Rooftop ルーフトップ

COLUMN

トップコラムおじさんの眼第186回「プラスワン大阪"道頓堀"進出! テーマは「語る〜繋ぐ」」

86回「プラスワン大阪"道頓堀"進出! テーマは「語る〜繋ぐ」」

第186回「プラスワン大阪"道頓堀"進出! テーマは「語る〜繋ぐ」」

2014.01.08

 ロフトプラスワンが新宿(というより四谷に近い)富久町にできたのは1995年。阪神・淡路大震災、オウム事件が起き、「終わりなき日常」という言葉が生まれ、女子高校生達が下着を売るブルセラが話題になった。今から18年も前になる。
 「トークを聞かせるライブハウス」という試みは、世界初だと言われた。新宿の片隅、キャパ70人にも満たない隠れ家的な店で、「新宿情報発信基地」なんてキャッチフレーズを名乗っていた。1998年には歌舞伎町ど真ん中、コマ劇場前に移転、キャパ150人にもなった。
 プラスワン開店以降、ラジオ、テレビ中心の「トークライブ」ブームはあったが、ロフト以外で、毎日イベントを行う常設のトークライブハウスはあまり誕生していない。そんな中、2004年には新宿百人町にNaked Loft、2008年には阿佐ヶ谷ロフトAと、ロフトはトークライブハウスを次々と出店していった。現在、ロフトグループでは毎月、3軒合計100本以上もの驚異的な数のトークイベントを行っている。
 

PB010182.jpg

市民権を得てきたトークライブハウス

 プラスワンでは様々な社会的風景をステージに載せてきた。その出演者の数も膨大だ。街の隅々に息づいている、あるいは埋もれている日本のサブカルチャーを発掘する旅に出たい。それが私がプラスワンを立ち上げた時のイメージだった。始めてみると、大手マスコミでは観ることが出来ない、面白いことはたくさんあった。町に息づいている何か、ありふれた風景、消し去られようとしている真実。ありとあらゆる世界のコミュニケーションの輪が広がる空間を目指した。
 とてつもなく不思議な人。日本の行く末を憂いている人。限りなく奥の深い、いぶし銀のこだわりを持った人。愛すべきオタク。失われ見捨てられてゆく日本の貴重な文化、エロ道に長けた妖しくも奥深き群れ。「自分はこの半世紀以上にも及ぶ人生で、何も見ていなかったんじゃないか」と思うほど、毎日が興奮の連続であった。
 店を続けてゆくにつれ、来店するお客さん達も変わってきた。プラスワンではトークの最後には必ず、「質問、疑問、討論コーナー」を設けていた(これは基本的に今も変わっていない)。当初ほとんど手が上がらなかったが、そのうち活発な意見が飛び交うようになった。壇上の出演者がタジタジになることもしばしばだった。
 お偉い先生のお説を有り難く聞く講演会ではなく、お客さん自身も参加するface to faceのトークのダイナミズムは、評判を呼んだ。本音と本音がぶつかり合う。そこに多少のお酒も入って、さらなるエキサイティングな光景を生み出す。「君の気持ちも解るよ」「ま、いいか」で終わってしまう、今どきの若者達に対しての、ロフトの限りなき挑戦でもあった。「トークするなら曖昧な形で終わるな」というのが、ロフトからのメッセージだ。基本コンセプトは「タブーなき言論空間」だ。
 

PB010188.jpg

大阪は宗右衛門町。古い昔からのクラブが沢山あって、歌舞伎町に似ているな

 

