新しい音楽を知るのは純粋に楽しい
──キノコホテルは4月のリリースに向けてレコーディング作業も佳境の段階ですね。
小湊:とりあえずリズムの録りは終わって、今のところ順調だと思います。今日はちょうど上物を録っているところで、これまでやったことのない試みにも取り組んでいるんですよ。多分、これまでのキノコホテルのイメージをいい意味で裏切るようなサウンドになると思います。
──楽しみですね。去年のキノコホテルは知名度もライヴの動員も格段に増した飛躍の一年でしたよね。
小湊:とても慌ただしかったですけど、お客さんの注目が高まってきたのを実感した一年でしたね。自分としても、いろんな面で自覚が出てきたと思います。去年は全国の主要都市しか回れなかったので、今年はもっといろんな所で実演会をやりたいですね。まだキノコホテルを見たことも聴いたこともない人たちがたくさんいると思うし、そういう人たちの前でどんどん演奏していきたいです。
ガラ:キノコホテルって、凄くコンセプチュアルなバンドですよね。
小湊:はい。そうですね。
──3組の共通項は何なのかをさっきからずっと考えているんですが、敢えて言うならコンセプチュアルなところですかね。3組ともステージの上で正しく格好を付けることに徹しているバンドと言うか。
高野:でも、nilは3人とも普段着で格好付けている感じだから、ちょっと違う気がしますね。ラフなスタイルでロックしているし、コンセプチュアルなバンドとは言えないんじゃないかなと。見た目的に言えば、この3組の中では俺たちが一番地味に異種なのかもしれない(笑)。
──異種格闘技戦に際して、事前に対バンの音源はチェックしておくものですか。
高野:俺はチェックしてますよ。対バンじゃなくても、新しい音楽を知るのは純粋に楽しいから。友達のライヴに誘われて遊びに行く時も、家でそのバンドのCDを聴いてから行ったほうがわくわくするし、面白いんです。
ガラ:僕もそうですね。どんなジャンルにせよCDを聴くのが好きだし、未だにジャケ買いもするので。音源をiTunesで買うことはないですね。ジャケットまでを含めてひとつの作品だと思っていますから。
──ジャンルを問わずいろんな音楽を聴くガラさんのリスナー感覚がMERRYの幅広い音楽性に繋がっているんでしょうか。
ガラ:そうかもしれないですね。マニアックなものから大衆的なものまで分け隔てなく聴きますし。さっきも話した通り、僕は昭和歌謡やグループサウンズなんかも好きなので、キノコホテルの音楽も雰囲気が凄く好きなんですよ。新宿のゴールデン街みたいな匂いがあるじゃないですか。その一方、nilは耳で聴くというよりも身体で聴くべき音楽という印象がありますね。
高野:(しみじみと)凄くいい人だなぁ…(笑)。
ガラ:いやいや(笑)。何と言うか、頭でっかちになって聴くような感じじゃなくて、爆音を身体全体で受け止めたくなるんですよ。
高野:初対面とは思えない分析力ですね(笑)。
──このまま呑みに行きたいくらいですね(笑)。
高野:そうですね。ゴールデン街に行きますか?(笑)
──エマさんは対バンの事前チェックをしますか?
小湊:私はCDよりもYouTubeでチェックしますね。演奏だけじゃなく、衣装やステージの感じも確認しておきたいので。
ガラ:現代っ子ですね(笑)。
──エマさんはジャケ買いとかしたことがあります?
小湊:ありますよ。私はもともとソウルが好きなので、レアグルーヴ系のレコードをジャケ買いしていた時期もありました。黒人の歌手が凄い薄着のお姉さんたちをはべらせているようなジャケットとか(笑)。
──普段は支配人のそばにはべらせられているエマさんですが、はべらせ願望が根本にあるのでしょうか?(笑)
小湊:ないです。常にはべりたいほうですね。足蹴にされてもはべります。