Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー鈴木美潮(日本特撮党党首)(Rooftop2015年7月号)

ロフトプラスワン最強のイベント・オーガナイザー!
遅れてきた昭和ヒロイン、鈴木美潮の戦いは終わらない!!

2015.07.01

 ついに今月、オープン20周年を迎えるロフトプラスワン。これまで数多くのイベントが立ち上がり、そして消えてきたが、10年以上も満員御礼のイベントを打ち続けるオーガナイザーは、自らを「日本特撮党党首」と称する鈴木美潮の他にはいない、と言っても過言ではないだろう。
 今回のRooftopインタビュー、プラスワン枠は、この度、自身初の著書『昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか』を上梓する鈴木美潮! 昭和ライダーから平成スーパー戦隊まで、日本特撮シーンを観続けてきた鈴木美潮が、ヒーロー・イベントを打ち続ける理由とは!?[interview:東 健太郎/構成:マツマル(LOFT /PLUS ONE)]

『ゴーカイジャー』の元ネタは鈴木美潮のイベント!?

──「日本特撮党党首・鈴木美潮」をご存知ない方のために伺っておきたいのですが、美潮さんって、普段は何をなさっている方なんでしょうか。
美潮:普通の人ですよ(笑)。本業はれっきとした新聞記者なんですけど、12年前からロフトプラスワン、そしてロフト系列の店舗にて『340(みしお)presents』と題して、あらゆる特撮ヒーローやアニソンのイベントを企画・開催しております。
──12年間、系列店も含め、多い時は年間で30本近くもイベントをやってもらっているので、正直なところ心配なんですが、本業のほうは大丈夫なんでしょうか?(笑)
美潮:大丈夫です! ちゃんと本業で飯を食べてますんで(笑)。日本特撮ヒーロー文化振興のために、寝る間を惜しんで努力しております。
──最初にイベントを始めたキッカケは何ですか。
美潮:最初に企画したイベントとなると、今も定期的に開催している『赤祭』なんですけど、これは『バイオマン』レッドワン役の阪本良介(現・坂元亮介)さんと、『オーレンジャー』オーレッド役の宍戸勝(現・宍戸マサル)さんと、ひょんなことから一緒に呑むことになったのがキッカケですかね。深夜の2時くらいまでしこたま呑んだんですが、その勢いで「なんかイベントやりましょうよ!」って、新宿の路上でいきなり叫んでました(笑)。当時プラスワンでプロデューサーをやっていた(斉藤)友里子さんと個人的に仲が良かったんですが、すぐにタクシーの中で電話して、空き日程を押さえてましたね。
──そんなに前から敏腕オーガナイザーの片鱗を見せていたんですね(笑)。もともとイベント自体はやりたかったんでしょうか。
美潮:当時はネットもさほど浸透していなかったので、戦隊モノのファンは数多くいても、交流の場というのはあまりなかったんですね。せっかく脈々と続いている戦隊モノの歴史の中で、それぞれのファンが完全に分かれてしまっているのはもったいないですし、この「戦隊間の縦の糸」をうまく繋げることで、ファンをどんどん拡大していきたいと思って始めたところはありますね。
──今でこそ『340 presents』イベントはほぼ毎回、SOLD OUTですが、当時はそうしたイベント自体がなかったんですね。
美潮:なかったですね。やりたくてもできない人も多かったんじゃないでしょうか。実際、新旧レッドの人を口説き落としたはいいものの、チケットもギリギリまで全然売れなくて…。もの凄く不安になったんですが、蓋を開けてみれば満員御礼で、自分のやったことに間違いはなかったと実感しましたね。こんなことを自分で言うのも恐縮なんですが、「戦隊間の縦の糸を繋ぐ」というウチのイベントがなければ『海賊戦隊ゴーカイジャー』(註:「過去に34戦隊が地球を守り続けてきた世界」という設定。主人公たちの他に、歴代戦隊ヒーローが続々登場する、ファン感謝的な要素が話題になった)は生まれなかったんじゃないかって、勝手に思ってますね。
 

“340イベント”はサプライズの連発!

