Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューBJ FOX(Rooftop2016年1月号)

OKOMEDY焼き!LIVE

2016.01.04

 外国人による日本語スタンダップコメディショー、『OKOMEDY焼き!LIVE』。多種多様な国からやって来た外国人がそれぞれ思う"面白いこと"を"日本語で"表現していくコメディLIVE。お笑い芸人のトークやネタとはひと味もふた味も違う独自の空間を形成するこのLIVEショーの成り立ちを、中心人物のBJ FOXさんに聞いてみました。[interview:齋藤 航(NAKED LOFT)]

BJ FOXってどんな人!?

──日本語がお上手なんですが、そもそも日本とのつながりは?
FOX:19歳の時に一度留学で来たことがあって、大学卒業後に静岡県の超田舎で2年間英会話教師をしていたことがあります。その後イギリスに帰国し、ポケモン株式会社に就職しました。
──ポケモンですか!
FOX:そう(笑)。3年間かわいいグッズやトレーディングカードを世界中に展開してました。そしてその後、大人向けコンテンツで悪名高い某ゲーム会社に転職しました。同じゲームのジャンルですが、凄く極端(笑)。
──コメディアンとしてのキャリアは?
FOX:2013年に、転勤先のシンガポールで現地のスタンダップコメディショーを観に行った時に、つまんなかったから仏頂面してたら主催に怒られちゃって(笑)。口論になって「余裕ですよこれくらい」って飛び入りみたいな形で出ることになりました。でもそこではやっぱりウケなかったので、最初はとりあえず成功するまではやってみて、ちゃんとウケたらすぐやめようと思ってました。でもウケるようになったらハマっちゃって、続けるようになりました。その後、ロンドン、ベトナム、カンボジアで公演をしてきました。去年の夏に仕事の関係でまた日本に転勤することになって、これで自分のコメディキャリアが終わってしまうんじゃないかと危惧しまして、自分が成長するためにもここで日本語のスタンダップコメディを広めたいと思うようになりました。
──日本語でやるのって大変じゃないですか?
FOX:気をつけているのは、英語でも日本語でも同じスタイルでやるっていうこと。日本語だから日本人向けにネタを変えたりはしていません。自分の、日本人が話すような自然な日本語でないという部分もそのままで。外国人コメディアンの中には「日本人の笑いのツボは外国人と違うからムリ!」とか言う人もいるんですが、実際やってみたら大丈夫でした。TVゲームと同じで、海外作品でも国産品でも面白いものは面白いですよ。
 

『OKOMEDY焼き!LIVE』って何!?

──最初はどうやって出演者を集めたんですか?
FOX:東京に出張で来るたびに顔を出していた渋谷や六本木の英語コメディLIVEの出演者に「日本語でやってみない?」と声をかけて集めました。初回が結構上手くいったので、じゃあ定期的にやってみようかなと。最初は10人くらいの出演者を集めて開催しましたが、実際コメディアンなのは4人くらい。需要と供給で言うと、需要はあるのに供給が足りていない状況です。
──普通のネタLIVEと違って、出演者を選ぶのも大変ですよね。
FOX:ぶらっくさむらいさんからの紹介やネットなどいろんな方向から新しい人が集まってきています。先月の六本木のLIVEではインド系アメリカ人落語家が出てくれました。何から情報を得たのか分からない人からも連絡が来ますよ。スウェーデン人による日本語でのコメディ手品ショーもありました。
──複雑ですね(笑)。
FOX:外国人はこう、日本人はこう、っていう考え方は間違ってると思っています。このLIVEの出演者、カナダ人、オランダ人、イギリス人、スウェーデン人、カメルーン人などみんな出身や文化は違うけど、みんなが面白いと感じるところは一緒だと思うんです。それがこの『OKOMEDY焼き!LIVE』のスタイルなんです。お好み焼きみたいにいろんな材料が入っていて、最終的に面白いものに調和されるような雰囲気にしたいんです。で、僕はソースとかマヨネーズみたいな。
──統一感を持たせて、コンセプトを決定していく役割ですね。今後、このLIVEはどういう進化をしていくんですか?
FOX:スタンダップコメディを日本で定着させていきたいというのもあるんですが、ネイキッドロフトで3ヶ月連続開催ができるのは嬉しいですね。今まではいつどこでやるのかが直前まで分からない状況でしたから。これで出演者も目標が決まって新ネタ作りなどスキルアップできるんじゃないでしょうか。出演者の中にはプロの芸人さんになろうっていう人もいないわけじゃないですけど、今はもういわゆる事務所システムがなくても活動できる時代になってきていると感じます。YouTubeもPodcastもあるし、自分がやりたいことがあったら自分でどんどん配信できるようになってきましたし。『OKOMEDY焼き!LIVE』も今後、LIVE、Podcast、YouTubeチャンネルと3つの柱でやっていこうかなと思ってます。日本で活動していますが、日本の漫才と戦おうっていう気は全くないんですよ。ルミネに勉強に行ったりもしてるんですけど、自分の理解してるスタンダップコメディとは違うと思う。じゃあスタンダップコメディって何? って言われると難しいんだけど、世界で一番準備の要らないアート。昔、SF漫画を描いていたことがあるんだけど、イギリスの漫画って脚本家、編集者、絵を描く人がいて、話し合って話し合ってやっと形になるのに大体1年くらいかかってしまうんです。もし作品を思いついても、それが形になるのは1年後…。その点、スタンダップコメディはネタを作る準備はもちろん必要なんですが、その場で生のお客さんのフィードバックが受けられる。誰にも頼らず、自分で完結させられるところがいい。
 

超手軽な留学体験!?

──どんなお客さんが多いんですか?
FOX:海外で生活した経験があってコメディショーに慣れている人や、日本のお笑いとは別の形のコメディを観たい人が多いです。一度観るとハマってもらえてますね。
──リピーターも多いんですね。
FOX:おかげで毎回新ネタを作ったり、内容を更新していかないといけません。
──このインタビューで『OKOMEDY焼き!LIVE』に興味を持ってくれた人もたくさんいると思うので、会場の雰囲気を教えてください。
FOX:暗めの照明でお酒とおつまみがあって、歌やダジャレ、政治ネタやブラックなネタもあったりしつつ、司会者がお客さんをいじったりするという…。あとは出演者が皆、外国人ばかりなのでちょっとした留学体験みたいな。
──日本語ですけどね(笑)。
FOX:日本語だけどね(笑)。
 

LIVE INFOライブ情報

OKOMEDY焼き!LIVE
2016年1月28日(木)ネイキッドロフト
OPEN 18:00/START 18:30
予約 1,500円/当日 2,000円(共に飲食代別)
*予約はネイキッドロフトHPから受付中
 外国人コメディアンたちが日本語でのお笑いに挑戦する『OKOMEDY焼き!LIVE』! 東京のコメディファンを爆笑させてきた外国人コメディアンたちが、今回は日本語のライブにチャレンジ! 彼らのお笑いのスタイルは日本語で通じるのか? 新鮮なスタイルのお笑いを通して海外の人たちが何を考えているか、ぜひチェックしてください!
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