Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー相川和也(TVアニメ『四月は君の嘘』宣伝プロデューサー)(Rooftop2015年4月号)

作品と視聴者をつなぐ宣伝プロデューサーとしての仕事

2015.04.01

 原作の持つカラフルな世界観・魅力的な人間ドラマを表現し、原作ファンのみならず多くの視聴者を魅了したTVアニメ『四月は君の嘘』。その魅力を伝えるために奔走した宣伝プロデューサー、相川和也氏にその仕事と作品の魅力を振り返っていただきました。[interview:柏木 聡(Asagaya/Loft A)]

若さと一体感のある中で作り上げられた作品

──最初に『四月は君の嘘』(以下、『君嘘』)アニメ化のきっかけ、立ち上げをお伺いできますか。
相川:3年ぐらい前に弊社から話を持ちかけたことがきっかけだったと思います。当初は1クールの放送で話をして、一度断られてしまったのですが、とても素晴らしい作品で是非アニメ化をしたいと考えていたので、2クールで放送できるように調整してアニメ化に至りました。
──イシグロキョウヘイ監督は今作が監督デビューとなりますが、抜擢された理由は何だったんですか。
相川:今作プロデューサーの斎藤(俊輔)が2011年にノイタミナ枠で放送された『放浪息子』にもプロデューサーとして関わっており、その作品の第7話の絵コンテ・演出を担当されたのがイシグロさんだったんです。斎藤もイシグロさんも年齢が近く、シンパシーを感じる部分があったみたいで、いつか一緒に仕事をしたいなとインスピレーションを感じていたようです。その後、イシグロさんはいろいろな作品の第1話など、実力がないと任せられないポジションの仕事をされていたので、そういう客観的な情報も合わせて、『君嘘』の監督をお願いすることになりました。実は連絡先が分からなくて、ツイッターからダイレクト・メールを送ってコンタクトしたらしいんですけどね(笑)。
──相川さんも初の宣伝プロデューサーですし、監督のイシグロさん、キャラクター・デザインの愛敬(由紀子)さん、主役の花江(夏樹)さんといった若手スタッフが先頭に立って制作されていますが、現場の雰囲気は如何ですか。
相川:現場の雰囲気は最高です。自分は会社で、イシグロさんや愛敬さんは基本スタジオでと、普段は別の場所で仕事をしているわけですが、それでも一緒に仕事をしている感は強く、一体感のあるチームだなと感じています。キャストの皆さんも若いですが、本当に『君嘘』を愛してくれていて、収録後にはよくスタッフと一緒に食事に行ったりしますね。スタッフを集めて最終話の上映会をやったのですが、花江さんはそこにも来てくれました。いろいろな作品に出演している中で、ツイッターのアイコンも『君嘘』にしていただいて嬉しい限りです。
 

