今ライブハウス界隈でジワジワと話題になっているircleが、ミニアルバム『さよならリリー』を7月10日にリリースする。中学生の時に結成され、今年26歳になる彼らの活動歴は12年。これまで着実に地を固めるという活動でライブに磨きをかけ、常に進化をしながら活動を続けてきた彼ら。先輩方と同じステージに立つことで得るものもあり、その結果今の彼らのライブのような、衝動がギュッと詰まったエネルギー溢れる珠玉の7曲を収録した作品が完成した。
「今はもっともっと自分らを磨いていくだけ」と言っていた彼らは、この作品をもって7月20日から全国ツアーに向かう。ライブの数を重ねることでより多くのものを吸収し、11月に東京でファイナルを迎えるのだろう。ircleの可能性は未知数に広がっているのだ。(interview:やまだともこ)
新しいアイディアを取り入れることが出来た
── いよいよ7月10日にミニアルバム『さよならリリー』がリリースされますが、全国流通としては『μ(ミュー)』以来のひさしぶりの作品ですね。
ショウダケイト(Dr.):ミニアルバムの前2作(『Run』『You』)はライブ会場限定だったので、全国流通は2年ぶりぐらいになりますね。
── この作品は、ライブの熱量や勢いがすごく込められた作品だと感じました。4月にあったロフトでのライブは、2曲目ぐらいで既に仲道さんは汗のしぶきを上げられていたように、ステージのエネルギーを凝縮したような作品だと感じたんです。
伊井宏介(Ba./cho):初めてロフトに出た時ですね。
河内健悟(Vo./Gt):あの日ステージの酸素が薄くてすごかったんですよ。思い出したくもないぐらい声が出なかった(苦笑)。でも楽しかったです。お客さんにも助けられたし、勢いは感じてもらえたと思います。
── ライブの回数を重ねることで、作る曲の雰囲気は変わりましたか?
河内:たぶんircleは、ライブを意識して曲のテンポだったりを考えていると思います。でも特別ライブでどうしようかという曲がいっぱい入ったわけじゃなくて、素直に曲作りは曲作りでやれました。今回は大分で合宿みたいなこともやって、たくさん曲があった中から絞っていったんです。
── 合宿は何日間ぐらい?
河内:1日ですね。
伊井:2日です。
河内:………2日やりました。
仲道 良(Gt./cho):レコーディングが出来るセットをスタジオに持っていって、みんなで曲を練っていったんです。
── レコーディングは一発録りで?
ショウダ:ベース、ドラム、ギターは一発録りです。
── それが今のircleをCDにするには一番良い形ということですか?
河内:そこはまだ探っているところで、レコーディングのやり方は毎回変わっているんです。でも、今回も面白い感じで録れたという気はしています。
── レコーディングに苦戦したとか、曲作りで苦戦したとかはありますか?
河内:だいたい演奏は3テイクずつぐらいで、エンジニアさんと話し合いながらやっていたので苦戦した感じはないですね。
ショウダ:『桃源郷 ex.ニヒルガール』はレコーディングで完成した感じがあります。ブルースハープの部分やブリッジの部分のチャイナっぽい感じは、最終段階でアイディアが生まれて、一番最後に出来た曲なんです。ドラムの観点から言うと、最後の『ミニブル』はリズム自体はシンプルなんですが、大きなスケールを持つ曲なので、リズムをキープするのが難しかったです。
── 今お話に出たんですけど、この作品を聴いて『桃源郷』のメロディーがすごく印象に残ったんです。
河内:ベース始まりもかっこいいし。
伊井:ああいうタイプの曲は今までバンドでやったことがなかったんです。ループを強調させたというか、昔だったら絶対に考えない発想だったから、経験を積んだというのもあると思いますけど、年を取ったんだなという感じもしましたよ(笑)。
河内:伊井ちゃんのアレンジのマインドがガッツリ入ってる曲ですね。原曲はもうちょっと普通だったんです。
ショウダ:シンプルな曲でしたね。だいたいそこから良い意味でぶっ壊しにかかってくるのが伊井ちゃんなんです。
伊井:それまでは歌詞を聴かせたいから、全曲を通してベースで暴れたり主張し過ぎずにアレンジを考えたんですけど、その曲だけはどうしてもベースを主張したかったので、俺の中ではすごくやりきった曲です。ああいう遊び心のある曲調も必要だと思って、このアレンジに関してはやってみました。
ショウダ:今回取材でお話をしていて、良いと言われる曲がバラけるのが面白いんです。リリース前に先行でリード曲の『バタフライ』のMVを公開して、お客さんからの反応はすごく良いし、『嘘つき少年より』も対バンしたバンドが良い曲だねって言ってくれるし、僕らもいつもなら核となる曲が決まっていて「この曲を中心にアルバムを作ろう」って取り掛かる場合が多いんですけど、どれをリード曲にしようかって迷うぐらいで。どれも良い部分のベクトルが違うので、スタッフの方にも相談して、『バタフライ』がリードになったんです。
河内:歌詞もメロディーもわかりやすいから一番伝わりやすい曲だし、前作からのライブ感というか、流れも崩れてないと思います。