トップ > インタビュー > MAMORU & The DAViES(Rooftop2013年12月号)

MAMORU & The DAViES(Rooftop2013年12月号)

ワタナベマモルは「Melody」という歌の中で、生きていく上で必要なのはアイディアと勇気と少しの金だと唄う。あともうひとつ重要な術がある。言わずもがな、それはロックンロール。ユーモアとロマンに満ち溢れたワタナベマモルのロックンロールならなお良い。忙しすぎて欲張りすぎる今の世の中を渡り歩くには、不条理や欺瞞を討ち抜くマモルの純正ロックンロールが必要なんだ。
生誕50周年を記念して発表される最新作『MUDDY WATER』は研ぎ澄まされたビート&メロディの金太郎飴状態、ロックンロールもキャデラックも反戦も放射能汚染水も小さな革命も午後の気怠さもジリジリ暑い夏もみな等比に日々の情景として描かれている。その行間からにじみ出た強い憤りとエンターテイメント性のブレンド加減が絶妙の会心作だ。決して尽きることのない創作意欲の源を探るべく、天命を知る五十路に突入するマモルに話を聞いた。(interview:椎名宗之)

怒りを表現するにはパンク・ロックが一番都合がいい

──今度のアルバムはマモルさんの生誕50周年を記念した作品ということで。

ワタナベマモル(以下、M):まぁ、こうして毎年1枚アルバムを出し続けていれば勝手に50歳にもなるっていうね。ただ一応の節目ではあるし、新しいアルバムを出す時にそういう吹き出しを付けてもいいかなと思って。でも、50歳になるっていう実感は全然ないですよ。頭の中は未だにロックンロールが好きな高校生のままですから(笑)。

──誕生日当日に音源を発売するのは、30年のキャリアで初ですよね?

M:それは偶然だったんですよ。12月の第1週目くらいに出したいと思ってて、CDが発売される水曜日がたまたま4日で、僕の誕生日だったんですね。それは都合がいいから利用してしまえと思って(笑)。

──『ヒコーキもしくは青春時代』(2008年8月発表)以降、年に1枚良質なオリジナル・アルバムをコンスタントに発表し続けていますが、今回の『MUDDY WATER』は近作の中でも抜きん出たクオリティだと思うんですよ。楽曲の出来やアンサンブルの妙、巧みな構成に至るまでが頭ひとつ突き出していて、まさに50歳の節目を飾るに相応しい作品なんじゃないかなと。

M:そう言ってもらえると頑張った甲斐があったと思うけど、今の段階ではまだ冷静に判断できませんね。ただいつもより1曲多く作ったぞ、っていうだけで(笑)。ホントはあと2、3曲増やしたかったんだけど、さすがにそれはちょっとムリでした。

──でも、そうやって創作意欲が今なお衰えることがないのは単純に凄いですよね。

M:今回は曲も歌詞も出来るのが早かったんですよ。ツアー中に半分以上は作っちゃいましたからね。移動中の空いた時間に歌詞をバーッと書き上げたり、曲は車の中で鼻歌をiPhoneに吹き込んだりして。

──本作で特筆すべきは歌詞の素晴らしさだと思うんです。社会に対する強い憤りもユーモアというオブラートに包んであって、ちゃんとエンターテイメントとして成立している。メッセージ性の強い歌詞も決して押し付けがましくなく、平易な言葉でしっかりと伝わる。シリアスにならざるを得ない事柄と言葉遊びのバランスが絶妙なんですよね。

M:自分が今感じていることをそのまま歌詞にしただけなんですけどね。「こういう感じのことを人に伝えよう」とか考えると、たいてい良くはならないんですよ。それよりも感覚的に勢いで書いたほうが面白い。なるべくシンプルな言葉を使ってね。そのほうがノッてくるし、感情移入しやすいんです。あと、1番と3番の歌詞は同じにしたほうが伝えたいことはより伝わりやすい。ここ1、2年でやっとそのことに気がつきましたね。今までは頑張って3番の歌詞をちょっと変えたりしてたんだけど、結局言いたいことは1番と同じだし、ライブになると歌詞が飛んで1番と同じことを唄ってる有様だったんですよ(笑)。

──タイトル・トラックの「MUDDY WATER」は、文字面だけ見ればブルースマンのマディ・ウォーターズのことかなと思いきや、歌詞を読み込めば高濃度の放射能汚染水とのダブル・ミーニングなのが分かりますね。

M:まぁ、どう捉えてもらってもいいですよ。汚染水のことかもしれないし、ずーっと吹き溜まってる水かもしれないし、ボットン便所のおしっこかもしれないし(笑)。

──近年はやはり、沸々と湧く内なる怒りが創作の原動力になっているのでしょうか。

M:怒りっていうのはもともと僕の中で常にある感情なんだけど、今はその怒り方がハンパじゃなくなってしまったんです。現実的には今の自民党政権に対して一番怒っているんだけど、それだけじゃないんですよ。遅々として進まない震災の復興や原発の汚染水処理の問題もあるし、そんな日常の中で暮らす自分自身に対する憤りもあるんです。とにかく今は混沌とした世の中じゃないですか。たとえば原発をなくそうっていう人たちの中にも内部被爆とか除染が一番の問題だと言う人もいるし、出口の見えない所で足踏みしているって言うかね。もちろん僕にだって本質的な出口なんてないんだけど、ロックンロールをやることで自分のネガティブな気持ちを解決したいんです。それは歌の中だけかもしれないけど、スコーン!と突き抜けることができるんですよね。それに加えて、一昨年くらいから自分の中でまたパンク・ロック・ブームが来ていて。