──そもそも美潮さんが特撮ヒーローにハマったきっかけは何だったんでしょうか。
美潮:私の場合は(仮面)ライダーですね! 「昭和ライダー」が好きです。と言うよりも、70年代に幼少期を日本で過ごした人であれば、ライダーが絶対好きになるよう遺伝子レベルでプログラミングされてるんですよね。
──70年代と言うと、美潮さんはまだ生まれてない時代ですけどね(註:美潮さんは永遠の25歳…という設定です)。ずっと新聞記者の仕事をしつつ定期的にイベントを組んでいるわけですけど、職場にはどう説明しているんでしょうか。
美潮:勤務時間外活動としてちゃんと断ってますよ。でも「レッドワンとオーレッドのイベントやります。レッドワンというのは『バイオマン』のレッドだけどバイオレッドではなくて…」とか説明すればするほど、上の人の眉間のシワが深くなっていくという(笑)。
──『赤祭』の次は何でしたか。
美潮:昔のことであまり記憶はないんですけど、たしか戦隊モノのお兄さんだけを集めた『兄祭』だったと思います。他にも緑色とか黄色とか桃色とか色々ありますが…とにかく数が多すぎて記憶が定かではないので、どなたか私のWikipediaを監修してくれないでしょうか(笑)。
──数多くのイベントをやっている中で、特に記憶に残っているものはありますか。
美潮:う〜ん……ひとつは『空祭』ですかね。『スカイライダー』の村上弘明さんと、歌手の水木一郎さんに出演してもらいました。もうひとつは『宙祭』。こちらは『宇宙刑事シリーズ』の渡洋史さんと大葉健二さんに出演してもらったんですが、この二人が私の知らないところで、なんと千葉真一さんにオファーしていたみたいで、イベントの第一部が終わったところで、「今、プラスワンに千葉真一さんが向かっているそうです」っていうカンペがスタッフから渡された時は、声にならない声が出ましたね(笑)。
──千葉真一さん突然の出演は今でも語り継がれてますよ(笑)。
美潮:実際、二部の冒頭に現れた時は地鳴りが起きてましたね。今後もファンの方々に喜んでもらえるよう、常にサプライズを仕掛けていきたいです。いや、これは完全に私がサプライズを仕掛けられた側ですけど(笑)。
 

ヒーローの戦いに休みナシ!!

──7月のイベントは美潮さん初の著書『ヒーローたちの戦いは報われたか』の発売記念となるのですが、本の内容について聞かせて下さい。
美潮:「ヒーローと昭和の世相」がメインのテーマですね。「ヒーローたちはいったい何を私たちに伝えようとしたのか」、そして「『ヒーローたちが伝えたかったこと』は、我々に伝わってきたのだろうか」ということについて書いています。
──どんな方に読んでもらいたいですか。
美潮:あえて特撮ヒーロー・ファンでない方にも読んでいただきたいですね。ヒーローを知らなくてもヒーローを通じて昭和の時代背景が見えてくるような内容になっていますので。
──手に取ってみると分かるんですが、圧倒的なボリュームの上に、年表や美潮さんの個人的な特撮ヒーロー作品の見どころ紹介なんかも載っていたりして、とても新聞社にキッチリ勤めている人が書いた本とは思えないですね。
美潮:原稿用紙で言うと370枚くらい書いたみたいなんですが、会社から帰宅したら夜の8時から明け方4時くらいまで本を書いて、また出社して…っていう毎日でしたね。しかもこの本を書くために、新たに45万円分もDVDを買ったんですよね(笑)。そもそも棚に入りきらない数のDVDがあるのに…。
──ベストセラーになってくれないと割に合わないですね(笑)。今回の発売記念イベントはどういった構成をお考えですか。
美潮:酒井(一圭)さんに司会をやってもらう、ということ以外はあまり考えてないですね(笑)。というのも、普段はゲストありきでイベントを考えているので、恒例のサプライズを自分で考えるのも変だし、自分が語るというのもあまり慣れていないものですから。
──敏腕オーガナイザーも自分のこととなると大変ですね。では最後に、今後の目標について伺っても良いでしょうか。
美潮:とにかくこの本に売れて欲しいです!(笑) もう冗談抜きで売れないと、帯コメントをくださった藤岡弘さんらを始め、編集部や各方面の方々に迷惑を掛けてしまうので…。あとはイベントの企画面で言うと、もっと個々を掘り下げたようなモノを企画していきたいのですが、如何せん時間が足りないのがネックではありますね。やり始めるとキリがないでしょうから。
──そうなってくると、いよいよヒーローばりに不眠不休になりそうですね。新聞記者との兼業は難しそうですが、「日本特撮党党首」の鈴木美潮ならきっとやってくれると信じてます! ……で、このあとさっそくイベントなんですが、大丈夫ですか?
美潮:すいません、ちょっと休ませてもらってもいいですか?(笑)
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340党首、初の著書!
昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか

鈴木美潮・著
定価:1,500円(税込)
集英社クリエイティブ・刊

LIVE INFOライブ情報

7月3日(金)340 presents『石山祭4』@阿佐ヶ谷ロフトA
7月11日(土)340 presents『340祭 〜祝・出版〜』@新宿ロフトプラスワン
7月31日(金)340 presents『特歌祭24 〜師匠と弟子〜』@阿佐ヶ谷ロフトA
8月29日(土)340 presents『赤祭13 〜祝祝祝〜』@新宿ロフトプラスワン
※詳細は各店舗のHPをご参照下さい。

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