自信が自分たちを突き動かしている
── 言い方としては良くないかもしれませんが、震災など昨年あった出来事がきっかけで向かう先が見えたのかもしれませんね。
三島:当時はきつかったですけど、あのタイミングでいろいろと考えることが出来たからだと思います。今回『SALVAGE YOU』をリリースして、これもすごく良いんですけど、これからも楽しみにしていて欲しいです。『into the green』と『SALVAGE YOU』がいわゆる動機の2作となって、今頭の中で考えているのは、『SALVAGE YOU』は起承転結で言えば“承”の部分。壮大なテーマと計画があって、その前半部分なんです。『SALVAGE YOU』は、この時にしか出来なかったものがパッケージされてる感じという意味ではファーストミニアルバムの『document』にニュアンス的には近いんじゃないかと思ってます。それを経た無敵感を今後出していけるんじゃないかと。みんながキツイ状況だったのを乗り越えて、自信作となる『SALVAGE YOU』が出来たというのが、自分たちを突き動かしているところがありますね。次はそれを越えるためにどうしたら良いかって、前向きに考えられてます。
── それはこの4人でやってるという無敵感もありますか?
三島::それはあります。誰かが脱退するとか、家庭の事情でやめるってなったら解散しますね。他の人では無理ですから。
久野:今はバンドもちゃんと進んでいますし、バンドでやりたいと思うこともどんどん増えているし、変化もしているので、ひとつずつやっていったら面白いことになるだろうなって思います。実現したい夢が増えているのは感じています。
三島:目標としては、それぞれありますけど、僕は野音でライブをやりたいというのがひとつあるんです。それと前のインタビューでも言いましたけど、地元に貢献したいのでフェスまではいかなくても大きいことをやりたいとは思ってます。辻は、ももクロと対バンしたいとか。
── 前もチラッとおっしゃってましたね。辻さんはモノノフってことですか?
辻:はい。モノノフやらせてもらってます。先日も西武ドームに見に行ってきました。
── そうやってご自分もステージに立つ側として、他の方々のライブを見るというのは見せ方は違えど刺激は受けますか?
辻:ももクロは完全なファンとして見て、たまにふとこういうステージで、こういうセットリストでこういうセットで考えた時に面白いなって意識しますけど、基本はただのファンです(笑)。
三島:でもステージに取り組む真摯さとか、ステージにかける気持ちは刺激を受けるよね。それは音楽でもお芝居でもそうだけど。
── 皆さんもけっこうライブとか見に行くんですか?
飯田:ライブはけっこう見に行きます。辻ほどではないですけど。辻は週に4〜5回ぐらい行ってますから。
── 最近一番影響受けたライブってなんですか?
三島:最近はPen FoldというUS EMOのバンドの再結成を見に行ったのと、フジファブリックを見に行きました。そこである共通点を見出してしまったんです。両方お客さんがすごく歌っている現象があって、アングラだろうがなんだろうが関係ないんだなって。良い曲は、お客さんが歌うんだなっていうのがすごく刺激になりましたね。
── 皆さんの曲も歌えますよ。そういう意味ではメロディーメイカーとしても三島さんは他に引けを取らないと思っています。
三島:昔から意識してきたことではないんですけど、そういう曲が好きなんだろうなとは思います。ゆずが大好きで、昔ライブに行った時に一緒に歌ってましたから。
── あとcinema staffは言葉として歌えるのと、ギターのリフを歌える感じもありますよね。
三島:それは同じ事務所のmudy on the 昨晩も言ってますけど、インストだろうがメロディーを歌えるようにしなきゃってことなんじゃないかなって思います。
久野:歌える曲って何回も聴きたくなるし、ライブにも行きたくなると思うので大事だと思います。
── 久野さんは叩きながら歌う派ですか?
久野:歌うように叩く派です。ドラムだけ聴いても歌っぽく聴こえるように意識することはあります。リズムというよりは歌うみたいな感じで考えて作ってるつもりなんですけど、出来てるかどうかはわかりません(苦笑)。PONTAさん(村上"PONTA"秀一)が、フレーズを歌わなきゃだめだって言っていて、その意識でやってます。
── また、飯田さんは最近すごくのびのびと歌っているような感じがしますが。
飯田:今歌うことが楽しくてしょうがないんです。それに、1人のボーカリストとしてどのバンドにも負けないボーカリストになれば、この4人になったらもっといけるって思っていて、すごく前向きにうまくなりたいと思ってやってますね。
── ボーカリストとして意識が高くなったということですか?
飯田:勝ち負けではないですけど、ここで勝てれば、4人になったらもっと強い敵にも勝てると思ってます。
── ボーカルとしてバンドを引っぱっているという感じはあります?
飯田:引っぱってないです。でも、ライブ中に、辻の演奏に引っぱられてるとか、三島の演奏に引っぱられてるとか、それぞれあると思いますけど、自分の声で引っぱりたい時もあるし、今日はこの歌が残った、この歌が聴けて良かったなって思われるボーカリストになりたいってずっと思ってます。すごく前向きです。
── 歌が気持ち良く聴けるのもcinema staffの魅力のひとつですから。今回ツアーがありますので、喉も大事にして頂いて。
三島:今回のツアーは1日置きなんでそんなに過酷ではないですよ。前のほうがキツイのをいっぱいやって来ているので。
── あと楽器も直さないと。
飯田:リキッドルームのワンマン後にすぐに修理に出しました。
三島:今は辻くんのほうが大変です。
辻:機材がおかしなことになっちゃいました。
飯田::でも、そうやってスタジオ中に調子が悪くなってくれたほうが良いんですよ。僕のアンプは兆候がなかったのに、ライブ中に突然寿命が来ちゃったので。ただ、機材を直すのにもお金かかりますからね…。
── ところで、今回のワンマンもリキッドルームでしたが、前回かなりギュウギュウでしたし、ソールドアウトしてましたよね?
久野:当日でソールドぐらい入ったんですけど、前売りではしてない。
三島:ギリギリソールドアウトしないで有名なcinema staffなので(笑)。
久野:前にクアトロでワンマンをやった時も、蓋を開ければたくさんの人が来てくれていたんですけど、前売りではギリギリソールドしてないんです。なので、早めにチケットを買って下さい。
── 「ソールドアウト」って字を見たいですね。
三島:見たいです。ひさしく東京でソールドアウトって見てない気がするな。
久野:当日券があるかを問い合わせるのやめて下さい(笑)。
── でも、この作品で反響があると思いますから。
三島:『into the green』よりもっとディープな所もあって、瞬間的には負のエネルギーかもしれないですけど、それが次のステップに行けるエネルギーになれば良いと思っていますので、これを聴いて明日頑張って仕事に行って欲しいです。聴いてライブに足を運んで頂けるともっとこのアルバムが深く完結すると思いますので、よろしくお願いします。
── 今回のツアーには辻さんの名前が冠に入ってますので、辻さんからも最後にひと言頂けますか?
辻:ツアーは10月からなんですけど、ちょうどオリンピックが終わって、甲子園が終わって、次に何を注目するかという時にcinema staffのライブってなってると思うので…。
飯田:世間的にはそうなってる(笑)。
辻:みんな来て下さい。