──もう相当な回数のブームですよね(笑)。

M:怒りを表現するにはサウンド的にパンク・ロックが一番都合がいいんです。自分の持っている引き出しの中で、感情にパンク・ロックをのっけると一番気持ちがいい。それがパンク・ロックの持つエネルギーなんだと思うし、何か頭にきてるとパンク・ロックをやりたくなるんですよ。

 

生きていく以上は確実に楽しまなくちゃいけない

──そのせいなんですかね、今回のアルバムが全体的にカラッとしていて抜けが良く聴こえるのは。

M:そうかもしれない。特に最初の何曲かは自分の中でパンク・ロックのイメージですからね。今までは引き出しをチョロッと開けてたのが、今回はガバッと開けちゃったもんだから(笑)。クラッシュやジャム、スティッフ・リトル・フィンガーズみたいな感じで、「もうこれで行っちゃおう!」っていうのがあったんで。

──確かに、冒頭の「Miracle Man」〜「B級列車」〜「キャデラック6号」と畳み掛けるような流れが抜群に気持ちいいですよね。遂に“6号”まで来た「キャデラック」はいつもならアルバムの中で遊びの部分を担っていたと思うんですが、今回は爽快感があって純粋にいい曲で、いい意味で裏切られた感じがありました。

M:ちょっとマジメな曲になっちゃいましたね(笑)。スタッフにも言われたんですよ、「今までで一番いい『キャデラック』ですね」って。もうね、鼻歌で出てきた時に「キャデラック」だったんですよ。そうなったらもうそういうことなんです。

──その「キャデラック6号」にすら「楽しいことはひとつもないよ/楽しむことは山ほどあるぞ」という示唆に富んだ一行があって、ここでもやはり歌詞の良さを実感するんですよね。

M:それもごく自然なことなんですけどね。怒ってただウジウジしていてもしょうがないし、出口が見つからないまま途方に暮れていてもしょうがない。そもそも出口なんてないんだから。

──出口はなくても探し出そうとするのがロックンロールであると?

M:探し出すと言うか、ただ「やるぞ!」ってことです。言いたいことは言うし、やりたいことはやる。それが僕にとってのロックンロールなんですよ。

──まさに「B級列車」の歌詞の通りですね。

M:だって、原発でも憲法の問題でも僕ひとりの力だけじゃどうにもできないんだから。昔に比べて反戦や反原発といったことを格好つけじゃなくてちゃんと言えるようになったんですよ。歌詞にしろツイッターにしろ、そういうことを言うのは割と勇気が要ることで、これで友達がいなくなったらどうしよう? とか考えたりもするんです(笑)。それでも言うべき時は言わなきゃいけないし、中途半端にモノを言ってもしょうがない。ロックンロールである以上は「戦争反対!」ってバシッと言わなくちゃ。ただ、それに賛同してくれるシンパを集めて何かをやるっていうのも違うんですよ。各々が考えてくれればいいことだし、人は人、僕は僕なんです。

──そこで群れて徒党を組むわけじゃないと。

M:それじゃ結局、政治とおんなじですからね。「世の中を変えるにはどうすればいいのか?」っていうのを毎日大真面目に考えているんですけど、一人ひとりが時流に惑わされずに、しっかりと社会的な問題を見据えた上で一票を投じるしかないんです。デモや抗議をするとかね。誰かが革命を起こすことを望んでいる人たちもいるんだろうけど、それじゃ何も変わらない。今の世の中、焦ったり混沌としているのも分かりますよ。でも、それで焦ってもしょうがない。僕も腹は立っているけど、別に混沌とはしていないですからね。それでどうにかなるっていう保証もないけど、生きていく以上は確実に楽しまなくちゃいけないし。

──今マモルさんが話したことは「Pretty Soul Revolution」の歌詞に凝縮していますよね。「変えたい所は世の中じゃないぞ/自分のあたまを変えればいーんだ/自分のココロを信じりゃいーんだ」という。

M:うん。自分のほうから変えていったほうが話が早いんじゃないかっていうね。ライブでビートルズの「Revolution」の替え歌をやっていたんですよ。だいたいこの「Pretty Soul Revolution」の歌詞みたいな感じでね。で、その歌詞がけっこう良かったから、それを使って曲を作っちゃえと思って。ビートルズの“革命”は大きいけど、僕のはちっちゃいから“Pretty”にしたんです(笑)。

──「夕日がオレを呼んでるゼ」みたいなグッとくるミディアム・テンポのバラッドにも「人類このまま ブンブンブン/性懲りもないぜ ブンブンブン」という一行があって、憤りがにじみ出ているのを感じましたが。

