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【ライブレポート】佐々木亮介[a flood of circle]、 『Juke Joint Tour "Hello, My Name Is LEO"』ツアーファイナル@渋谷 WWW X ライブレポート! 2017.10.16

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佐々木亮介のソロツアー最終公演『Juke Joint Tour "Hello, My Name Is LEO”』が 10 月 2 日、渋谷 WWW X にて行 われた。ソウル全盛時代を彩ったメンフィスのロイヤル・スタジオで、レジェンド級のセッションマンとともに完成させら れたソロ処女作『LEO』。この日渋谷で鳴ったのは、それとはまったく違う音だったけれど、だからこそ本作の表現し ていることが体現されたのだと思う。
 
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SE のキース・リチャーズ“Trouble”がかかると(この曲が収録された『Crosseyed Heart』もロイヤル・スタジオにて録 音)、ウエノコウジ(the HIATUS / Ba)、高野勲(Key)、弓木英梨乃(KIRINJI / Gt)、澤村一平(SANABAGUN. / Dr)、 そして片手をポケットに突っ込んだ佐々木がオンステージ。王道ブルースにその日の気分を乗せる恒例のオープニ ングを飾る。
 
野生的なリズムが会場の熱気を高める“Hustle”、みんなで歌える往年のヒットナンバー“Land of 1000 Dances”、a flood of circle の“Rex Girl”と、盛り上がりが一気に加速していく。口を尖らせながら爆裂ピッキングをブチかますウ エノ、身体もフレージングもハードに動かす弓木、クールな顔で狂おしい旋律を奏でる高野、正確無比なタイム感が フレッシュな澤村。そこに、時に指板をはみ出して弾くロイ・ブキャナンばりの熱量を放つ佐々木が加わり、今回のた めに集結したとは思えないほどのバンドのグルーヴが生まれている。“Rex Girl”は反則でしょと思ったけれど(笑)、 この日会場へ来ていた HISAYO と渡邊一丘はどんな心持ちで観ていたのだろうか。
 
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ここで MC タイム。というか飲酒タイム(笑)。佐々木は鬼ころし、ウエノは缶ビールを手に、「今日で最後だよ、一滴 残らず楽しみましょう。乾杯!」とのこと。メンバー紹介を経て、「説明すんのも野暮ったいけど、俺はこんなことが起 こりそうだなってメンツは集めたくなかったわけ。今日何が起こるのか、俺もよくわかってない。でも絶対何か起こす から」と宣言し、演奏に戻る。披露されたのはロイヤル・スタジオの歴史的代表作、アル・グリーンの“Let’s Stay To- gether”と、アン・ピーブルスの“I Can't Stand the Rain”だ。おそらく自作の日本語詞を挟んでいたところにグッときた。
 
続いて“Night Swimmers”へ。現在のアメリカ R&B 系ポピュラーソングを意識したコード感、日本歌謡風味のメロディ、 ソウルの落ち着いたリズムとハーモニー。それらをライブならではの感極まった節回しで歌ってみせる。ちなみに 『LEO』誕生の理由はここにある。ロイヤル・スタジオへ録音しに来る音楽家など数え切れない。その中で、飛び込み の日本人がソウルやブルースの真似事をしても、そこで生きるレジェンドたちに響くわけはない。だから佐々木は自 分なりの、今までの自分さえ更新するような歌を歌った。その結果、国境もジャンルも超えて誰も聴いたことがない新 しい音楽を生み出すことができたのだ。
 
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さて、セットの前半を駆け抜けたところで、佐々木とウエノのふたり体制、いわく「いちゃいちゃタイム」が始まった。「ブ ルースもゴスペルもソウルも全部やってて、ジャンルなんてマジ関係ねえって人の曲やります」と、サム・クックの “Bring It On Home To Me”へ。《おまえが大好きだよ》と一部日本語で歌うスウィートな声と、指もピックも使うあたた かいアコースティックサウンドがフロアをやさしく抱きしめる。一転、パンキッシュとさえ言える激しさでプレイされたの は、シカゴ・ブルースの顔、マディ・ウォーターズの“Mojo Working”だ。しかもなんとイマイアキノブ(Gt)の乱入という サプライズまで。間の持たせ方はさすがの一言。ロックファン垂涎の豪華競演であった。
 
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今度はウエノが舞台から下がり、弓木と高野が再登場。バイオリンを手にした弓木は、「うふふ、(本職でないバイオ リンは)無理ですって言ったんですけどね♡」と恥じらっていたけれど、この編成による“コインランドリー・ブルース”に は、胸をかきむしるようなドラマチックさがあった。お次は佐々木、高野、澤村が奏でる“Same Drugs”(チャンス・ザ・ ラッパー)。B.B.キングがブルースの枠を広げ、マイルス・デイヴィスがジャズの壁を壊したとするならば、その精神を 今のポピュラーミュージック界で爆発させているのがチャンスである。だからこその選曲であり、それをあくまで自分 のボーカルスタイルで叫ぶ佐々木。いわゆるブラック・ミュージック、アメリカン・ミュージックの根本的な大流を、ここ まで自身の表現に昇華している佐々木亮介という男は、シーンの中で極めて貴重な存在だと思う。
 
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もう一度フルメンバーに戻ると、“Roadside Flowers”を、近年逝去した新宿ロフトの小林茂明、つばきの一色徳保、 BOOM BOOM SATELLITES の川島道行に捧げた。ここからはラストまでノンストップ。佐々木のしゃがれ声さえ可愛 く聴こえるダミ声で歴史に名を刻むハウリン・ウルフの“How Many More Years”から、ジョニー・エースの“How Can You Be So Mean”へなだれ込む。“Sweet Home Battle Field”では弓木の速弾きとダイナミックな勢いがフロアに火を 付け、“Uptown Funk”では会場全体が揺れていた。マーク・ロンソンがブルーノ・マーズを迎え、グラミー賞を獲得し たこの曲もロイヤル・スタジオの録音だ。冒頭にラップが追加された“Strange Dancer”は、《まだまだやるぜ まだま だやれるぜ/想像力 創造力/何か起きるかもな/何か起こせるかもな》の部分(書き起こしにつき表記は筆者に よるものです)と、仰向けになり、ものすごい形相でギターをかき鳴らす姿に、なんだかこの世界は自分の意志で変 えていけるのかもしれない、といった不思議な活力を与えられた。
 
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濃厚な時間もいよいよフィナーレの時を迎える。「またやるね、また会おうね。ほんとにどうもありがとう!」。そう語る と、“Blanket Song”のハッピーな空気とともに本編の幕を下ろした。アンコールは佐々木ひとり。届けられたのは“無 題[No Title]”。魂と喉と弦をただただ震わせ、最後はマイクすら使わず、《君を愛してるよ》という気持ちを直接伝える。 彼がステージを去る瞬間、一際輝きを放つものがふたつあったように思う。それはこの日何度も掲げられていたピー スサインと、アコースティックギターに施されたサウンドホールのデザイン、つまりハートマークだ。ラブ&ピースなん て似合う男だったっけ? でも31歳になった佐々木亮介は、これからもっと新しい景色を見せてくれるはずである。(text:秋摩竜太郎 photo:新保勇樹)
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