Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュービーバップみのる+ゴールドマン+淫語魔インタビュー(Rooftop2016年3月号)

『501』という名の因果鉄道。その、カオスな狂宴を一挙上映!!

2016.03.01

『501』とは...? AV監督・ビーバップみのるによる、リアルな苦悩の記録。2年という時間を費やし破綻したこの長編ドキュメンタリーが、8時間完全版としてここロフトプラスワンにてぶっ通し上映決定!!【Interview:一木義彦 (LOFT /PLUS ONE) 】

 

AVドキュメンタリー「501」についてビーバップみのる監督に単独インタビューをするはずだったのだが、現場に着くと淫語AVでお馴染みゴールドマン監督と淫語魔監督がいたので一緒に「501」について語り合って頂くことに。

「俺分かったんですよ、「501」ってなんだったのか」

──今日はどういう会なんですか?

ゴールドマン(以下:ゴ):淫語の会の新年会。

ビーバップみのる(以下:み):みんな淫語が好きなんですよ。

ゴ:「501」の会じゃないんだけど、話の4分の3は「501」の話を一方的にされて…。

み:本来は淫語の会だったんですよ。でも俺が「501」をやってしまったために淫語の話ができなくなってしまったんですよ。

ゴ:一昨年だったか、俺と淫語魔さんとでここに来たら「501」妄想に取り憑かれていて。

淫語魔(以下:淫):あーそうだったね。次の年もまた「501」の話で…今回も結局「501」の話(笑)。

──アドバイスはしたりするんですか?

ゴ:言うけど聞いてはないよ。一方的に喋りたいこと喋って、また一ヶ月後に電話をかけてくる、みたいな。

淫:それが結局不満を解消してるんだろうね。

み:俺分かったんですよ、「501」ってなんだったのか。結局何も無い男が、何も無いって言えなくて、何かあると思わせようとした話です。

──深いですねぇ…。

 

「501」とは

み:「501」を説明すると、漠然と有名になりたいギャルのるなちゃんて子がいて、AVだったらいけるだろうみたいな感じで3年やったけど、思ったほど話題にもならず有名にもなれなかったと。でその後とった行動がDJを始めたんですよ。

ゴ:DJって言われてカチンときたらしいんですよ。

み:いや、俺は別にDJが嫌いなわけじゃないんですよ。ただ、AVの撮影なんだからAVを頑張ってくれればいいんです。せめてエロければいいんですよ。でも、それも無いんですよ。黒の七分パンツと黒のドクロTシャツで来たり(笑)。彼氏ができても一ヶ月しか続かないとか言ったり、「友達とかは?」って聞くと、エンターテイメント系の人が多いかな、みたいな。その言い方とか…お里が知れちゃうわけですよ!プライド持って仕事してるとか言うから、そんなの自分で言わなくていいんだよ、周りが決めることですから。「DJに使う音楽はどうしてるの?」って聞くと、YouTubeでダウンロードするって言うんですよ。だから「お前ちょっとは考えろよ!」って思うわけですよ。「お前が簡単にダウンロードする、その音楽を作っている人の気持ちとか考えたことあるの?その人がプライド持って作ってたらどうするんだよ!」って。でも、その子はYouTubeがあるのが普通だから、そんなこと言ってもしょうがないじゃないですか。でも感覚が違うから、アナログでまず頑張ろうって言ってもダメなんですよ。つぶやきで集めた方が早いじゃん、みたいな感覚だから。ただ、この子はフォロワーが2万人もいるんですよ。俺は2千人ぐらいですよ。で、自慢されたんですけど。ちょっと待てよと、「お前はAVっていう肩書きを名乗ってるだけだけど、俺はAVでメシ食ってるからね」っていうのが俺にはあるんですよ。でもそれは言えないんです。言ってもしょうがないから。説教したいわけじゃないし、仕事だから乗せていかないといけないし。でも結局これはブーメランになっちゃったんですよ。その子に頑張れよって言ってたくせに、その後「俺は一人でやるから、もういいよ」って言っちゃって…それが自分に返って来ちゃったんですよ。俺が頑張らなくちゃいけなくなっちゃって。でも俺は頑張りたくないんですよ。頑張ることから逃げてきて、AV監督として程よいところで生きてるんですよ。そんな有名になりたいとかないんですよ。例えば淫語ビデオ観てる人が1000人いたら、1200人ぐらいになったら良いな、ぐらいなんですよ。それで細々と食えていければいいんですよ。

──「501」というタイトルの意味とは?