M:どうなんでしょうね。そんなに深く考えてないけど。あの曲はまぁ、“ブンブンブン”と言いたかっただけですよ(笑)。

 

MUDDY WATER
MAGIC TONE RECORDS / ROLLER☆KING MAGI-0010

MAGIC TONE RECORDS / ROLLER☆KING MAGI-0010
定価:2,625円(税込)
初回プレス限定:A式紙ジャケット仕様
2013年12月4日(水)発売

amazonで購入

01. Miracle Man
02. B級列車
03. キャデラック6号
04. Pretty Soul Revolution
05. 夕日がオレを呼んでるゼ
06. へいわのHEY!!
07. Muddy Water
08. Bandやろうぜ
09. ねむてぇ〜
10. 夢遊病には遠い夜だゼ
11. Long Vacation
12. Melody

Live info.

ワタナベマモル生誕50周年 &『MUDDY WATER』先行発売ツアー
*無記名は「ワタナベマモル」ソロでの出演。

<2013年>
12月7日(土)兵庫県:神戸 バックビート【MAMORU & The DAViES】
12月8日(日)京都府:与謝野町加悦道の駅内「カレン」【MAMORU & The DAViES】
12月14日(土)東京都:北千住 カブ【ワタナベマモル&ハラタカシ=2人DAViES】
12月15日(日)岐阜県:クラブルーツ【MAMORU & The DAViES/この日に限りベースは東晃】
12月21日(土)群馬県:前橋 COOLFOOL【MAMORU & The DAViES】
12月22日(日)神奈川県:小田原 ジーズキャフェ【ワタナベマモル&ハラタカシ=2人DAViES】
12月23日(月・祝)茨城県:水戸 90EAST
12月28日(土)茨城県:土浦荒川沖 バージミヘン
12月29日(日)東京都:新宿 レッドクロス【MAMORU & The DAViES】
12月30日(月)千葉 ルック

ワタナベマモル生誕50周年 &『MUDDY WATER』発売ツアー
*無記名は「ワタナベマモル」ソロでの出演。

<2014年>
1月11日(土)愛知県:名古屋 御器所なんや
1月12日(日)岡山県:倉敷 Studio birth
1月13日(月・祝)熊本県:八代市 バロンズクラブ
1月14日(火)熊本県:凛や
1月16日(木)大分県:別府 博堂村
1月17日(金)大分県:アトホール
1月18日(土)大分県:日田 ダイニング&スポーツカフェ・ジョイナス
1月19日(日)福岡県:久留米 サンライズカフェ
1月23日(木)東京都:下北沢 シェルター【MAMORU & The DAViES】
1月25日(土)三重県:伊勢 バンブーバー【MAMORU & The DAViES】
1月26日(日)京都府:夜想【MAMORU & The DAViES】
2月2日(日)静岡県:サナッシュ【MAMORU & The DAViES】
2月15日(土)神奈川県:横須賀 リトル アムステルダム
2月16日(日)千葉県:本八幡 サードステージ【MAMORU & The DAViES】
2月22日(土)愛知県:今池 ハックフィン【MAMORU & The DAViES】
2月23日(日)大阪府:十三 ファンダンゴ【MAMORU & The DAViES】
3月2日(日)東京都:新宿 レッドクロス【MAMORU & The DAViES/ワンマン】
3月15日(土)静岡県:富士宮 ルーツ&フルーツ
3月16日(日)静岡県:御殿場 リンコロ
3月21日(金・祝)岡山県:デスペラード【MAMORU & The DAViES】
3月22日(土)広島県:Live Cafe Jive【MAMORU & The DAViES】
3月23日(日)鳥取県:大宇宙酒場
3月24日(月)鳥取県:倉吉 らきゅう
3月26日(水)島根県:大田市(会場未定)
3月27日(木)香川県:高松 ラフハウス
3月28日(金)高知県:ULTRA ROCK BAR J's
3月30日(日)愛媛県:松山 スタジオオウル
4月3日(木)福島県:郡山 ♯9
4月5日(土)宮城県:仙台 サテンドール2000
4月6日(日)福島県いわき バロウズ
4月19日(土)新潟県:ウッディー【MAMORU & The DAViES】
4月20日(日)石川県:金沢 めろめろぽっち【MAMORU & The DAViES】
4月26日(土)山口県:湯田温泉 オルガンズメロディー【MAMORU & The DAViES】
4月27日(日)福岡県:博多 ライブハウスSora【MAMORU & The DAViES】
4月29日(火・祝)宮崎県(会場未定)【MAMORU & The DAViES】
5月17日(土)鳥取県:米子 ワンメイク【MAMORU & The DAViES】
5月18日(日)島根県:出雲 アポロ【MAMORU & The DAViES】
5月23日(金)北海道:北見 オニオンホール【MAMORU & The DAViES】
5月24日(土)北海道:札幌 ススキノ810【MAMORU & The DAViES】
5月25日(日)北海道:函館(会場未定)【MAMORU & The DAViES】