トップ > コラム >おじさんの眼 > 第205回 アベ政治を許さない!

どうする? どうなる? 日本の政治

 このところ私は、あの安倍晋三の姿や声を見聞きするだけで身も心も憂鬱になってしまう事態におののいていた。
 安倍政権の政治手法の無茶苦茶さは想像を遙かに超えている。日本の憲法学者の95%以上が安保法制は違憲と言っているのに、政府は学者たちの意見を平気で無視した。これでは、憲法学者は日本には要らないと言っているようなものだ。それでも長いこと内閣支持率は50%近くあった。私は日本人の政治意識に絶望していた。
 そんなこともあって、「自分ももう歳だし、賞味期限の切れた老後は政治とか経済とか日本のこれからの成り行きに無関心で生きてみたい」と痛切に思っていた。だから新聞やニュース番組では極力政治、特に戦争法案に関して無視を決め込んでいた。ネット上でもほとんど政治的な話題には触れないようにしていた。
 そして7月15日、重要安保法制10法案が自民党と公明党の強行採決で可決され、世論調査では安倍内閣と自民党の支持率がじりじりと35%まで下がっていった。当然と言えば当然だと思った。
 
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7月24日、日比谷野音を埋め尽くした
「安倍政権NO!!」のプラカード
(デモフォトジャーナリスト、ムキンポ氏提供)

生命は、誰かの持ち駒ではない

 そんなある日、私はネットでこの文章を読んで一瞬戦慄し、身も心も震えた。
 
 戦争は、防衛を名目に始まる。
 戦争は、兵器産業に富をもたらす。
 戦争は、すぐに制御が効かなくなる。
 
 戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。
 戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
 戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。
 精神は、操作の対象物ではない。
 生命は、誰かの持ち駒ではない。
 
 海は、基地に押しつぶされてはならない。
 空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。
 
 血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、
 知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。
 
 学問は、戦争の武器ではない。
 学問は、商売の道具ではない。
 学問は、権力の下僕ではない。
 
 生きる場所と考える自由を守り、創るために、
 私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。
(自由と平和のための京大有志の会「声明書」より)
 

いざ首相官邸前に向かう……

 この声明文を読んだ日、国会では安保法案の強行採決があり、私はなんとも居ても立っても居られなくなり、もうデモには行かないと決めていたのに本当に久しぶり(1年ぶり)に、7月15日の夜、国会前集会に参加してみた。
 夕刻の国会前、最前線。いやはや、地下鉄・国会議事堂前を出た途端、もう前に進めない。みんな怒っているな。若い子がたくさんいる。それも美人が多い。毎週金曜日恒例の首都圏脱原発連合の集会は、その多くが老人やお母さんたちパワーだったが、今回は違っていた。やっと立ち上がった学生連合「SEALDs」の諸君が集会をリードしていたこともあり、若者たちのパワーで満ち溢れていたので実に気持ちが良かった。こんなことは70年安保闘争以来、初めてだ。だからおじさんたちが張り切る。
 現場はとにかくクソ暑い。狭い舗道に無理矢理数万人が押し込められているのだ。あまりにぎゅうぎゅうで失神する人も出てきた。「SEALDs」の最終発表によると、この日はなんと10万人が参加したという。午後10時過ぎ、若い学生諸君の「今夜は徹夜の闘いだ」と言うのを聞きながら、「後は若い諸君に任せたぞ」ということで私は家路を急いだ。
 それにしても、この日のNHKは夜7時のニュースでデモについて全く触れなかったのが凄い。さすが安倍晋三とお友達のNHK・籾井勝人会長、中国並みの言論統制をやってくれる。世界ジャーナリスト連盟による報道の自由度ランクで、日本は62番目という低位置にいるのがよく分かった。それに追随する日テレ、フジもほとんど触れなかった。日本国の「憲法」が勝手に変えられる事態をニュースで扱わないのには驚いた。日本のマスコミはここまで腐っているのだ。本当に日本は自由な国なんだろうか? と思った。
 
<浪花のエリカ様・上西小百合衆院議員、ロフトラジオに出演>
 ロフトラジオを始めてからもう7ヶ月、これまでの面白ゲスト出演者は50人近くになる(政治、ロック、映画、演劇とサブカルごった煮の世界だが、アーカイブ放送がYouTubeに残っているので是非ご覧いただきたい)。
 暴風雨が歌舞伎町を横断していた7月16日、突然あの笹原雄一が「上西小百合代議士をロフトラジオに出演させろ」と言ってきた。今年に入って大阪のロフトプラスワンウエストでは上西代議士のイベントをやっていて、マスコミはたくさん押し寄せたが、これがなんともつまらない内容だったので、私はあまり期待していなかった。国会の会期中、誰かとどこかへ行ったり(議場でだらしなく眠っている代議士よりはいいか)、強面の秘書を持つスキャンダラスな女性である。当年32歳。若い。そして美人だが、私はほとんどアホ議員と思っていたので、突っ込みやすいキャラクターだろうと高を括っていた。
 だが、ラジオの開始早々、「今日の国会での採決にあなたはどうしたか?」という私の質問に「採決には加わらず、退席しました」と答えたやり取りで、彼女を見る私の目は変わってしまった。高度な政治論議はしなかったが、彼女のあの明るい性格には魅力があり、それが大阪地区で二期連続の当選議員にさせたのだろう。けっこうファンになりそうだな、こりゃ〜。
 
 この暑い夏をどうやり過ごそうか、日々考え込んでいる。行楽地のけだるいざわめきの中、ただただ祭りが過ぎてくれるのを祈るのみだ。早く秋が来いと……。
 
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7月16日、午後7時半頃の国会正門前。
強行採決の翌日も「総がかり行動実行委員会」と
「SEALDs」の仕切りで数万人が集まった(ムキンポ氏提供)
 
『ロフトラジオ』7月のラインナップ(アーカイブもご覧になれます)
【第25回・7月2日】「根本敬、因果鉄道の旅」ゲスト:根本 敬(漫画家、エッセイスト)
【第26回・7月9日】「創立者が初めて語る『ベルウッドレコード』のこと」ゲスト:三浦光紀(ベルウッド・レコード、音楽事業家)
【第27回・7月16日】「価値紊乱の35年〜アンダーグランドですよ人生は〜」ゲスト:本橋信宏(著作家、評論家)、上西小百合(衆議院議員)&笹原雄一(イーミュージック代表)
【第28回・7月23日】「本にまつわる話」ゲスト:仲俣暁生(編集者、文筆家)&藤谷 治(小説家)
放送URLはこちら(毎週木曜日20:00〜22:00)
 
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維新の党からの除名処分騒動を巻き起こした「浪花のエリカ様」こと
上西小百合代議士が笹原雄一氏とロフトラジオに乱入。
右は盛り上がるゲストの本橋信宏氏(作家)。
ロフトラジオのアーカイブを是非ご覧ください
 
 

Live info.

【毎週木曜日生放送 ロフトラジオ】 ライブハウス稼業を始めて早40年。いつもライブの客入りに一喜一憂してきた創業者・平野悠が「もうこの歳になったら、毎日の売り上げとか気にしないで、気楽に好き勝手なことを喋りたい!」とある日突然思い立ち、なぜかネットラジオを開局しました。名付けて「ロフトラジオ」。だいたい毎週木曜日の20時から22時まで(その日の乗り次第で長くなったり短くなったり)、新宿百人町のロフト仮設スタジオから放送します。

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