Asagaya/Loft Aで3回にわたり開催された「幻影ヲ駆ケル太陽」トークイベント。このイベントの主催者でもあり原案・原作を手がけた"赤城晴康"。2013年9月に放送を終え、今なお熱狂的なファンを持つ今作。生みの親でもある氏に話を伺うことで、より深い作品の魅力に迫る。(interview:柏木 聡/Asagaya/Loft A)
タッグを組んでの制作
── 幻影制作のきっかけはなんだったんですか?
赤城:まず始りとして、会社でIP(知的財産権)を持つ作品を作りたかったんです。
── 所属されている株式会社アニマは3DCG会社ですよね。昨年ですと「SHORT PEACE」「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」もう少し古い作品ですと「フリーダム」もあり、日本の3D作品も広がりを見せていますが、今回セルアニメーション作品にした理由は?
赤城:1つは社内スタッフを使わない新しいビジネススキームを作りたかったんです。3DCGの作品ですと、社内スタッフを使っての受注の仕事が減ってしまいます。もっと言うと、通常の仕事以外での「繋がり」を作りたかったこともあります。
── 外に広げたかったんですね。
赤城:勿論、CG会社である以上3Dでやるというのは当然でしかるべきなんですけど、アニメの予算でシリーズの3D作品を作れるのかというと難しいところが弊社ではまだあります。幻影のCGパートもAIC(※1)の方でやっていただいてます。今回は携わったのは、原案・原作だけです。
── 赤城さんがプロデューサーの1人として携わっているということですか?
赤城:会社のプロジェクトで立ち上がっているんですが、実質動いているのは僕と田中秀典(※2)の2人だけです。武器デザインなどは社内でもやっていますが、基本的にスタッフを使わないスタイルというのを作りたかったんです。
── 幻影でAICとタッグを組んだ理由は?
赤城:代表の三浦(享)さんと親しかったこともありますが、アツイ作品もたくさん作られていたので、「またアツイ作品を作りたい」と考えている人がいるんじゃないかと思い相談させていただきました。
── スタッフ側も待ち望んだでいた作品だったんですね。
赤城:スタッフの方のお話を伺っていると、選んでよかったなと思います。
── 作品クオリティも高いですよね、変身シーンなど普通バンク(※3)にする事が多いですが、今作品はバンクシーンがありませんよね。
赤城:望んで戦いに行くというわけではないので1回でいいかなと、そうでなくてもお話の密度が濃いですし。
── お話として区切りがついてますが、まだまだ謎の部分は多いですが。
赤城:原案の「幻影のメサイア」をもとにTVシリーズで新しく作られた設定もあります。それを含めてシリーズの一部ではあるので、最終的な謎はシリーズ全体で語られるんです。
── “太陽”は“メサイア”の一部という形になるんですか?
赤城:1クールですとキャラを絞るしかなかったので、9人の世界観になりました。本来は22人で1つのお話になります。
── キャラクター表現も上手くできていますが、その秘訣は?
赤城:キャラ原案のあかつきごもくさんが「アニメに登場する9人のみでデザインを進めると、それ以外のデザインをする際に入り込む隙がなくなってしまう」とのことで、最初から22人を一度作ろうということになりました。また、アニメ制作をする際に大人数が関わるので、「Wiki」を作ることにしました。設定を作ることが好きな田中の本領発揮という感じでした(笑)。