスケール感溢れる楽曲までバラエティに富んだ12の楽曲、3作の朗読劇で構成された最新作『V Generation』は、満を持してメジャー・デビューを果たした彼女たちの名刺代わりに相応しい力作だ。特異な表現活動を展開するMGPの核を探るべく、Mikiko、Miho、Saoriの精鋭メンバー3人に話を聞いた。
■Mystery Girls Project
妖艶で“かっこキレイ”なイメージを打ち出した
──今回のメジャーデビュー・アルバムがこれまでの作品と違うのはどんなところですか。
Saori:メンバーが変わったのが一番大きいですね。
Mikiko:今のメンバーで『Force』(2014年7月発表)の頃にいたのはChisaとAnnaの2人だけで、あとの5人にとってはMGPに入って初めてのアルバムなんです。
Miho:今は第5期MGPだからアルバム・タイトルも『V Generation』にして。念願のメジャー・デビューなので、かなり気合いを入れて制作に臨みました。
──どんなコンセプトで制作に臨んだんですか。
Saori:ジャケットにも表れてると思うんですけど、“かっこキレイ”なイメージですね。楽曲もかっこいい感じの曲が揃いましたし。
Miho:ジャケットは女性らしく、なおかつかっこよく見せるのがコンセプトだったんです。ちょっと妖艶な感じと言うか、かわいくなりすぎない感じを出そうとしました。
──ずばり、今回のアルバムの聴き所はどんな部分でしょうか。
Mikiko:朗読を含めて15トラックあるんですけど、どれもメンバー一人ひとりの個性がよく出た曲や朗読なので、アルバムを通じてMGPのことを知っていただけたら嬉しいですね。
Miho:メンバーが作詞した曲もいくつかあったりして、それぞれのカラーが違った曲になってると思うんですけど、その違いも楽しんでほしいです。アルバムを聴いた後は是非ライブに来ていただいて、今度はMGPのパフォーマンスやメンバーのキャラクターを生で感じてほしいですね。
Saori:他のグループにはない朗読パートは是非聴いてほしいですし、ストーリー性のあるメンバーの作詞も聴き所だと思います。歌も物語性があると思うので、全体を通して楽しんでいただきたいです。
──そもそもこのMGPは、当初は朗読のみを行なうガールズ・ユニットだったんですよね。
Mikiko:そうなんです。MGPは声優、女優、歌手、パフォーマーで構成されていて、3年前から歌に比重を置くようになったんです。朗読は今回のCDの中にも入ってますけど、声優のメンバーがメインでやっています。ライブでも朗読を披露してるんですよ。
──朗読劇のレパートリーはどれくらいあるんですか。
Saori:CDになってないものを合わせると3、40本くらいはありますね。
──『V Generation』に収録された3作の朗読はすでにライブでも披露されているんですか。
Saori:いえ、これが初出しです。
──3作とも登場人物が『ピックアップ・ジャパン・ニューアーティスト』なるラジオ番組を聴いている設定ですが、どの話も非常にシュールですよね。特に倦怠期の男女が登場する「EPISODE-A」は本当に救いのないオチと言うか何と言うか…(笑)。
Mikiko:そうですね。「EPISODE-A」はSaoriが担当しておりまして、迫真の演技を見せています。
Saori:はい。ちょっとゾワッとするようなサスペンス感を出してみました。
Mikiko:「EPISODE-B」も救いがないと言えばないですね。最後にキキキキ…ガシャン! と行っちゃう話なので(笑)。
Miho:「EPISODE-C」はちょっとほっこりする話ですけどね。
Saori:ドラマはどれも、日常の中にミステリーが潜んでるっていうのを表現したかったんです。
──これらの朗読劇はすべてプロデューサーである高濱祐輔さんの作だそうですが、メンバー発信でドラマが生まれることはないんですか。
Mikiko:私はいつか電車の話をやりたいですね。普段から電車を乗り間違えて、気づいたら違う駅にいた…みたいなことがよくあるので。
