レイザーラモンRG、2作目のDVD『Live in japan』を発売!! 今作はライブ版となっており、VJを務めるのは、前作の小林克也に続きマイケル富岡という、くすぐり所も満載の1枚。もはや、あるあるだけではない、彼の魅力が少しだけ垣間見れるインタビューとなった。まだまだ語りきれない、RGは覚醒寸前だ。(interview:鈴木 恵/Naked Loft店長)
ロフトプラスワンは恐れ多い場所でした
── RGさんとロフトのお付き合いは、十年位になるかと思いますが、ロフトに対してどんなイメージをお持ちでしたか?
『ガロ』にマンガを持ち込んだり、『紙のプロレス』に投稿してた身としては、あの吉田豪や根本敬が出てる! という場所でしたから、ロフトプラスワンは聖地というか…恐れ多い場所でした。なので、他の芸人さんとはロフトに対する思いがちょっと異なると思います。
── RGさんが出演し始めたのは、2005年『世界キワモノ演芸』(※2004年より開催していた“局部の露出は40%まで”という規定ルールからも分かる、地下臭がたまらない名物イベント)のあたりですよね。
初めて出ることにってなったのは、当時のマネージャーに「とりあえず、今HGさんが忙しいので色々と腕を磨いて下さい」と、そのイベントにぶち込まれたんです(笑)。吉村(平成ノブシコブシ)がド下ネタをやって優勝した回でした。
── 懐かしいですね(笑)。キワモノ演芸では、あるあるネタは披露してましたっけ?
あるあるはまだですね。その時はモノマネしたりして、1回準優勝くらいになったのかな。
── あ、椿鬼奴さんが優勝した時に。
ですね。あるあるは、2008年か9年くらいかな? 『リンカーン』という番組で、あるある芸人のオーディションがありますから来ませんか? って言われて。『キワモノ演芸』でやっていた、同じことを繰り返すというフォーマットが、“あるある言いたい”っていうのに継がれて、市川海老蔵さんだったら歌舞伎のあるあるで、“歌舞伎あるある早く言いたい”っていうのにつながったんです。だからロフトで培ったものが形になったと言っても過言ではないんですよ。でもすぐにあるあるのネタが広まったわけじゃなくて、徐々にイベントからですよね。ロフトプラスワンでは『RGvsハブ ジャッジ熊谷』や、『東京クレイジーサミット』ではザコシ(ハリウッドザコシショウ)さんとハブと僕で、オールナイトでネタをやるというのを始めたり。ハブともロフトプラスワンで出会ったんです。あとネイキッドロフトでの『増谷キートン・椿鬼奴の二人のビッグショー』に、僕とハブが永久レギュラーになって、ナベアツ(元世界のナベアツ、現桂三度)さんの『サックス練習会』の時に藤井(隆)さんと仲良くなって。
── 藤井さんとはそこが出会いですか?
はい。ほぼそうですね。そこから洋楽を歌うカラオケをプライベートでしてたんですが、それがイベントになり、今に至りますす。
── ロフトでの開催ではないんですが、2007年下北沢駅前劇場での『キワモノ演芸』で、演者と演者の間のブリッジを全てRGさんがこなしたのは、何かが開花した印象でした。
あの時ねぇ、結構追い込まれてたんですよ。20組くらいのネタの間、全部僕が何かしらやるっていうやつね。あれで色々生まれましたね。その場にあるもので何となくモノマネするっていうのも確立されたり(笑)。あれは僕の中でも、あまり語られない転機でしたね。
中学時代はCDジャーナルばかり読んでいた
はいはいはい。そこは否定しないですけども(笑)。
── どうやって現在のRGさんが形成されたのかがお聞きしたいのですが。
田舎だからこうなったっていうかね。ちょっと音楽奇形児だと思います。都会にいたら好きなジャンルとかに染まれるんですが、田舎にいると染まれないんですよね。当時オーディオ機器のコンポも好きだったんで、音楽とコンポを掲載してる雑誌を選んだら、CDジャーナルしかなくて、中1から中3まで欠かさずに買ってました。CDジャーナルは全ジャンルを扱うから、ハードロックからフュージョン、ジャズとかのCDまで良いと言われているものは買ってましたね。ハードロックにちょっと詳しいのは、中学時代にハードロック友達が3人くらいいたからですね。一応部活もやってましたけど、家に帰ったら自分の部屋に閉じこもってCDジャーナルを読んで、ラジオを聴いてという感じでした。当時愛媛では『イカ天』(『いかすバンド天国』)もやってなかったんですよね。そうなるとバンドブームにも疎くなってきてしまって。
── 邦楽は聴いていたんですか?
邦楽も聴いてましたが、CDジャーナルが誉めるような邦楽ですね。四人囃子の特集をされたら、CDを買いに行ったり。あ、坂崎幸之助さんのラジオを聴いてたんですよ。坂崎さんがギター片手に、ゲストと一緒に昔の曲を弾いているのに影響されて、フォークにも詳しくなってました。70年代フォークとロック、80年代洋楽を同時に聴いてましたね。僕の中で小林克也さんとマイケル富岡さんと同じくらい、坂崎幸之助さんはアイドルです。
── 高校生の頃はどんな感じでしたか?
