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トップコラムおじさんの眼第233回 長い旅の終わり。新しい日常に乾杯−世界一周の船旅その4

33回 長い旅の終わり。新しい日常に乾杯−世界一周の船旅その4

第233回 長い旅の終わり。新しい日常に乾杯−世界一周の船旅その4

2017.12.01

 

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キューバが誇る海

 

キューバからニカラグアへ

 それにしても船のデッキから見るハドソン湾、夜のマンハッタンのNYの夜景は絶景だった。船はカリブ海のナッソー(バハマ)からキユーバへと向かう。今回一番楽しみにしていたのはキューバ訪問だった。キューバはいろいろな人がいて底抜けに明るく、音楽があってラム酒があって海があって、さらに人がよくって……と聞いていた。資本主義的には何も発展をしていない国だが、カストロ、ゲバラと世界の革命家を排出したキューバは、人は親切だし安全だし文句はないのだが、やはり至る所で資本主義化された他の国と比較してしまって、その素朴さがわたしには辛かった。貧しくみえるのだ。首都から3時間、キューバ一の綺麗な海とホテルを訪れたが、従業員は官僚的だし海も綺麗ではなかった。どこも感動することはなかった。なんだか光と明るさが消えたハバナでしかなかった。
 
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サンディニスタ解放戦線の軍司令官
 
 やはり圧巻だったのはニカラグアでの「サンディニスタ解放戦線の歴史を探る旅・一泊二日」のツアーだった。こんな過激なツアーをピースボートが企画するなんておどろいた。ニカラグアはアメリカCIAに支援された40年間のソモサ独裁政権との戦いだった。この革命はイギリスのパンク・ロックバンド、ザ・クラッシュが新しいアルバムに『サンディニスタ!』と名づけたように、当初全世界から祝福され、ニカラグアは新しい民主国家として再スタートを踏み出すことになった。活気がある。首都での懇談会にはサンディニスタの元軍司令官や参謀長まで来てくれ、解放戦線の長い戦いの歴史を熱く語ってくれた。 
 これからニカラグアは世界の圧力をはねのけ、第二パナマ運河を建設するという。あとは船の最終寄港地ハワイを目指し、そこから日付変更線を越して横浜に向かう1ヶ月近くの船旅で104日にわたるクルーズは終わる。
 
 
 
 
 
 
 
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田中洋介チーフデイレクター
 

『船上で洋介を捕まえた』ピースボート・クルーズディレクター田中洋介インタビュー

 
ノーベル平和賞受賞おめでとうございます
平野:えーっと。チーフディレクターって船長の次に偉いんだね。まだ39歳の若さで。すごいね。
田中:いやピースボートのスタッフって本当に若いんですよ。現場のスタッフってほとんど20代なんです。その若さで船を動かしているんです。
平野:そうですか。まさに若者の船っていう感じだけど、乗客の大半はシニア。でも今回は比較的若い連中が多いですね。なんともピースボートは、20代の世代は104日間、三食ハウスキーパーつきで70万円で乗せてしまうという快挙を成し遂げました。1日のアルバイト料より安く世界一周ができる。その赤字の分俺たちシニアが払っている、と。
田中:そんなことないですよ(笑)。
平野:まあ、そんなことより、今回のノーベル平和賞をICANの六人の理事の一人、ピースボートの共同代表・川崎哲さんが受賞されました、素晴らしいですね。おめでとうございます。長年のピースボートの平和活動が認めたれたということで僕も嬉しいです。
田中:ありがとうございます。きっとこれもピースボートの20数年の活動の成果だと思っています。僕たちNGOスタッフも誇り高いです。世界や日本全国各地にあるピースボートセンターは沸き返っています。
平野:普通、日本人がノーベル賞をとったら日本のマスコミやテレビに引っ張りだこになるのに、今回の平和賞受賞は政府はノーコメントだという。選挙にかき消されてしまったこともあるけどマスコミではあまり話題にはなっていないね。
田中:いや川崎さんは急遽レイキャビックから日本に戻って、いろいろなところから引っ張り回されていますよ。
 
 
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この船旅もいよいよ終わる

近年のピースボートは

平野:今回の95回目クルーズはどうでしたか?
田中:今回は乗客が1,100人で、多分一番多かったんではないですか。そして外国人の方、20代の若者やシニアの方たち、と、年代が幅広く大変でしたけど一番やりがいがあったし、面白かったです。
平野:僕はピースボートのファンなんでもう4回もこの船に乗っているんですけど、世界一周の観光地めぐりというよりも、国際NGOとしてのこの船と、船内イベントや各地域の交流会に興味があって乗っている感じなんです。今やこの船は安価で世界一周観光をしようという乗客がほとんどですね。この船のNGOとしての活動が日本ではあまり評価されていないのは悔しいです。外国への支援とか、東北大震災の時には石巻での活動をしたり、素晴らしいですよね。今だって長崎でもダイナミックな活動をしている。
田中:確かにここ近年は船で地球一周したいという感じで乗っておられる方が大半かもしれませんね。それこそ10年ぐらい前は国際交流だったりNGOとしてのこの船が好きだったりで乗ってくる人が多かったですね。
 
 
 
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夜の街

人こそが人を支援できる

平野:僕は昨年ピースボートのトップの吉岡さんと話したんだけれども、その時に彼は、「国際支援、核兵器廃絶、平和憲法9条、脱原発」がテーマでこの船を動かしている。ただの観光船だけだったら船を動かす意味がない」と言っていましたけど。どう思います?
田中:そうですね。日本においてNGOという組織があまり評価されていない部分が多いですね。世界を回るとNGOが他の企業と同じぐらい力を持っている。ピースボートは他のNGOと比べて若い元気なスタッフが多いですからね。何があっても諦めない、特に、「人こそが人を支援できる」とスローガンを掲げています。とにかく僕らがやっていることは、実は当たり前なんです。確かに凄いことはやっているんですけどね。にもかかわらず、船にはいろんな人が乗っています。外人やお年寄りや若い子たちまで。自分の役目はその人たちを最低限、「乗ってよかった」と納得させなければいけないんです。それにはただピースボートのスローガンだけではダメなんです。ただエンターティメントだけの提供だけでは他の観光船と同じ。難しいですよね。飛鳥さんなんかも最近は私たちを真似ているのかもしれませんが、乗客の自主企画なんかをやり始めていますよ。でもうちなんかは、飛鳥さんができないような、それこそ平野さんがやってくれた「徹底討論・団塊世代VS若者世代」「ジャズ講座」なんかの企画が重要になるんですよ。そういう人がなかなかいないんですよ。僕らは平野さんがピースボートの顧問と思っていますから。
平野:おっと、褒められたところで終わろう(笑)。お忙しいところありがとうございました。
 
 長い船旅が終わった。船を降りるといつも思うのだが、「新しい日常に乾杯」って
いう感じが全身を支配する。緊張する。
 
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