Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューヘンショクリュウ(Rooftop2015年10月号)

不穏な空気をダンサブルにお届け!
規格外の野性ファンクネス&先鋭ポップネス・バンドがJ-POPの未来地図を変色する!

2015.10.01

 ブリブリと唸る極太ベース・ラインとこぶしを効かせたねっとり歌唱、昂揚感溢れる跳ねたリズム&ビート、容赦なく切り刻まれる鋭利なギター・リフ。それらが三位一体になり爆裂投下される、血湧き肉躍る野性の肉感グルーヴ。タフなファンク・ミュージックを礎としたヘンショクリュウの音楽は、踊りという我々の生命に内在する根源欲求を促進させるだけではなく、意味を超えた語感の力を重視した独特すぎるにも程があるその歌詞にはニッポン人としての血を感じずにはいられない。彼らのようなJ-POPの突然変異が"新しい踊り方"を提示するニュー・スタンダードになれば痛快だし、ファースト・アルバム『NIPPOP』を聴けば、規格外の野性ファンクネスと先鋭ポップネスを携えた彼らならそれを成し遂げる日もそう遠くはない気がするのである。(interview:椎名宗之)

ダメなブッカーを助けるために集まって結成!?

──『NIPPOP』をリリースしたことで、注目のされ方が変化してきたのを肌で感じますか。
ハギハラ“ZINE”ヂーノ(b, vox):凄く感じますね。バンドマンの友達からはヘンに一目置かれるようになってしまって、イベントに誘いづらくなったとか勝手に思われたり。ずっと音信不通だった友人から連絡が来たりもしたし。
奥村大爆発(ds):僕はあまり実感がないですね。むしろこれを機に、昔お世話になった塾の先生に自分から会いに行ったりしてます。
隅田川“Elbecko”リンス(g):僕のことを友達だって言う人が急に増えましたね。もちろん嬉しいことなんですけど。
──親戚まで増えたら有名になった証拠ですね(笑)。氣志團やフジファブリック、Base Ball Bearといった数多くの新進気鋭バンドを発掘・育成してきた「Great Hunting」のオーディション(「バンド・オン・ザ・ラン」)に応募した時は入賞する自信が最初からあったんですか。
ハギハラ:いえ、全く。ヘンショクリュウの音楽は割と普通だと自分では思っていたんですけど、周りからは「変わってる」とよく言われていたんです。いろんな大人の方々に非難もされましたし。その中で初めて褒めてくださったのが加茂(啓太郎/「Great Hunting」シニア・プロデューサー)さんだったんです。それまではホントに非難の連続で、そのたびにムシャクシャしてレコード会社10社くらいにデモ・テープを送ったりしてストレスを解消していたんですけど、「Great Hunting」が唯一僕らを認めてくれたんですよ。
──他の9社はけんもほろろな感じで?
ハギハラ:そうですね。某レコード会社のプロモーションの人に呼ばれて行ったら、ライブの感想をボロクソに言われました。「わざわざスケジュールを調べてまでライブに行こうとは思わないバンド」って(笑)。
──それは酷い(笑)。「Great Hunting」オーディションでの勝負曲は、今回のデビュー・ミニ・アルバム『NIPPOP』にも入っているんですか。
ハギハラ:入ってないです。『NIPPOP』の中の曲は、リードトラックの「新しい踊り方」と「悪ション×3」以外は新曲ですね。最初は「新しい踊り方」に合わせて全部新曲で行くつもりだったんですけど、曲作りが間に合わなくて、自分の中では割と新しめな「悪ション×3」を入れたんですよ。「新しい踊り方」は僕が高1くらいの時に作った古い曲で、それを掘り返してみたらプロデューサーの亀田誠治さんと加茂さんとメンバーが気に入って、僕は「えッ、マジか!?」って感じだったんです。
隅田川:ライブのセットリストにも入ってなかったから、後から入った僕には最初から新曲みたいなものだったんですよ。
奥村:ただ、ベースが難しい曲なんだよね。
ハギハラ:そう、僕が唄いながら弾けない曲だったからずっと封印していたんです。
隅田川:それが弾けるようになったんだから凄いよね。
ハギハラ:亀田さんに「リードトラックは『新しい踊り方』で行こう」と言われて、「いいですけど、これは唄いながら弾けませんよ」って答えたんです。「いいよいいよ、それは後で考えよう」なんて言われて。それでいざレコーディングをして、渾身のテイクを録り終えたところで亀田さんに言われたんですよ。「この曲、ちゃんとベースが弾けるようにならないとヤバいね!」って(笑)。天下の亀田さんの前とは言え、心の中で「だから言ったじゃん!」って思いましたね(笑)。でも亀田さんにそう言われた以上は死ぬ気で練習するしかなかったし、その甲斐あって今もライブでやれてます。
──結成当初からファンクを主軸とした音楽をやっていたんですか。
ハギハラ:そうですね。エルベッコが入って今の編成になったのが去年の10月なんですよ。僕と大爆発は高1の頃からずっと一緒にバンドをやっていて、その当時はギタリストもバンド名も違ったんです。当時から割とファンクっぽい感じではありました。
奥村:最初のギタリストはブルースが凄く好きで、そのせいか当時はガレージ・サイケみたいなところもありましたね。僕はヂーノ君と出会うまではBUMP OF CHICKENとかスピッツとかが好きで、ラジカセの前に正座して歌詞カードを読みながら音楽を聴くタイプだったんです。
──それがハギハラさんと出会ったがために変態ファンクの道へいざなわれてしまったと。
奥村:ちゃんと言葉を交わすよりも先にジャム・セッションでライブをしたんですよね。
ハギハラ:当時、地元の千葉のライブハウスに凄いダメなブッカーがいまして。バンドのキャンセルが出たって連絡があって、「明日、学校の帰りに来い」って突然言われたんですよ。で、行ってみたら大爆発と当時のギタリストがその場にいて、急遽セッションすることになったんです。次の日にはもう一緒にバンドを組んでましたね。
奥村:当時、僕はBUMP OF CHICKENのコピー・バンドをやっていたんです。最初のギタリストはもともと僕の弟の友達で、顔見知りだったんですよ。その彼から「今からライブをするんで来てください」って久々に連絡をもらって行ってみたら、その場でドラムを叩いてくれって言われたんですよね。
ハギハラ:そんな成り立ちで始めたバンドが千葉から東京に進出して、ある時東京で共演した対バンのギターがエルベッコだったんです。
──と言うことは、ヘンショクリュウの原型は地元のライブハウスのダメなブッカーによって集められたと。
ハギハラ:と言うよりも、ダメなブッカーを助けるために集まったという感じですね(笑)。
 
このアーティストの関連記事

1st album
NIPPOP

Great Hunting POCS-1346
定価:1,500円(税込)
2015年9月9日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
1. 新しい踊り方
2. 逃げ出したい
3. 今夜は朝まで
4. やめられない
5. 悪ション×3

LIVE INFOライブ情報

『変色竜日本譜発売記念』
二千十五年十月十四日(水)下北沢SHELTER
出演:ヘンショクリュウ/yEAN/ドミコ
開場 18:30/開演 19:00
前売 2,300円/当日 2,700円(共にドリンク代別)
問い合わせ:SHELTER 03-3466-7430
 
十月五日(月)本八幡3rd stage
十月十二日(月・祝)MINAMI WHEEL 2015
十月二十四日(土)名古屋ell. FITS ALL
十月二十五日(日)大阪club JANUS
十一月二十六日(木)渋谷TSUTAYA O-nest
 

RECENT NEWS最新ニュース

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