Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー雨宮処凛 presents『バンギャル ア ゴーゴー』Vol.2 開催記念座談会 TAKA(defspiral)×猟牙(BORN)×MAKI(ALSDEAD)×雨宮処凛

稀代のヴォーカリスト三者が語るステージに立つことの重み、ライヴに懸ける思い

2011.10.01

さる7月14日(木)に新宿LOFTで開催され、大盛況のうちに幕を閉じた『雨宮処凛 presents バンギャル ア ゴーゴー Vol.2 〜supported by master+mind〜』。「もうリハーサルの時から感動でずっと泣きそうで、本番が始まる頃には既に嬉しすぎて意識がなくなりかけている状態で、そうしてライヴが始まると、もうどうしても自分を抑えきれずに客席に突入! 完全に一ファンとしてライヴを堪能させて頂きました!!」と主催の雨宮処凛(作家・社会運動家)が自身のブログでその日の心境を興奮気味に綴っていたが、defspiral、BORN、ALSDEADの3組が魅せた至上のパフォーマンスは、雨宮だけではなく当日フロアに集ったすべての"バンギャ"のハートを大いに打ち奮わせたことだろう。
当代きっての名ヴォーカリストが集う千載一遇の機会ということもあり、当日は開演直前にTAKA(defspiral)、猟牙(BORN)、MAKI(ALSDEAD)の三者と雨宮を交えた座談会を敢行。本番までの短い時間ながら、ステージに立つことの重みやライヴに懸ける思いを存分に語ってもらった。(文・構成:椎名宗之/写真:o-mi)

バンギャとしての“セカンド・ヴァージン”を奪ったバンド

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──雨宮さんは全バンドのリハをガッツリとご覧になったそうで。

雨宮:もうすでに意識をほぼ失いかけてますね。これで本番が始まったら、生きて帰れるかどうかの瀬戸際に立つと思います(笑)。

──今日出演する3組は、雨宮さんの“第2次ヴィジュアル・ブーム”到来のきっかけを与えたバンドだそうですが。

雨宮:そうなんです。今から20年ほど前、高校生の時にバンギャだったんですけど、20歳くらいになってライヴへ行かなくなったんですよ。それから作家になって、『バンギャル ア ゴーゴー』というバンギャ時代の体験を元に小説を書いたんですが、『バンギャル ア ゴーゴー』が文庫になった時の広告を『Cure』という雑誌に載せてもらったんですね。その『Cure』のイべントが一昨年の9月に目黒の鹿鳴館であって、編集部の方に誘って頂いたんです。私にとっては十数年振りのヴィジュアル系のライヴで、そこに出演していたのがALSDEADさんとBORNさんだったんですよ。そのライヴを見てあまりの格好良さにブッ倒れそうになって、一気にハマってしまって。その日から私の人生がかなりおかしなことになってしまったんですよ(笑)。

MAKI:そのライヴのことはよく覚えてますよ。ベルベットとBORNとALSDEADの3マンでしたよね。

猟牙:凄く楽しかった記憶がありますね。

雨宮:20年前の歴史を知る者としては、ヴィジュアル系が着実に進化を遂げていたことに衝撃を受けたんですよ。生で見て卒倒しそうになりましたから。

猟牙:昔のヴィジュアル系は音楽性もルックスも今と違うじゃないですか? 俺もX JAPANとかLUNA SEAとか昔のヴィジュアル系が好きでよく聴いていたんですけど、その時代のヴィジュアル系を好きだった雨宮さんに格好いいと言ってもらえるのが凄く嬉しいですね。

雨宮:そう言って頂けると私も嬉しいです。defspiralさんももちろん存じ上げていて、去年ロフトで初めてライヴを見させて頂いたんですが、生の迫力に圧倒されたんですよ。圧倒されてるうちにライヴが終わった、みたいな。それで何とか私のイべントに出演して頂けないかと願い続けて、今日その夢が叶ってしまったという大変な状況なんですよ。

TAKA:光栄です。

雨宮:ここで夢が叶ってしまって、ライヴが終わった瞬間に生きる糧が喪失してしまうんじゃないかと心配で(笑)。

──お三方は雨宮さんの著作を読んだことがありますか。

雨宮:ないと思いますけど(笑)。

MAKI:イべントに声を掛けて頂いた時に『バンギャル ア ゴーゴー』を頂いたので、もちろん読ませてもらいましたよ。海外遠征の飛行機の中で『バンギャル ア ゴーゴー』をメンバー全員で回し読みさせて頂きました(笑)。

雨宮:ありがとうございます!

MAKI:本を読むまではバンギャルの視点を全く知らなかったので、とても面白かったです。好きなバンドを追いかけ続けるバンギャルの純粋な気持ちは今も昔も根本的に変わらないんだなと思いましたね。バンギャルの内面を赤裸々に綴ってあるし、その一面を知れたことは演者として凄く新鮮でした。

猟牙:イベントに出させて頂くにあたって、俺はYouTubeで雨宮さんの名前を検索したんですよ。

雨宮:エーッ! ホントですか!?

猟牙:そこでいくつか動画を見たら、政治的な方向で活動をされていて…(笑)。

雨宮:ああ…全部削除しておけば良かったです!(笑) もの凄く恥ずかしいです!

猟牙:今回の原発問題に関しても凄く熱く語っていて、このような方が主催するイベントに俺たちみたいなバンドが出てしまっていいのだろうか? ってちょっと思いました(笑)。ヴィジュアル系に政治系の要素を絡めたイベントになるのかな? って(笑)。

雨宮:そんなことはないです! 「脱原発ライヴ」とかタイトルに付いてないので大丈夫です(笑)。今日は本業とは全く別の、いちバンギャとしてのイベントですから。

TAKA:俺も雨宮さんのことをウィキペディアで調べたりしましたよ。あと、このイベントの1回目に出たMix Speaker's,Inc.のseekに電話して、どのような方なのかを訊いたりして(笑)。

雨宮:ああ、そうなんですか。seekさんは何と?

TAKA:「最近仲良くさせてもらってるんですけど…」って、ハッキリしたことは言ってませんでした。…と言っても、別に何も隠してないので大丈夫ですよ(笑)。

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