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【ライブレポート】TK from 凛として時雨、"Signal to Noise"ツアーファイナル、鮮やかな光と映像で彩る満員のNHKホールを圧倒!

2016.11.28

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TK from 凛として時雨が11月27日、東京・NHKホールにて全国ツアー『TK from 凛として時雨 Tour 2016 “Signal to Noise” 』のファイナル公演を開催した。
 
午後6時過ぎ、ステージ手前に下りたスクリーンにシグナルの光が映り、開演を告げる。ギター・ヴォーカルのTKを筆頭に、ベース、ヴァイオリン、キーボード、ドラムからなるバンド・メンバーのシルエットが浮かび上がり、3階席まで満員の客席から歓声が上がった。1曲目はニュー・アルバム『white noise』収録の「Wonder Palette」。寂しげなメロディにピアノとヴァイオリンの澄んだ音色が重なる。スクリーンにはキラキラした水面のような光が映り、幻想的な雰囲気が漂う。
 
スクリーンが上がり、「Secret Sensation」では演奏するメンバーの後ろに、巨大な三角錐の画像が映し出された。三角錐はゆっくりと回りながら炎らしきものに包まれたり、銀河のような場所を漂ったりして、不思議な変化を見せる。この映像が、異次元的な世界を描く楽曲と見事な融合をみせていた。TKの歌う“誰にも見えないダンスフロア”、“地図から消えたこの場所”といった謎めいた歌詞と共に、ゆらゆらと浮遊する三角錐を見ていると、なにか秘密のメッセージが隠されているんじゃないかと思えてくる。鼓動のようなビートがミステリアスに響き、まるでSFの世界に迷い込んだような感覚に包まれた。
 
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観客を圧倒する光と映像の演出は、その後も次々と続いた。「flower」では色鮮やかな光で大きな花が描かれ、エキゾチックなサウンドを優雅に彩る。「Abnormal trick」ではアクロバティックにせめぎあう音に合わせ、目がくらむほど強い光線が会場中を駆けめぐる。視覚の演出が楽曲の世界観とリンクし、さらにイメージを広げていく。
 
中盤で流れを大きく変えたのが、TKがキーボードを弾きながら歌う「like there is tomorrow」。無防備なほどピュアなメロディと感傷的な言葉が胸を刺す、美しいバラードだ。アウトロでは弓弾きのアップライト・ベースとヴァイオリンが重厚なハーモニーを奏で、エレキ・ギターに持ち替えたTKが渾身のギター・ソロで魅了する。どこまでも伸びやかで、空に舞い上がるようなギターの音色に、胸がぎゅっと苦しくなる。
 
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そして、泣きのギターで会場を感動で包んだ直後に、「unravel」という不穏な曲を仕掛けるのもTKらしい。先ほどの情緒溢れる世界とはうってかわって、息が詰まるようなノイズの嵐にまみれ、“僕の中に誰がいるの?”と自問する歌詞が異質な怖さを醸し出す。再びスクリーンを下ろし、生きもののように蠢く文字で歌詞を映し出す「Showcase Reflection」の演出も衝撃だった。ディストーションが効きまくった轟音サウンドにあわせ、暗号のような言葉が上下左右に高速で流れ、その文字が歪み、反転し、見ているうちに不安な気持ちがどんどん湧き上がってくる。ロマンチックなムードに包まれた前半から一変、後半はTKの奏でる音から、焦燥、恐怖、不安といった感情が溢れ出した。
 
いつもの通り、TKによるMCはほとんどない。ときおり曲間で「ありがとうございます」とつぶやく程度だ。3,500人以上の人で埋めつくされた客席には、不思議な緊張感が漂っている。多くの人がステージを凝視し、体を揺らすことすら忘れている。そして、TKが音で描く風景に思いを馳せ、それぞれの感慨にふけっているように見える。その緊迫したムードは、本編ラストの「Signal」までとぎれることなく続いた。
 
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アンコールは、キーボードの弾き語りでつぶやくように歌う「罪の宝石」からスタート。もの哀しいメロディに弦楽の響きが静かに寄り添い、しんと澄んだ空気に包まれる。そして、『white noise』のラストを飾った「invalid phrase」へ。“神様が僕をぐちゃぐちゃにして 少しずつ 少しずつ食べていくよ ”という歌詞が強烈だが、無数の音がカオスに絡み合うサウンドは、後半に向けどこか突き抜けた明るさも感じさせた。
 
その後、TKが「僕達と会場の空気に飲まれて立ちたいのに立てなかった人もいると思うんですけど、次の曲で最後なのでぜひ自由な見方で楽しんでくださいね」と語りかけ、会場の空気がふっと緩み、観客がオールスタンディングになったところで「Fantastic Magic」を披露。無数の光とレーザーが飛び交う派手な演出で、誰もがはっと目を覚ましたように体を揺らし、声を上げる。これまでTKの音と完全にシンクロしていた観客たちが、我に返ったような表情で最後の1曲を楽しんでいるのが印象的だった。
 
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TK from 凛として時雨は今後、ソロとしては初となる海外公演を上海、台湾で開催。そして12月22日には、恵比寿 The Garden Hallで開催される『L’ULTIMO BACIO Anno 16 December’s Calling』に出演し、アコースティック編成のライヴを行う。新境地を見せた『white noise』の楽曲がアコースティック・セットでどう生まれ変わるのか、こちらも見逃せないライヴとなりそうだ。(text by 廿楽玲子 photo by 河本悠貴)
 
<Set List>
1. Wonder Palette
2. Addictive Dancer
3. Secret Sensation
4. dead end complex
5. subliminal
6. flower
7. Abnormal trick
8. contrast
9. like there is tomorrow
10. unravel
11. 12th laser
12. Showcase Reflection
13. Shandy
14. white out
15. Signal
EC1. 罪の宝石
EC2. invalid phrase
EC3. Fantastic Magic

Live Info.

◆TK from 凛として時雨「First Signal in Shanghai」
12月10日(土) 上海plus+space 加空間(上海市浦東新區塘子涇路228號)
OPEN 18:30 / START 19:30
受付:大麥票務 http://piao.damai.cn/112278.html
料金:座席指定 CNY 580 / CNY 880(CNY880のチケット購入者 先着100名様VIP限定T-shirt付)
主催:樂福 / 次元矩陣
共催:自由惑星
後援:Moving On / MAVERICK DC GROUP / Sony Music Associated Records
オフィシャルSNS http://www.weibo.com/DimensionArray
お問合せ先:jinyang@dimensionarray.com
 
◆TK from 凛として時雨「First Noise in Taipei」
12月11日(日) 台北 Legacy
整列:18:00 / 開場:19:00 / 開演:19:30
受付:KKTIX / 全家便利商店FamiPort http://nofeartw.kktix.cc/events/firstnoise65965
主催:無懼 NO FEAR
共催:雉羽整合行銷 / 浮現音樂 / 自由惑星
後援:Moving On / MAVERICK DC GROUP / Sony Music Associated Records
お問合せ先:twnofear@gmail.com
 
◆L'ULTIMO BACIO Anno 16 December's Calling
12月22日(木)東京都 恵比寿 The Garden Hall
OPEN 18:15 / START 19:00
出演:
TK (凛として時雨)
原田郁子 (クラムボン)※Ametsubを迎えての2人での演奏
※共にバンドスタイルでの出演ではございません。
全席指定 ¥5,940 (税込・ドリンク代別)
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
 

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