日本のパンク/ハードコアの夜明けを彩った「神々」というべき先駆者たちの信じられないような驚愕のエピソードの数々に、震撼したり爆笑したりジーンときたりと大忙しだった前回の講義から約1年、温めに温めたおかげでチンッチンに熱され爆発寸前のパァァァァンク教室の扉が再び開かれる!
新作『悪の手先 -REVENGE OF THE MAD CORPS-』を引っさげ今回も学ぶ気マンマンの模範生徒、流血ブリザード・ユダ様と、前回ゲスト教授ながら場をグイグイ持っていく圧巻の存在感だったKATSUTA★教授、講義スタイルなのになぜかMCとして場を回してくれた重要人物フジジュンさんも駆けつけてくれました!
【構成:NAKEDLOFT(齋藤航、小柳元)/田実健太郎/協力:東京刺青屋(TOKYO HARD CORE TATTOO)@高円寺】
フジジュン:前回は本当に貴重で絶対に文章には出来ないような物騒な話が満載で。イベント前にユダ様がKATSUTA★さんと呑んで色々と取材をしてたんですよね。
ユダ:KATSUTA★教授の体験談も、そのさらに上の世代の方々の話もほんとに凄まじい!漫画や映画なんかを超えてるね。
フジジュン:生き急いで亡くなった方も多いですしね。そういう話を誰か語り継いでいく人がいないとね。
ユダ:そう思うと、混沌とした日本パンクの初期から今でも現役バリバリのKATSUTA★教授も極蔵先生(ゲンドウミサイル)も凄いなって思う。極蔵先生の話も凄かった!
KATSUTA★:『耳削ぎキックの極蔵』と呼ばれてましたね(笑)。
ユダ:リアルマッドマックスの時代ですね。(笑)
KATSUTA★:スターリンのファンのようにライブの日だけスタイルが変わるっていう人はたくさんいたけど、日常的にモヒカンやってるていうのは異常ですから。そういう暴走族上がりみたいな人も結構いたんですよ。
フジジュン:ちゃんと仕事してるとそんな格好出来ないですよね。
ユダ:パンクは仕事なんかしちゃいけないから。
KATSUTA★:生活感が無い方がパンク。そういうのが素晴らしいと思うんですよね。
ユダ:そう思うとメロコアなんてパンクじゃねえよな。教授も言ってやって下さいよ!
KATSUTA★:僕はコレに関しては聞いているだけなんで。
ユダ:(笑)!でもこんなこと言ってる俺がKATSUTA★教授に興味を持つようになったのは「AIR JAM」がきっかけだっていう(笑)。にもかかわらず今となってはメロコアを認めたくないっていう気持ちが凄く強い。けどそれはエアジャム世代より下の奴等だな。エモってなんなんだ!それといまだにハイスタの劣化版みたいな事している奴らなんてクズだよ。ハイスタがいるんだからてめぇらなんかいらねーだろ!でもそんなんでもメロコアさえやってりゃそれなりに安全牌なんだよな。もっとアングラでもまれないと駄目だ!
KATSUTA★:…なんかされたんですかね(笑)?
ユダ:アイツらはTシャツ、半パンで…。ノリも爽やかスポーツマンみたいだろ。嫌い!こっちは重い衣装で血流したり、ベトベトに汚れたりしながら身を削ってんのによ。なのに集客が違うからな。(笑)ひ〜が〜み〜じゃ〜〜。くそー、鋲ジャンも着ないでパンクだなんて認めねー!ハードコアしか認めねー!激しいものしか認めねー!
フジジュン:今回、俺は流血の新しいCDを聞いて凄い覚悟を感じたよ。誤解とか勘違いとかを恐れずに言うパンクイズム。今回はメッセージ性強いですよね。
ユダ:今回は色々な『悪意』の集大成だな。
俺たちと同じ気持ちを持ってる全ての異端者に対するエールでもある。そして俺らみたいな奴らをイロモノ扱いして邪険にしてくるパンクの固いやつらにもアンチを向けている。もちろん綺麗事ばかりのJ-POPには一生アンチなんだけど!本当に異端児の異端児…「片端者の復讐」みたいな、俺の執念だな。アルバムを作る直前にメンバーが脱退してな。新しいメンバーを入れて復活したんだけど、その時に色々なヤツが「ほらみてみろ」って。「あんなふざけた奴らは崩壊するんだよ」と…。
KATSUTA★:そんな事言われたの?
ユダ:いやいや言われてはないんだけども(笑)。頭の中で色んな奴がほくそ笑んでいる姿が浮かぶんだよ!ここでやめてしまうと俺はそいつらにリベンジも出来ず、歴史もつくれず終わってしまうからな。あいつらにもっと歯ぎしりさせてやる。「なんであんなふざけた奴らがのさばって色々な事やれてんだ」って悔しい思いさせてやるっていう俺の憎悪が詰まってるんだよ。まぁ…完全な被害妄想だよ!病気だよ!俺は!!
フジジュン:KATSUTA★さんは9/23のユダフェスにゲスト出演されるんですよね(※9/13収録)。スタジオで一緒に音を出してみてどうでした?
