DIY精神溢れる精力的なライブ活動をこれまで続けて来たまちぶせ。1月29日にその総括とも言える自主企画が行なわれるが、そこに込めた真意を野々山領(Vo&Gt)、南條暢也(Dr&Cho)、井上昭紘(Ba&Cho)に訊いた。(interview:中村純+構成:平野風/下北沢SHELTER)
まちぶせ
── Rooftop読者の中には初めてみなさんを知る人も多いと思うので、改めて、バンドを組むに至った経緯を聞かせてもらえますか?
野々山:もともと僕とドラムの南條は元々別のバンドをやっていて、18歳くらいのときに対バンして仲良くなって、その2年後くらいの同じタイミングでお互いのバンドが解散するときに、どうしてもまだバンドをやりたかったので同じ青春パンクのシーンで話の合った南條に声をかけて結成しました。その後当時のベースが辞めて、南條のバイト先の後輩でよく俺らのライブを観に来てくれていた井上が加入しました。
井上:ライブを観に行ってた時は主にノルマ要員でしたが…(笑)。
野々山:ノルマが10枚とかあったんで、そのうちの1枚は井上でいいかなと思って、井上に毎回ライブ来いよ! とか言うと「行きやす!! 行きやす!!」と言って1年くらいライブ通ってたよね。
井上:めっちゃ、通ってました。
野々山:半分スタッフみたいな感じでしたが、チケット代は払ってました(笑)。それで、元のベースが脱退する時に、「じゃあお前やれよ」って言うと「やりやす!」と。
── もともとベースをやっていたんですか?
井上:いえ、もともとはギターをやっていて、違うバンドで活動してたんです。ベースは持っていたくらいで、これをきっかけにやってみようと興味本位で(笑)。
── それがいつくらいですか?
野々山:2012年の夏くらいですね。
── え? そこから数ヶ月後に10月の新宿LOFTのソールドアウト公演に出たんですか?(2012年10月1日“〜佐藤哲郎 presents〜 サケとカメラとロケンロー”W/andymori / ティエラトムレイ(ex andymori) / The Rouges)
野々山:そうなんですよ、誘われた日に元のベースが辞めるって話になり、ヤベーじゃんってなって。3人くらい入りたいって奴がいたんですけど、扱いやすさとか(笑)キャラクター的なところも考えて、あとバンド活動に舎弟が欲しかったので(笑)。
南條:それに群を抜いて、なで肩だったから見た目としても面白いかなと思って(笑)。
井上:ずるずるベースが落ちる事…。
野々山:経験不足からLOFTに出るのが不安すぎて。その前に新宿JAMにお願いして場数を踏みまくって、1ヶ月で12本くらいライブをしたんですよ。
南條:とりあえず場数を踏ませて下さいって。
── あの時の対バンにはandymoriもいましたが、翌日のTwitterではまちぶせの反響も凄かったですね。
野々山:次の日にフォローワーが100人とか増えて、ライブ当日だけでCDも100枚近く売れたんですよ。
── チャンスをものにしましたね。
野々山:あのライブ以降、ライブハウスからノルマをかけられることがまず無くなりましたね。けれど異ジャンルとやる時や、大学生中心のライブのトップバッターで出される時があって、やっぱりライブを見てくれないような状況が続いたんです。ステージで強めの口調で言うようになったのもこの影響があるんだと思います。対バンしかライブを見てる人がいなくて、とりあえず、お客さんに「聴けよ!!」って言ったら多少は観てくれるようになったんです。
── 野々山さんはステージ上と結構雰囲気が違いますもんね。
野々山:そうですか? でも平常心じゃライブは出来ないですね。というか、普通のテンションのままあんなに注目されて普通のまま「何か演れ」って言われても出来ないですよ。何か1つ「やってやろう!」って言う気持ちがないと。
フットワークの軽さ
── 『ヒツジかぞえる狼 EP』というタイトルもなかなかユニークな名前でしたね。
野々山:狼感は出して行きたいですね、それにヒツジでばかりはいられないので。タイトルを考えていた時に昼夜逆転の生活をしていて、アルバムをレコーディングをしているときにヒツジを数えていたんですが、「ああ、俺はヒツジを数える狼だな…」って思ったのが始まりですね。
── ロゴはどなたが作られてるんですか?
