この日は生憎の雨模様。

だがちょうど彼らの出番の頃に雨が降り止んでいた。

2016 年 4 月 13 日、彼らの初となる全国流通盤『Neutural』のリリース後、 バンド史上最大規模の全国ツアーの終着点としてこの日下北沢 SHELTER にてファイナルを迎えたのが 2013 年結成、5 人組ロックバンド【Nina lovegood(ニーナ ラヴグッド)】である。

先陣切って現れた unknown forecast の火花が散るようなライブステージが、 満員の場内へ拍車をかけるかのように熱の渦を取り巻いていく。

さあ、いよいよ【Nina lovegood】の登場だ。

 

 

軽快で爽やかな SE に導かれ、奥田一馬(Ba)、米内爽太郎(Dr)、斉藤太雅(Key)、清水宥人(Gt)、森山僚太 (Vo/Gt)が登場し、

”雨上がり”と共に幕開けた。

霞んだ雲を掻き分けるような強く、光放つ歌声が辺りを強く照らす。 弱々しい感情を真っ向から抉ってくる”言えよ”、

目に映り込む日常の一瞬を眩く描いた”End Roll”、 その姿があまりにも赤裸々で真っ直ぐすぎて、一時も目を離させない。

 

 

星空のような証明が照らす場内に”コワシテ”、”Luna”が続く。 ステージから威勢よく全身全霊で溢れんばかりのエネルギーをフロアぶつけ、 それに対してフロア一人一人が声となり、音となり、沸点は上昇し続ける。 何も飾らずとも純粋に音楽を楽しむ、それがひしひしと身体の隅々まで伝わって来た。

「ツアー初日が千葉 LOOK、ファイナルがシェルター。これは高校の時からの夢で。 俺は田舎者だったから、この流れにすごく憧れがあったんです。 このステージに俺の憧れてる人たちが立ってたんだ。 周りの人たちに無理言って、こういうツアーが組めて、今日ファイナルという形で完走できて本当によかっ た。

本当にどうもありがとう!」

 

 

夢を叶えた人間の表情というものはどんな宝石よりも輝いていて、 この日の”Parade”とにかくは美しく、強い。 続く”青春の瞬き”は先ほどの森山の言葉に寄り添うように。 そしてこれから進み出すように”Chronowalker”が駆け抜けた。

「俺が高校 2 年の時に出会った今はもう居なくなってしまった人に、

 

「森山がどんな事をやっても森山だから行きます!って言ってもらえるような人間になれ」って言われた事 があったんだ。

今本当に心からバンド辞めなくてよかったって思う。

音楽辞めなくてよかった!!」

 

 

約束を果たしたその表情は清々しく、なんとも誇らしく、堂々と空に向けた”風になって”。 衝動は更に爆発するように本編ラスト”Ditto.”は辺り一面天を突くような無数の拳が広がった。 その景色は目の前の一人一人へ、またこの場所で会えるようにと約束を交わすようであった。

なんとも愛を感じる罵りが飛び交う中、少し照れながらもメンバーが再びステージへ現れた。 ラスト”Non Finito”では笑う人、喜ぶ人、涙する人、聴き入る人、たくさんの表情に埋め尽くされていた が、

会場にいた全ての人々が【Nina lovegood】への愛を惜しみなく注いでいた。

 

 

暑苦しくて、泥臭くて、土足で感情に踏み込んでくるような言葉と、 素直で、純朴で、真っ直ぐで、真っ白な音楽。

難しいことなんて何一つない。 好きなことをこんなにも好きで伝えてくれて、何か大切なものをいつだって蘇らせてくれる。 それが【Nina lovegood】というバンドなのではなかろうか。

9 月 22 日には TSUTAYA O-Crest にてワンマンライブも決定した。 これからの彼らの更なる加速と躍進を片時も目を離してはならない。

 

《SETLIST》

1:雨上がり

2:言えよ

3:End Roll

MC

4:コワシテ

5:Luna

MC

6:Parade

7:青春の瞬き

8:Chronowalker

MC

9:風になって

10:Ditto.

EN:Non Finito

 

text:新宿LOFT　横溝英梨 / photo：中山優司