KATSUTA★:みんな真剣にやってるし、刺激があってよかったです。自分から言ったんですよ。「やらしてくれ」って。
ユダ:俺たちがベースを失った直後に、唯一「俺がやりましょうか?」って言ってくれたんだよ。それまで引きこもりのニート野郎ばっかりが応募してきたところに、いきなりKATSUTA★教授が応募してきてくれたから「エーッ!」ってなったよ(笑)。
KATSUTA★:そしたらもう新しい人が決まってて、じゃあせっかくだから2曲って事に。あと、(曲・I♡MEで)ちょっと踊ってみたかったんですよね(笑)。自分の可能性を広げるという意味でも、是非って。
ユダ:これは凄い事だよ。人間は自分のやってきた事を大事にするから。キャリアがあると「こんな事をしたら色んな奴に叩かれるんじゃないか」って思うだろ。特にKATSUTA★教授のようにハードコアの王道を通ってきた人が流血ブリザードに参加することってリスキーなことだ。俺は初めて鉄アレイの映像を見たとき「なんだこれは!リアル北斗の拳じゃないか!」と凄まじい衝撃を受けたんだよ。それが今の流血の衣装とかに影響してる。どんなベーシストが理想かっていったら、やっぱりKATSUTA教授。シド・ヴィシャスより格好良いと思ってるよ。日本のパンクのオリジネイターだからな。やっぱり、本物感が全然違った。それが流血ブリザードの曲をプレイしてくれて一緒にステージ立てるんだからパンク冥利に尽きるよ。
フジジュン:KATSUTA★さんからしても、最近こういうバンドがいないって言う面白さもありますよね。
KATSUTA★:応援したいですねぇ。平成ですからね、今(笑)。
ユダ:完全な時代遅れだよね。『近過去系』って自分達の事を言ってるんだよ。昭和のパンクがDNAに馴染むんだ。音も汚ねぇ方がいいんだよ。
KATSUTA★:そういうのが出てると思うよ。だから、幅広い層から支持されてるんじゃないかな。俺から見ても面白いもん。若い層には新鮮に聞こえるかもしれないしね。
フジジュン:流血の今回のアルバムは音が邪悪だよね。
ユダ:ダーティーさ、荒々しさを出したいっていうのがあった。創世記のパンク感を出しつつ、ハードロック感とかそういうのも出したかった。ジャケもしゅっとしたパンクの奴が嫌うだろうなってモサい感じにあえてしたんだよな。全部に嫌われてやる!こういう考えにシンパシーを感じてくれるのは社長(ザ・クレイジーSKB)なんだよ。あの人はスターリンとか日本のパンクは好きなんだけど、セックスピストルズとかは全然通ってなくて好きじゃないんだよ。これがパンクのオリジナルって言うんだったら、パンク自体を壊してやろうじゃないか、そっちの方がパンクだろって発想の持ち主なんだ。その考え方は素晴らしいし共感する。昔の何もないところからあの独特の極悪な笑いとハードコアのクロスオーバーのスタイルを作り出した訳だから、凄いよな。昔のビデオとか見ると呼ばれた文化祭で学校を破壊してたりしてるし(笑)。殺害塩化ビニールに関してはただのお笑いレーベルだとか色々な捉え方をする奴がいると思うんだけど、俺からしてみれば日本一の極悪レーベル。リスペクトしてるよ。
KATSUTA★:流血ブリザードは殺害レーベルの新しい形をつくってるよね。素晴らしいと思います。
フジジュン:お二人は社長繋がりで知り合ったのかと思ってたんですがそうじゃなかったんですね。
ユダ:ミクシィで繋がったんだよ。多分KATSUTA★さんも誰かわからないまま承認してくれてたと思うんだけど。それからやっぱり極蔵さんが俺を色々紹介してくれたっていうのがあるね。俺らが昔、大阪でゲンドウミサイルの前座をやった時に、極蔵さんから「君達の事は聞いてるよ。殺害の最後の子供だな」って言ってくれて、最初から凄く良くしてくれた。「今日は好きにやっていい。でも納豆を撒くのだけは止めてくれ。俺、嫌いだから。」って(笑)。
フジジュン:それで第一回のトークライブやる時に、この人達しかいないって感じになったんですね。KATSUTA★さんは最初に誘われた時どうでした?
KATSUTA★:トークライブなんかやった事ないしさ、人が来るかもわからんしさ。だから面白そうだなって。人って怖がらせるのは簡単で、笑わせるのが一番難しいと思ってるんです。だからここに入門したの(笑)。流血ブリザードに鍛えられたいと思って。
ユダ:そんな事ないですよ!普通なら引いてしまうような怖い話にもきちんとオチをつけて笑いをとってたからね。俺たちより話上手ですよ。
フジジュン:KATSUTA★さんに聞きたかったんですけど、昔のエピソードっていうのは時間の経った今だから話せるっていう部分もあるんですか?
KATSUTA★:話す機会が今までなかったからってだけですよ。
フジジュン:リアルに時効だからっていうのもあるのかなと思ってたんですけど(笑)。
KATSUTA★:ほとんどが笑える話ですよ!…わかんない、俺たちだけが笑える話かもしれない(笑)。この前、◯◯◯さんとか◯◯◯◯◯さんの話をまた聞いたんだけどメチャメチャ面白かったですよ。とてもヤバくて紙面には載せられないけど(笑)。(※収録中、あまりにもヤバすぎるエピソードが多数出たのですが紙面化は不可能ですのでご了承ください。)会場でしか言わないよ!