み:ネットで見たら、「500」発が最多顔射回数って書いてあったんです。だから一個足したら記録達成じゃないですか。その一発を豚にしたんです。単純に射精量の多い動物が豚だったからだけなんですけど。で、豚やっちゃったら「502」発やる奴はさすがにいないよなと。そしたら一生のキャッチコピーになるんじゃないか。人類最強の顔射の女王って言ったらみんな食いつくでしょ。でも結局、俺はそこに興味がなかったんですよ。顔射の記録作ったところで…ただ、結果いけたらいいですけど、いけようといけなかろうと、そこを本気で目指したっていうところが面白いから。世の中、すぐに合理的なことを求めるじゃないですか。それ意味あるの?って。俺らの仕事は「それ意味あるの?」ってことをやれるから、楽しいじゃないですか。

 

3日撮りのはずが2年

ゴ:この人はすべてがあまのじゃくで構成されてるんですよ。逆にいくの。

み:そうです、それが俺のドキュメントです。

ゴ:だから本当はドキュメントなんか撮りたくなかったのに、撮りたい素振りをして、でも撮り始めたら面白くないものは撮りたくないし。

み:やるなら面白くしたいじゃないですか。別にテーマは何にもないです。ただ、面白いモノを3日間で撮ろうっていうだけだったんです。

──「501」って、3日間で撮るはずだったんですか?

み:そうです、3日撮りです。

──それが2年かかってしまったと?

み:そうです、だからスゴいんです。最初は3日間の企画だったんで、一応男優さんも用意してたんですよ。ゴールドマンさんと辻丸耕平さんと西郷丼ちゃんっていう3人。で、この3人と触れ合うことによって、有名になるとは?みたいなことを自問自答させて、入口と出口でこの子になんか変化があればなぁって。その時は「エルトポ」って映画を観ていたんですよ。「エルトポ」っていうのは色んな人と対決していくことで自問自答していく内容だから、それをやろうと思ったんですよね。

 

セックスレスを解消

──YouTubeにもアップされていた、彼女に延々と「ロッキー」の話をするシーンですが、昔から「ロッキー」は好きだったんですか?

み:好きじゃないです。

──えっ、そうなんですか!?

ゴ:それは、彼女に善良な自分の部分を見せつけるために演じてた仮面なんですよ。

み:いや、両方ありますよ。みんな両方あるじゃないですか。

ゴ:YouTubeでの善人ビーバップみのるを観て勘違いし、5人の主演女優達がだまされて悲惨な目にあってる。

淫:悲惨な目にあってるの?

ゴ:るなちゃんの肩代わりになったんだけど、結局中途半端。

み:そうですね。動画あげて募集して、最初に一人来たんですよ。夢華さらさんっていう方が。夢華さんには旦那がいるんですけどセックスレスで、AVに出たのは旦那の気を引きたいってのもあって。自分の欲求としてセックスをすることによって、必要とされているのに喜びを見いだせたと。だから俺も、なんとかしてあげたいと思ってエッチしたんですよ。だけどタイプじゃないから、見た目が。そこまで思い入れが持てなかったんですよね。でも、おせっかいなんですが、エッチをタダでしちゃったんで、セックスレスを解消させてあげようと思ったんですよ。それで旦那さんの話とか聞いてたんですけど…でも、当たり前ですが、俺がどうこうできる話じゃないなぁって(笑)

──結局(笑)。

 

人間修業

──全部の素材を合わせたらどのくらいの時間になるんですか?

み:分かんないですけど、おそらく300時間以上にはなりますねぇ。

──その膨大な素材から8時間の完全版を作るわけですが、劇場版よりもさらに観やすくなっているんでしょうか?

み:観やすいっていうか、8時間映像を観るのは単純に苦痛でしょうね(笑)一気に観るもんじゃないですから。ただ人生で考えたら「あんなの観たね」っていう。人間修業じゃないですか。お遍路さんとかよりは、面白い修業になると思いますよ。

ゴ:修業だからみんな白装束で観てもいいよね。

み:というか、パジャマとかで来ていいですよ。ゴザ敷いて雑魚寝で。ツイッターで実況中継しながら観てもいいし。

──「完全版501」の見どころは?

み:そうですね、観た人生と観ない人生だったら、どっちが人間的に豊かになるのかって話しですよ。

ゴ:でも、自分で観て憶えてないでしょ?

み:憶えてないですよ(笑)

──るなちゃんは観たんでしょうか?

み:分かんないですが、観てないんじゃないですか?

ゴ:るなちゃんはみのる監督の事どう思ってるのかな?

み:なんにも思ってないんじゃないですか?でも「今度「501」が劇場でやるよ」とはつぶやいてくれてましたけど。

──最後に一言お願いします。

み:とりあえず、みんなパジャマ持ってきてください。人生長いですから、人間修業です。観る前と観た後では変わりますよ、自分が。富士山登頂みたいなもんですよ。頂上の景色なんて、登らなくてもネットで見れちゃうし、それで登った気になっちゃうじゃないですか。でも実際現場に行かないと伝わらない事ってたくさんありますよね?だから8時間をこの空間で観た「事実」が大事なんです、パジャマでいいですから。富士山3回登ったぐらいのモノは得ますよ、まぁ分かんないですが。
 

このアーティストの関連記事

LIVE INFOライブ情報

『みんなで夜から朝まで見よう!
『完全版 501』ぶっ通し8時間オールナイト上映会』 
【出演】ビーバップみのる(たぶん)、カンパニー松尾、平野勝之、タートル今田、他ゲストあり。 
2016年3月18日(金) LOFT/PLUS ONE
前売¥2,000/当日¥2,500/通し券¥3,500(要1オーダー)

1部OPEN18:00/START18:30

2部OPEN23:30/START24:00
 
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