Miho:私はメンバー全員が出演する話をやりたいです。過去のメンバーではそういうのがあったんですけど、今のメンバーではまだないので是非やりたいです。
あくまでもライブや作品で評価してほしい
──今日お揃いのお三方は作詞も手がけていますが、楽曲の割り振りの基準みたいなものはあるんでしょうか。
Miho:私はタイトルトラックの「V Generation」とか「00:24AM」みたいなアップ系の曲が多いですね。
Mikiko:私は「Colors」や「キセキノホシ」といったバラード系ですね。
Saori:私はHarukaさんとの共作で「Toy Panic!」というライブで楽しめる曲だったり、「Presious Time」みたいにしっとりとしたバラードだったり、いろんな曲を担当させてもらってます。
Mikiko:そんなふうにそれぞれのキャラクターに合った曲を作詞してますね。7人のメンバーのキャラクターもいい具合にバラけてるんです。Chisaさんがリーダーで私はサブリーダーなんですが、Mihoはエース・ボーカル、Saoriはライブで盛り上げ役なんです。
Saori:MCとかを担当させてもらってます。
Miho:私はダンスの振り付けとかパフォーマンス面をやらせてもらってるんです。で、Mikikoさんは主に歌の指導を(笑)。
Mikiko:私は普段、六本木にあるジャズバーで唄ってるんです。もともとクラシックをやっていたり、ミュージカルの勉強をしていたんですが、その後はジャズが好きになって、ジャンルの幅がどんどん広がってきたんです。そんな経験がMGPに活かせていると思います。
──収録楽曲はとてもバラエティに富んでいて、強弱のついた構成も見事ですが、終盤の「B.L.A.」、「MYSTIC BLUE」、「瞳にカンジル愛の意図」を再録したのはMGPにとって重要な曲だからですか。
Saori:私たちのキラーチューンですし、新しいメンバーになってから改めて唄い直すことにしたんです。「MYSTIC BLUE」はライブ・バージョンで入れました。
Mikiko:いろんなカラーの曲を唄えるのがMGPの持ち味だと思うんです。メンバーの個性もいい意味でバラバラなので、曲の雰囲気に合ったメンバーが唄うことでそれぞれの持ち味を出せてると思います。
──7人もメンバーがいると、派閥ができたり険悪になったりしませんか?(笑)
Miho:それは全然ないですね。
Saori:似た系統がいないから派閥もできないんじゃないですか?(笑)
Mikiko:年齢もバラバラですからね。
──センター争いで足の引っ張り合いとかもないですか。
Miho:歌はないですけど…(Saoriに)ドラマはどうなんですか?
Saori:ないですね。ただ、私は先輩でも後輩でも一定の距離感を保とうとはしてます。
──今回、レコーディングで手こずった曲はありましたか。
Miho:私は「00:24AM」で初めて英語の詞に挑戦したんですけど、発音がかなり難しくて苦戦しましたね。
Mikiko:英語なのに、なぜかフランス語とか中国語みたいに聞こえたりしてね(笑)。私は「Toy Panic!」の“Oh Yes!”っていう掛け声が苦労しました。私自身が割とゆったりした性格で、明るくはっちゃけたような声を出すことが少ないので。
Saori:私は「MYSTIC BLUE」で唄わせてもらったんですけど、2人に比べて歌の経験が浅いので、どんなふうに唄えばいいのか、どんな表現をすればいいのかを考えて自分なりに工夫しました。歌に関しては今、猛ダッシュで2人に追いつこうとしてます。
──玉石混交のライブアイドルの世界で、MGPらしさとはどんなものだと捉えていますか。
Miho:まず、私たちは自分たちのことをアイドルとは思ってませんし、アーティストでありたいと思ってるんです。だからお客さんに媚びることもないし、MGPらしい歌やパフォーマンス、世界観を表現することを大事にしてるんです。
──媚びない以上、握手会やツーショット撮影会もしないと?
Miho:しませんね。チェキとかもやってませんし、あくまでもライブや作品で評価してほしいです。特にライブは歌もダンスも朗読もできるし、メンバー全員の個性が全力で出せるので、MGPにとって大切な場なんです。