一番欲しいのはオーディエンスの拍手喝采
──近況を聞かせて頂きたいんですけれども、期間限定のツイッターを見ると、今は新曲作りに勤しんでいらっしゃるようですね。
卓偉:6月25日にアコギ・ツアーを終えて、その次の日からずっとプリプロとレコーディングを続けています。ぼちぼち完パケまで行きたいところなんですけどね。リリースの時期とかはっきりしたことは今度のツアーでみんなに直接伝えられたらいいなと思っています。
──ライヴと音源制作は並行してやるのが通例なんですか。
卓偉:ケース・バイ・ケースですね。同時進行の時もあれば、完全にセパレートの時もあります。すべてはその時々のスケジュール次第なんですよ。
──最近は24時間弾き語りライヴやアップフロント・ビルのルーフトップ・コンサート、先だってのアコギ・ツアーの千秋楽と、USTREAMを使った中継を盛んにやっていますよね。
卓偉:24時間ライヴは大変だったけど、また是非やりたいんですよ。あの時は1日で200曲近く唄ったのかな? もしかしたらギネスに申請するレヴェルなのかもしれないけど、記録に残ることなんかよりもやったもん勝ちの面白さのほうが僕には大事なんです。僕はチャップリンが好きで、彼にまつわるいろんな文献を読むと、アカデミー賞とか権威のあるものに全く興味がなかったそうなんです。中でも他人が勝手に決めた賞のたぐいは一番興味がなかったみたいで、そんなものよりも一番欲しいのは観客の拍手喝采であると。割れんばかりの拍手喝采を欲しいがために、演技や映画のプロデュースに命を懸けることが重要なんだと話しているんですね。僕はミュージシャンもそうあるべきだと思うんですよ。たとえば今度のLOFTの男子限定GIGも、来てくれる男性客は男限定でライヴをやる僕の美学を少なからず理解してくれていると思うんですよね。キャパシティが多かろうが少なかろうが関係ないし、そうやって男子限定でライヴをやることをちゃんと評価してくれることが僕は一番嬉しいんですよ。だからこそ、見てくれた男性客に「男子限定GIGの卓偉は普段と違って楽しかった」と思ってもらえるように頑張らなきゃいけないんです。
──同性だからこそ分かち合える心の機微や感じ入る部分というのが必ずありますからね。
卓偉:そうなんですよ。それに、長く活動を続けているアーティストには不思議と男のファンがつくものなんですよね。僕自身、格好いい男に憧れて音楽を志したわけだし。最初は女の子たちから愛されて、時間が経つと男の子が土台を支えているというのが一番美しい形だと思うんです。男のほうがバンドの本質を深く掘り下げて惚れ込んだりするものだし、たとえライヴの本数がそんなになくても信じてついていくじゃないですか。今さらファンをやめる意味もないって言うか。僕も12年間活動を続けてきてそういう男のファンがいるし、彼らには凄く感謝してるし、このタイミングで男子限定GIGをやれるのが良かったような気がしてるんです。
──最後に、残念ながら男子限定GIGに来られない女性ファンと、LOFTで一体感を堪能する男性ファンにメッセージをお願いします。
卓偉:女性ファンにはこのライヴがささやかなステイタスなんだということを判って欲しいですね。男だけでライヴがやれるという事実、男に支えてもらえるという事実をステイタスとして認めて欲しいなと。男性ファンに対しては、この同じ時代に生きる中で中島卓偉の音楽を愛してくれるなら是非一緒に大声で唄って欲しい。僕と一緒になって唄いたいと思ってくれる気持ちに対してもの凄く感謝してるし、12年間やってきたどのライヴよりも特別なものにするつもりなのでしっかりとついてきて欲しい。僕は昔からジャンルにこだわることなく音楽をやってきたんですけど、LOFTのステージに立つ以上はメッセージ性を含めてロックやパンクの本質に敢えてこだわったライヴをやりたいですね。期待していて下さい。