高校はバンドをやれる環境がそろったので、メタル友達とメタルバンドを組んだんです
── ベースはそこから?
そうですね。でも、中学校時代にオールジャンル聴いてたので、今メタルに寄っててダメだ、全ジャンル聴かなきゃっていう変な義務感みたいなのはありましたね。だからみんながメタルを聴く中、クロスビートを読んで、いわゆるオルタナティブとかグランジロックとかも聴いてました。
趣味が仕事に繋がっている
小、中学校辺りは、小林克也さんのような活動に憧れてアナウンサーになりたいと思ってました。大学では、最初バンドサークルに入ってたんですけど、あまりピンと来なくて、大槻ケンヂさんや電気グル—ヴのオールナイトニッポンを聴いて、やっぱり変わった事がしたい欲がすごく出てきたんです。バンドはベタだ、学生プロレスをしよう、と学生プロレスの門を叩きました。自分の中ではそれがパンクな精神だったんです。そこでHGと出会い、新日本プロレスの棚橋が一個下にいて、しばらくはプロレスに浸る毎日でした。『紙のプロレス』へはその当時投稿してましたが、その時は吉田豪さんが書評やインタビューをやっていて信者になってましたね。その後は、とりあえず就職を決めつつ、漫画家を目指そうと思って、月に一本は漫画を描いて送ってました。趣味としてお笑いを観て、サークル活動としてプロレスをして、将来的には漫画家になろうとしてましたが、どんなに投稿しても受からない。そんな時にお笑いの大会を記念に受けてみようかと思って、サークルの中で笑いに関して一番理解があったHGと、プロレスを主にしたネタで受けた所受かったんです。その後『今宮子供えびすマンザイ新人コンクール』で大賞を取り、お笑いで行けるなと思ったんです。でも、ちょうどその時に過去に出したヤンマガ新人大賞の“もう一歩で賞”に名前が載ったんですよ。だからその時にそっちが早かったら漫画家になってたでしょうね。まぁ紆余曲折でした。
── 本当そうですね。
ロフトの文化で育った者としては、ロフトは憧れの存在です。今お笑いのイベントも多いですけど、若手芸人に言いたいですね、お前たちが出ているところはサブカルの聖地であるぞ! と。
(取材中、『Live in Japan』のサンプルが届く)
あ、第一号はロフトさんに!
── わ! ありがとうございます! ジャケットも第一弾に続いて良い雰囲気ですね。
ジャケも昔のLP海賊盤っぽくしてくれって言ったんですよ。ロゴはいかにもですね。イメージ通りの事をやってくれて嬉しいです。
── RGさんの好きな事が仕事に実り始めてますよね。趣味を仕事に繋げていて羨ましいという声を聞いた事ありますし。
僕も今まで趣味を仕事にしてる人達が羨ましかったんです。お笑いでは賞レースで勝てなかったのに、あるあるが生まれて好きな音楽に乗せてネタをやったり、NHK-FMで90年代洋楽を紹介するDJに選ばれたりとかは、当時本当にやりたかったことですね。それに、洋楽を歌ってお客さんが来てくれるなんて、趣味を仕事に今の所は出来てますね(笑)。
── じゃあお仕事は、楽しいですね。
今まで趣味と仕事を分けていたのを、趣味でイケるんだって思わせたのはやっぱり『キワモノ演芸』での(椿)鬼奴さんの影響なんです。ネタの時間を4分与えられたら、4分間歌うだけみたいなのを当時からやってたんですよ。これをやって良いんだってなったのは、実は鬼奴さんのおかげかもしれないですね。
── お2人とも、芯がずっとブレないイメージですが。
他に出来ないからなんですよ。私はこれしか出来ませんっていうのを出すと、周りの方がこの人が活きるような使い方をしようって。芸能界って、なんでも出来る人っていうのは実は2、3人で良くて、これしか出来ませんっていうスペシャリストがいっぱいいた方が良いんだなというのがわかってきたというか。そこで、オールラウンドプレイヤーになろうとし過ぎていたのを、歌だけでもいいんだと気付かせてくれたのは椿鬼奴かもしれないですね。あいつこそ趣味を仕事にしてると思います。実は椿鬼奴との出会いはデカいかもしれないです。
── では、最後にDVDの見所を。
見所はマイケル富岡さんです! マジで! 僕の新しい部分も色々ありますが、マイケル富岡さんが曲紹介をしてくれることによって1本が80's風のしっかりとした番組になっています。
── RGさんの知らない部分は、まだまだいっぱいありそうですね。
漫画家を目指していたこととかってあんま言ってなかったし、鬼奴の話も照れ臭くて言った事なかったですしね。
ロフトのお店あるある
ネイキッドロフト「沖縄そば頼んでしまいがち」
阿佐ヶ谷ロフト「阿佐ヶ谷は何回も来てるのに迷いがち」
ロフトプラスワン「高須さんがケンカするVを観がち」「めっちゃ酔っ払った人、大体座敷にいがち」