Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー佃煮のりお 漫画家(Rooftop2015年1月号)

新世代の漫画家がどのように自らの夢を実現させてきたのか!?

2015.01.05

 "男の娘"漫画『ひめゴト』で注目される "佃煮のりお"。一迅社『わぁい!』からのデビュー、自らニコニコ生放送の配信とアピールを続ける彼女が、満を持してライブでの『のりおいける!』開催決定!! イベントを前に新世代の漫画家"佃煮のりお"を徹底解剖!![interview:柏木 聡(Asagaya/Loft A)]

「男の娘」の魅力

──まずは、漫画家を目指すキッカケをお伺いしてもいいですか。
佃煮:小学生の頃からの夢だったんです。家族に「不安定で心配だから」と言われ、一時期公務員を目指していました(笑)。でも、絵を描くのは好きでpixiv投稿をしていたところ、声を掛けて頂いて一迅社の『わぁい!』という雑誌よりデビューすることになりました。3年目でまだ著作も少ないですが、毎日楽しいです。
──楽しんで描いていけることが一番ですよ。読者としても辛い中で描かれているというのは嬉しくないです。
佃煮:支えて下さっている担当さんやファンの皆様には感謝しています。
──まだ題材としては一般的ではない「男の娘」という題材を選ばれたのはなぜですか。
佃煮:実は、以前から可愛い男の子が女装をするという同人誌を作っていたくらい好きなんです(笑)。ただ、男の娘漫画は「男の子と男の娘」という関係が多いんですが、私は「女の子と男の娘」という関係のほうが好きなので、自分の作品では後者を描きたいと考えていました。
──確かにビジュアルが「女の子」ということもあるので、そういう形の作品が多いですね。
佃煮:男の娘をよく知らない方々にも読んでもらいやすいのではと考えた結果でもあります。
──作品を描かれている上で気をつけていること、こだわりはありますか。
佃煮:キャラクターの可愛さを魅せるという点です。特に表情が魅力的になるよう気をつけています。
──『ひめゴト』のキャラクターが活き活きとして魅力的なのは、そのこだわりからなんですね。他にも随所でウィッグなどコスチュームのこだわりが見られますが、それはご自身の経験からなんですか。
佃煮:実はコスプレをしていた時期があるんです。その頃の知識がこんなところで活かされるとは思ってもみませんでした。
──最近は現実でも可愛い男の娘が増えていますが、お気に入りの方はいますか。
佃煮:大島薫さんです。男の娘が好きな方ならご存知の方も多いと思いますが、今まで見てきた中で一番完成度の高い男の娘だと思います。個人的にも仲良くさせて頂いています。本物の女の子よりも可愛くて感動しました。
──ちなみに『ひめゴト』で一番タイプのキャラクターは誰ですか。
佃煮:やはり、主人公の有川ひめです。彼は私の「男の娘」の魅力をすべて詰め込んだキャラなんです。華奢でとにかく可愛くて、褒められると乗せられやすくて、女装にハマっていくんだけど、あくまで「男の子」なので、中身までは「女の子」にならないというのが魅力だと思っています。中身も「女の子」になってしまうのなら、それはもう女の子のキャラクターを描けばいい、あくまで「男の子」であるという部分がブレないことが魅力で、重要なんだと思って描いています。アニメの際も、ひめの声は低めに「男の娘」として演じて頂いています。
──キャラクターのモデルになった方はいるんですか。
佃煮:生徒会の3人と田所くんにはモデルがいて、高校時代に所属していた演劇部の友人と先輩をモデルにさせてもらっています。
──ご自身をモデルにしたキャラクターもいますか。
佃煮:実は歩く18禁がそうです(笑)。高校時代はまさにあんな感じでやりたい放題、言いたい放題でした。勝手に動いて場を動かしてくれるキャラクターなので、彼女は凄く描きやすいです。担当さんには「頼りすぎていて良くない」と怒られたこともあります(笑)。他のキャラクターもきちんと動かせるようにならないと、とは思ってます。
 

