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INTERVIEW

トップインタビュー櫻木徹郎 (マガジン・マガジン編集長)

「昭和の性生活報告」アーカイブ
櫻木徹郎(マガジン・マガジン編集長)
創刊インタビュー

2011.03.01

 近年の出版不況の中で官能小説が最近元気が良いという。2月からスタートしたサン出版のSUNロマン文庫:昭和の「性生活報告」アーカイブも売れているという。30年の歴史を誇り、今なお発行されている官能雑誌「性生活報告」。「さぶ」「JUNE」「マガジン・ウォー」などの編集長を歴任した名物編集者:櫻木徹郎さんに話を聞きに行きました。(阿佐ヶ谷ロフトA店長:奥野徹男)

面白がってやりたいよ〜

そもそもロフトに来るお客さんは「性生活報告」を知らないと思うけど(笑)。元々「性生活報告」は新田啓造さんという方が創ってたんです。素人の方から送られてくる告白手記をまとめた専門誌で、投稿者も年配の人が多くて、みんな自分のセックスライフを振り返った思い入れたっぷりの手記なんだよね。シロートの人が書いたものには表現とかにも遠慮がないし、ディティールが細かくて、プロの官能作家が頭で考えるエロいシチュエーションより面白いよねー。まあ今でも元気な人はどんどんやるんだろうけど、そういう娯楽が少ない頃のセックスには元気があって、内容も出征前の近親相姦とか下宿の奥さんにやらしてもらうとか、リアリティがすごいんだよね。それをアーカイブというか、まとめて残そうと思って文庫として復刻しようと月に2冊のペースで。最近は活字離れで40代でも本を読まなくなってるじゃない、だからそういう人たちにも読んでもらいたいと思ってます。
── 櫻木さんは出版業界でも知る人ぞ知る編集者ですが、表に出ないで職人気質というか、生涯現役というイメージがあるのですが?
生涯現役なんて恥ずかしくない(笑)? 自分がその時々で面白いからやってるだけですよ。それが「さぶ」だったり「JUNE」や「シュガー」だったり「マガジン・ウォー」っていうだけじゃないかなあー

やはりハダカが最強!じゃない?

── 福田和也さんや、リリーフランキーさんや、杉作J太郎さんなど、当時のエロ本のコラムから現在活躍中のサブカルスターたちが生まれてきた印象があるんですけど、何で新人をどんどん起用して書かせてみたんですか?
エロ本はハダカがちゃんとあれば後は自由というところがありました。福田さんが言ってたんだけど、「エロ本にコラムを書くということは、まわりが裸だから、ヌードに負けないパワーが必要だ。」と、いくら自由でと言っても相当とんがった文章を書かないと、ヌルいのは読みとばされるからね、福田さんは「裸の雑誌で(コラムを)書いてみろ」と言ってたこともあって、これは「どいつもこいつも生ぬるいエッセイやコラムを書きやがって」って意味だったんじゃないかなー。大きい週刊誌なんかテレビのことや自分の身の回りのことをウダウダ書くだけの屁みたいなコラムがいっぱいあるじゃない(笑)そういう意味では杉作くんもリリーさんもさかもと未明さんにしても、揉まれてったんじゃないかな(笑)。だってエロ本では女の子は裸になってんだもの、そんな屁みたいなコラム出したら失礼だよ。

まあ〜、万事めぐりあわせです

── 3月4日にイベントを行う末井昭さんや南伸坊さんとの交流についても伺いたいのですが、この三人はどういう繋がりなんですか?
末井さんは当時キャバレーの看板書きやってて、僕が「東京三世社」のときにイラストを売り込みにきたのが出会いです。南さんは元々、秋山道男さんと同級生で、劇団「天象儀館」で秋山さんは役者で、僕もその劇団で雑用やってて、そこに南さんが遊びに来たんだよね。当時南さんは「ガロ」の編集者でした。
── 近年の櫻木さんの担当書籍「あらゆる病気はなおらない」「漫画力」と今回の「性生活報告」文庫も読ませてもらいましたが、全然ジャンルが違いますよね(笑)、櫻木さんはやっぱりその時々の面白いものをやってるんですね?
興味はその時々でどんどん変わっていろいろあります。行き当たりばったりっていったら怒られそうだけど、微妙な言い方になりますけど、やはりいろんなめぐりあわせじゃないかなあー。
── また雑誌の新創刊をしようとか、また編集長をやろうとか気持ちはあります?
もちろんやりたいですよ! めぐりあわせがあればね(笑)。
 

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LIVE INFOライブ情報

3月4日(金)阿佐ヶ谷LOFT A
昭和の「性生活報告」アーカイブ(サン出版)&「ロング・グッドバイ−浅川マキの世界(白夜書房)刊行記念トークライブ
「さる業界の人々2011」

櫻木徹郎(マガジン・マガジン編集担当、取締役) / 末井昭(白夜書房取締役編集局長) / 南伸坊(イラストレーター)
【進行サポート】雨宮まみ(ライター)
OPEN 18:30 / START 19:30
前売り¥2,000/当日¥2,300(共に飲食代別)
前売りチケットはローソンチケット【L:36736】、阿佐ヶ谷LOFT Aオフィシャルサイトにて予約受付中

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