野々山:ロゴはデザイナーの真舘 嘉浩(WATERS/ORGASMO)さんが自分たちの持つイメージを伝えたら作ってくれて、1stのミニアルバムのジャケットも作ってくれたんですよ。
南條:一発でイメージ通りのロゴが出来て気に入りました。
── アー写は写真家の佐藤哲郎さんが撮っていてアートワーク周りもしっかりしていますね。
野々山:凄く助かっています。哲郎さんは普段静かな人ですが、ツアーにも一緒に行ったりしています。フットワークの軽い人で、「ツアー一緒に行きますか?」というと「その日は仕事が休みだから、行くわ」という具合で決まったりしますね(笑)。「じゃあ迎えに行きまーす」ってくらいの。
── 不思議な方ですよね。
野々山:そうですね、すごいのは自分の嗅覚とか感覚、センスだけでいろいろなところに飛び込んでいくことや、知らないところに飛び込んでいく勇気とかですね。僕にはそういったところが無くて哲郎さんにはこのようなロックな部分を見せつけられてます。
── まちぶせも結構フットワークが軽いイメージありましたけど(笑)。
野々山:まあ、何も無いところでライブをしたり、この前は何も無い渋谷のビルの地下でライブやりましたしね。
南條:ドラムの下にガムテープを貼って場を作ったり、シンバルスタンドが足りないからマイクスタンドで代用したりね。
野々山:スタジオライブだとお金がかかっちゃうから、無料で借りられるところでやってみたんです。自分らは3人ですし、機材も持ってるのでどこでも出来るって意識があります。
── やはり話を聞いているとDIYな感じの精神でやられてるんですね。
野々山:自分で決めて自分自身でやらないと責任が取れないし、誰かが決めたことでうまくいかないとその人のせいにしてその人を嫌いになっちゃったりするので、自分でやるってことは自分に全部はねかえってきて誰かのせいにはできないってことを強く想ってやっています。
まちぶせ企画「Be Yourself To Rebel vol.1」
── 1月29日下北沢SHELTER公演のまちぶせ企画“Be Yourself To Rebel vol.1”の対バンについて聞かせてください。
野々山:オワリカラの高橋さんは昔の友達の先輩で、前のバンドのライブに来てくれて凄く褒めてくれた事があるんですよ。そこから時間が経ってオワリカラのライブも観に行ったりしてて、ちょうどSHELTERでライブがあった日にオワリカラが下北沢でライブをやっていて、自分たちもCDを出した事だし挨拶にいけるのではないかと思って行ったんですよ。そしたら覚えてくれていて、シェルターでの企画のときに一緒にやりたいと考えたんです。
── 昔からの繋がりだったんですね。
野々山:自分たちにとって、オワリカラはライブを観に行く側で、対バン出来ると思っていなかったので実現して嬉しいです。
── ダブルオー・テレサはどうですか?
野々山:ダブルオー・テレサは僕が存在を知った時には活動休止していて、CDで聞いていたり、植木さんのソロで観に行っていたくらいだったんです。復活したときのライブに凄く行きたかったんですけど行けなくて、これはもう自分たちで呼ぶしかないんじゃないか?となって。この前ライブを初めて観に行ったんですけど、その時にイントロ聴いて鳥肌がたちました。
── 大ファンですね! でも、好きなバンドを呼ぶってのも醍醐味ですもんね。
野々山:バンドの友達に「まちぶせってダブルオーに似てるよね」って言われたりすることもあり凄く嬉しいんですよ。自分たちではどこが似てるか分かりませんが(笑)、雰囲気でそういうところがあるんでしょうかね。
── 違いはライブで見せるって事で! でも、今のまちぶせを聴いているお客さんでダブルオーの曲を聴いた事の無い人って結構いると思うんですよ。
野々山:それも是非観てもらいたいんですよね!
南條:格好良いバンドなんだってことを観てもらいたいんですよ。
野々山:自分たちのお客さんは高校生も多いので、絶対観た方がいいよ! って思ってるんです。
── 自分も高校生の時に青春パンクを聴いたりしていて、まちぶせにその匂いを感じるから、そういう感覚で今の高校生も聴いているんじゃないかと思うところもあるんですよね。
南條:自分たちも完全に影響されてますからそうだったら嬉しいですね!!
野々山:好きなものは好きだからね! 今でも聴いているものですし。
── そういうシーンを観て来た「まちぶせ」ですからね。