目標達成のアニメ化

──デビュー作がアニメ化ということですが、お話が来た際のお気持ちをお伺いしてもいいですか。
佃煮:もちろんもの凄く嬉しかったです。実は「デビュー4年目までにアニメ化をする」という目標を掲げていて、その夢を叶えるためにはどうしたらいいのか、ということを考えて漫画を描いていました。
──まさに有言実行ですね。思っていても実現できることじゃないですよ。
佃煮:デビュー2年目でお話を頂いて、3年目でアニメが放送されたので、1年も早く夢が叶ってしまいました。企画を出して下さった関係者の皆様には頭が上がりません。
──アフレコなど現場に行かれたそうですが、どのような雰囲気でしたか。
佃煮:なぜか私が緊張してしまいました。メインキャストの皆さんも新人の方たちだったので、彼女たちも緊張されていたと思います。でもマイクの前に立つとバッチリ演じて下さって、さすがプロだなと感じました。他のキャストの皆さんも若手の方が多かったですが、やはり皆さんお上手で、もっと聞いていたいと思うお芝居で感動しました。
──あとがきで「声優になりたかった」と書かれていますよね。ゲスト・キャラクターとして9話でデビューされましたが、その時の感想をお伺いしてもいいですが。
佃煮:そうなんです。声優デビューさせて頂きました(笑)。あとがきでも書いていますが、声優になりたいと思っていた時期もあるんです。ただ、声優でやっていこうという自信が持てなくて、もうひとつの夢だった漫画家を目指したんです。もちろん、漫画家も競争率の高い狭き門ですが、当時の私はなぜか「自分なら漫画家ができる」という根拠のない自信がありました(笑)。
──実際にデビューされ、さらにアニメ化もされてますから、その自信に間違いはなかったんですよ。
佃煮:無事願いが叶ったので結果オーライですが、博打ですよね(笑)。アニメ制作記者会見の際に、柳瀬(雄之)監督に「モブでいいのでやりたいんです」とお願いしたところ、快諾して頂き本当に感謝しています。わざわざ「放送部部長」として可愛いキャラクターまで作って頂いて、もったいないくらいです。凄く練習して臨みましたが、今でもちゃんと演じられていたか不安です。
──見させて頂きましたけど、全然違和感もなくて凄くお上手でした。スタッフ・ロールでお名前を見てビックリしたくらいです。
佃煮:ありがとうございます。そう言って頂けるとホッとします。
──ちなみに、ご自身が演じられた放送部部長は男の娘と女の子、どちらがいいですか。
佃煮:放送部部長は私の写真を元にデザインをして頂いたんですが、どうなんでしょうね(笑)。あ、私はペンネームが男みたいですが女ですよ。監督のみぞ知るということで、私からはノーコメントでお願いします(笑)。
──ご自身の作品がアニメ化され放送を終えた今、感じることはありますか。
佃煮:『ひめゴト』はもともと発行部数も少ない漫画で、細々と連載してきたのですが、ありがたいことにアニメ化効果で発行部数ももの凄く伸びました。今は多くの方に手に取って頂けて本当に嬉しく思っています。アニメから入ったファンが9割と言っても過言ではないくらいなので、アニメ化に尽力して頂けた皆さんには大変感謝しています。多くの方に自分の漫画を楽しんでもらえる喜びというのは、何にも代えられないくらい嬉しいです。毎月締切に追われている時は苦しいですが、読者のみなさんが楽しんで頂けているということに元気を頂いています。
──そんな中イベントをということですが、開催しようと思った理由は何ですか。
佃煮:もともと人前で話すことが好きなんです。個人的にもニコニコ生放送をしているんですが、ファンの皆さんと直接お話ができる機会を作りたいなと思い企画させて頂ました。今回は『ひめゴト』中心にお話をしようと思っています。アニメも終了してコンテンツ的に落ち着いてしまうので、コンテンツを終わらせないためにもこういったイベントは効果的なのではと思っています。
──当店を会場として選んで頂いたんですが、ロフトの印象はどうですか。
佃煮:お客さんとしてお邪魔したことがあるんですが、初めて入った時は凄くドキドキしました。トークショーを聞きながら食事できるというのは凄く良くて気に入っています。
──ありがとうございます、そう言って頂けると大変嬉しいです。今回はお客様ではなく登壇者ということになりますが、イベントでやってみたいことはありますか。
佃煮:柳瀬監督や、有川ひめ役の桑原由気ちゃん、運子役の小野早稀ちゃんを迎えて、ファンの方に満足して頂ける話をしたいと思います。お三方とは個人的にも仲良くさせて頂いているので、ステージ上でお話できるのは凄く楽しみです。サイン会も予定しているので、ファンの皆さんと少しでも多く交流できたらいいなと思っています。
──ツイッターでは歌の要望が多数寄せられていますが、これは実現しますか。
佃煮:実現しません(笑)。小さい頃から唄うのが好きでカラオケにもよく行きますし、ニコ生でもリクエストがあったので何回かカラオケを放送したことがあって、好評を頂いているようでありがたいですけど(笑)。
──当店にはカラオケもあるので、唄いたくなったらいつでも言って下さい(笑)。
佃煮:イベントでも唄い始めたら、漫画家なのか何なのか分からなくなってきそうなので唄いません……多分。
──最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
佃煮:いつも応援して頂いてありがとうございます。皆様の応援あっての佃煮のりおなので、これからも支えて頂けると嬉しいです。期待を裏切らないよう今後も精進していきますのでよろしくお願いします。
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LIVE INFOライブ情報

「佃煮のりおトークライブ『のりおいける!』」
2015年1月17日(土)Asagaya / Loft A
【出演】佃煮のりお(漫画家)
【ゲスト】柳瀬雄之(アニメ監督)、桑原由気(声優)、小野早稀(声優)
OPEN 18:00/START 19:00
前売 2,000円/当日 2,500円(共に飲食代別)
*前売はe+にて絶賛発売中!
問い合わせ:Loft A 03-5929-3445
 
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