新宿ロフトの新春名物イベント「しりあがり寿Presents 新春!(有)さるハゲロックフェスティバル」がいよいよ今月末に迫って来た! 奇想天外摩訶不思議なこの世界に一度迷い込んだ者は誰もがトリコ仕掛けになるという「さるフェス」だが、会場の広さはそのままに年々中身が濃度を増し続けた結果、もはやその全貌を知る者は誰もいないのではないかと言われている。2015は事前に「さるハゲシンデレラオーディション」なる催しも行われ、ますますどこに向かって行くのか予測不可能になっているが、今回その首謀者達に集まっていただき、ROOFTOP恒例の開催直前インタビューを敢行した。(構成:加藤梅造)
今回のテーマは「迷宮のシンデレラ」。シンデレラならオーディションをやるしかない!
──いよいよ1月31日に新春恒例のさるフェス’15が開催されますが、今年の見所などをお聞かせいただきたいと思います。
村山 今年何をするのか分かってる人、いるんですかね?
寿 いないんじゃない?
──えっ、じゃあどうやって決まっていくんですか?
寿 開催日が迫ってくると自然に決まるんじゃないのかな。これもできない、あれもできないって感じで。まあ、消去法?
村山 最近は思いついた人が責任持ってやる流れになっていて。でもだんだん余裕もなくなってくるので、できないことはあきらめるしかない。
ハヤマ 特に今年は思いついちゃった事が多いから、新しい試みが増えてます。
村山 「さるハゲシンデレラオーディション」もそういった思いつきの中の1つ。
寿 河井さんはいまカレンダー作り(※1)に夢中だもんな。そんなことやってる場合か?
(※1)さるフェス'15のプレミアムチケットには「さるハゲシンデレラ特製カレンダー」が付いてます。
──私はネットで「シンデレラオーディション」のお知らせを見て、なんかすごいことになってるなあと思いました。
村山 毎年、オーディション的なことをやりたいという話はでるんですが、やると大変だとか、めんどくさいという理由でいつもボツになってたんです。それが、今年はテーマが「迷宮のシンデレラ」と決まったので、いよいよこれはシンデレラオーディションをやるしかないと。
──シンデレラというテーマが先に決まったわけですね。
村山 でも河井さんなんかはまだ「オーディションは大変だからやめましょうよ」「やるんなら明治大学の人達でやっといて下さい」と興味ない感じで。それで僕と秋山想さん(註:二人とも明治大学出身)で「明治大学オーディション研究会」というのを結成して、同じく明大出身で熱帯という劇団の黒川麻衣という演出家も巻き込んで…。
──オーディションのためにわざわざ結成したんだ。
村山 ところがある時、急に河井さんが「シンデレラやるならカレンダー作りましょうよ!」と言い出して、「あれ!いつの間にやる気になってる?」と(笑)。
ハヤマ それも当初はさるハゲの事務所で河井さんが自分で撮影するはずだったのが、いつの間にか衣装を借りてスタジオを借りてと、どんどん大掛かりな話になってしまった。
村山 こういうの、さるフェスではよくあることなんですが、たまたま飲み屋でお会いした人がおもしろがってスタイリストを引き受けてくれると言ってくださって、さらにプロのカメラマンさんに声をかけてくれたりして、思いがけず本格的な撮影会が実現したんです。
寿 そもそもの話ですが、さるフェスではもっとヘンなことをしていかなきゃと思っているんです。
──今でも充分ヘンなことしてると思いますが…。
寿 まだまだ志は高いんです! これはネタバレになっちゃうんだけど、いつもさるフェスは夜中の12時を越すじゃないですか。それで「これはシンデレラだ」とまず思ったんです。しかもロフトという迷宮みたいな場所で、お客さんと一緒に12時を越えるというヘンな体験をするのは意外とおもしろいんじゃないかなと。それで、じゃあ迷宮って何だろう? と考えたんです。シンデレラが逃れられない迷宮、それは日本の同調圧力ではないかと! それで権威の象徴としてエルガーの行進曲「威風堂々」を演奏して、権威や圧力という迷宮に追われ、そこから逃れようとするシンデレラをテーマにしてみたいんです。
──いきなり社会派なテーマになりましたね。
寿 そこまでは考えたんだけど、なんかだんだんどうでもよくなって、気がついたらオーディションになってた。
村山 やっぱ水着のカレンダーでしょ!って(笑)。
寿 もうこれでいいやと(笑)。
村山 ちなみに「さるハゲシンデレラ」に選ばれた松本華菜実さんは、カレンダーの撮影で生まれて初めてビキニを着たそうです。
寿 でも一応は津田大介さんに出てもらうことになって、私達を取り巻く迷宮についてお話してもらおうと。もはや社会派な部分はそこだけです(笑)。でも今回のテーマはなかなか凄いと思いますよ。深夜12時を越えるあの場所にばっちりハマる、これ以上のテーマはちょっと考えつかない。まあカレンダーは予想してなかったけど…。これが上手くいったら、もう毎年テーマはシンデレラでいいんじゃないかな(笑)。
ハヤマ ツイッターでは既に来年のオーディションについての問い合わせがありました。
村山 しかもオーディションのタイトルの前にいつの間にか「第1回」って着いてましたよ(笑)。来年もやるんですか?
寿 まあ来年やらなくても今年が1回目というのは間違いではないから。
これは普通のオーディションではない
──なんとなく見切り発車的な感じがしないでもないシンデレラオーディションですが、審査委員長のしりあがりさん他、審査員に会田誠さん、天野天街さん、鈴木砂羽さん、吉田恵輔さんとかなり本格的なものでしたね。
村山 審査員はこれまでのさるフェスに関わってくれた方々からお願いしました。本当に応募が来るのか不安でもあったので、豪華な審査員を揃えれば応募してくれるんじゃないかという邪な気持ちも少しはあったんですが、結果的にはすごくいいバランスでした。
──オーディションはかなり盛り上がったみたいですね。
ハヤマ 天野さんの審査が面白くて、「オタ芸を元気なく踊りながらこの文章を読んで下さい」とかムチャぶりが。
村山 あれで何が分かるのか謎でしたが、見ているぶんには狂気の沙汰でものすごく面白かったです。
寿 オーディションなんてやったことないからね。でもそれっぽい感じは出てたよ。審査員のネームプレートを作ったのがよかったんじゃない?
村山 前日に慌てて作ったやつね。形にはなってたけど、審査員の方々は「何を審査すればいいんですか?」ってかなり戸惑ってました。しかも「僕たちも分からないんです」としか答えられない(笑)。
──何をやるのかわからないけど、とりあえずさるフェスで何かやるんだろうと。審査員の吉田さんは「これは普通のオーディションではないと思った」と言ってましたが。
ハヤマ 応募者に「私がシンデレラになったら」という作文を書いてもらったりとか、意味不明ですよ。
──審査員の方々の総評でも「天使性がある」(鈴木砂羽さん)とか「顔がしりあがりさんと似てる」(天野天街さん)とか、凡そ普通のオーディションの審査ではありえない評が面白かったです。
(審査の様子や総評はさるフェスのHPで読めます)
(審査の様子や総評はさるフェスのHPで読めます)