宣伝プロデューサーとしての仕事

──その雰囲気は青春ストーリーでもあるこの作品にとても合っていて、良さが画面からも凄く伝わってきます。ただ『君嘘』はアニメ放送と連載が後編ほぼ同時進行となる部分もあったと思うのですが、難しくはありませんでしたか。
相川:自分は宣伝プロデューサーとして、放送開始前には“同時期”に終わることは把握していたので、その上で宣伝プランを考えました。なので、難しくはなかったですね。むしろ、アニメと原作を同時に終わらせることができる機会はとても少ないので、貴重な経験ができたと思います。とにかく、原作ファンもアニメファンも喜んでくれるよう、意識してプランは考えました。
──相川さんの宣伝プロデューサーとしてのお仕事をお伺いできますか。
相川:自分もまだ入社3年目、宣伝歴は2年なので偉そうなことを言える立場ではないのですが、宣伝プロデューサーとは宣伝の“責任者”だと思っています。作品を預かっている立場なので、その大切な作品をどのようにしたらより多くの人に、より良い形で届けられるか、ひとつひとつの宣伝活動の内容を練っていきます。
──作品と視聴者をつなぐ大切なお仕事ですね。相川さんも原作のファンということですが、『君嘘』に携わった経緯を聞かせて下さい。
相川:もともと宣伝の先輩が担当に決まっていたのですが、過去にも一緒に他の作品を担当していたので、その流れで決定しました。ただ、学生時代から原作のファンだったので、『君嘘』のアニメ化企画が動き出した時点で立候補するつもりではありました。今回担当することができ、とても運が良かったです。
──タイアップもいろいろな形で展開されていますが、どのような点に注意・こだわりを持ってお仕事をされましたか。
相川:主なタイアップは西武鉄道さんのご協力で実現しています。目立っていたのはグリコさんとコカ・コーラさんとのコラボですね。特にグリコさんの商品は本編にも自動販売機などで登場していました。注意をした点は、アニメの中であまり告知感が出ないようにすることです。それは視聴者にとっても作品にとってもプラスではないので、制作スタッフの皆さんが目立ちすぎず、見えなすぎないという絶妙な感じで作ってくれました。
──確かにそういう点が前に出すぎてしまうと、どんなに良い作品でも視聴する側の気持ちが離れてしまいますから大事なポイントですね。プロモーションということですと、公式HPでは制作スタッフのインタビュー・コメントを掲載したり、『のだめカンタービレ』とのコラボなど面白い仕掛けを多く展開されていますが、それは相川さんのアイデアなんですか。
相川:スタッフのインタビューは自分のアイデアです。制作スタッフの皆さんにもスポットを当てたいと思っていたので。のだめのマングースはプロデューサーの斎藤のアイデアです。委員会で提案したところ、講談社さんも快諾して下さって、二ノ宮(知子)先生もすぐにOKをくれたそうで大変ありがたかったです。視聴者の皆さんもマングースが本編に出るたびに盛り上がっていたので、良いコラボだったなと思います。
 

『君嘘』の魅力が多くの人に届いたのを実感

──クラシックが題材、ノイタミナ作品ということでも共通点がありますし、とても面白いコラボでした。インタビューは相川さんのアイデアということですが、どういった思いから行動に移されたのですか。
相川:最近のアニメ作品は、出演しているメインキャストの皆さんに注目が集まるので、そこはもったいないなと感じていたんです。確かにそれが正しい作品の姿でもあるのですが、『君嘘』の場合はキャストに注目が集まるのはもちろんですが、それだけでなく、スタッフも含めて主役なんだという点を見せたかったのでこの企画を実施しました。アニメが多くのスタッフによって作られているのは皆さんご存知だと思うのですが、どんな仕事をしているんだろうという部分って、実はあんまり知られていないのかなと思ったので実施しました。ライツ事業部のインタビューとか、ロゴ・デザイナーのインタビューとか、あまり見かけないですよね。こういった、普段注目されない方たちがどのように作品に貢献しているのか、ファンの皆さんに伝えたかったんです。
──相川さんと言えば、一部で話題の宣伝A独奏者への道は現在どのようになっていますか。
相川:話題かは分かりませんが…(笑)。ちょっと3月中が『AnimeJapan』で忙しくて、ほとんど手をつけられていないです。とは言えどこかで披露したいとも思っているので、そろそろ猛練習を始めます。
──その時を心待ちにしています(笑)。『君嘘』は3月に最終回を迎えましたが、放送を終えた今、感じることはありますか。
相川:多くの人に『君嘘』の魅力が届いたんだな、と感じます! 自分はツイッターでの反応だったりメッセージだったりに目を通すタイプなので、皆さんの感想はダイレクトに頂戴しています。その量が最終話に近づくにつれて、もの凄い勢いで増えていったので、宣伝を担当していてこれ以上嬉しいことはありません。
──こちらこそ、素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます。最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
相川:最後の最後まで『君嘘』を愛してくれてありがとうございます。スタッフトークイベントにまでお越しになる方は、きっとどっぷりと『君嘘』にハマっている方かと思いますので、その皆さんも満足できるようなお話ができればと思います! ご期待下さい!

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価格:Blu-ray 7,000円+税(ANZX-11445)
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価格:3,600円+税

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LIVE INFOライブ情報

TVアニメ『四月は君の嘘』スタッフトークイベント
【出演】イシグロキョウヘイ(監督)、ほかメインスタッフ
2015年5月16日(日)阿佐ヶ谷ロフトA
OPEN 18:00/START 19:00
前売 2,000円/当日 2,500円(共に飲食代別)
*前売券はe+にて4月12日(日)午前10時より発売開始
問い合わせ:阿佐ヶ谷ロフトA 03-5929-3445
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