いざ大阪に出店! その名は「LOFT PLUSONE WEST」

 昨年、ピースボートの世界一周クルーズの船上、広大な七つの大海を眺めながら、私は「大阪にトークライブハウスを出して、東京と大阪をトークの世界で繋いでみたい」という強い誘惑に駆られた。
 Nakedや阿佐ヶ谷の時も同じ思いだったが、もうすぐ70歳になる私にとって、本当の意味での「最後の挑戦」だ。ふつふつとその思いが湧いて、止まらなくなった。
 大阪と東京をトークで繋ぐ。人の交流を発展させる。その時々のシーンを、ライブハウスの現場だけでなく、ネットを通じて全国に拡大再生産し、時には社会運動ともつなげる。素晴らしい!
 昨年の夏以降、私たちスタッフは現地に何度も足を運び、物件を探し続けた。そして大阪ミナミの宗右衛門町に、私たちはプラスワン規模の物件を確保するに至った。
 オープンは今年4月の予定だ。ロフトが東京で18年間育んだ、トークライブに関する知識やスタンスそのものを、ダイレクトに大阪に持っていってみよう、と思っている。
 一方で、関西文化がちゃんと解っていないから、大阪に一つの拠点をもってみたい、という実験的な思いもある。完全なよそ者のロフトは、たたき出されるかも知れない。それでも良いと思っている。
 大阪に東京を持ち込んだら無視されるのか? 月40本近いスケジュールは組めるのか? 費用は? 赤字はどのくらい続くか? 考え出したらきりがなくなった。
 

PC130294.jpg

このビルの3階に入店する

 

P1000997.jpg 設計図とにらめっこする平野さん

 

元ロフトのテツオが高円寺に小さなトーク空間を開店

 ロフトの一員として、Naked Loft、阿佐ヶ谷ロフトAの初代店長を歴任してきたテツオが独立し、2013年11月、高円寺punditというトークライブハウスを開店した。大したものだ。高円寺北中通りの奥、素人の乱、脱原発杉並界隈での出店だ。
 2007年、元プラスワンの店長・横山シンスケがお台場で、東京カルチャーカルチャーを開店させて以来の快挙である。18歳の時、九州からロフトプラスワンにあこがれてやって来た青年は、アルバイトから始まり10数年を経て独立することになった。私もうれしい限りだ。読者諸氏も是非、店に足を運び応援してやって欲しい。
 

IMG_5444.jpg

テツオも37歳、妻子持ち。後戻りは出来ぬ。ここが肝心。心から仕事に励むこと

 

このアーティストの関連記事

COLUMN LIST連載コラム一覧

  • 特派員日誌
  • PANTA(頭脳警察)乱破者控『青春無頼帖』
  • おじさんの眼
  • ロフトレーベルインフォメーション
  • イノマー<オナニーマシーン>の『自慰伝(序章)』
  • ISHIYA 異次元の常識
  • 鈴木邦男(文筆家・元一水会顧問)の右顧左眄
  • レズ風俗キャストゆうの 「寝る前に、すこし話そうよ」
  • 月刊牧村
  • 「LOFTと私」五辺宏明
  • 絵恋ちゃんの ああ えらそうに コラムが書きたい
  • おくはらしおり(阿佐ヶ谷ロフトA)のホントシオリ
  • 石丸元章「半径168センチの大問題」
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の歴史のふし穴
  • 煩悩放出 〜せきしろの考えたこと〜
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • 今野亜美のスナック亜美
  • 山脇唯「2SEE MORE」
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
  • アーバンギャルド浜崎容子のバラ色の人生
  • 戌井昭人の想い出の音楽番外地
  • さめざめの恋愛ドキュメンタリー
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の ああ夢城
  • 吉田 豪の雑談天国(ニューエストモデル風)
  • ゲッターズ飯田のピンチをチャンスに変えるヒント
  • 最終少女ひかさ 但野正和の ローリングロンリーレビュー
  • 吉村智樹まちめぐ‼
  • いざゆかんとす関西版
  • エンドケイプの室外機マニア
  • 日高 央(ヒダカトオル)のモアベタ〜よ〜
  • ザッツ団地エンターテイメン棟
  • 劔樹人&森下くるみの「センチメンタル「非」交差点」
  • 三原重夫のビギナーズ・ドラム・レッスン
  • ポーラーサークル~未知なる漫画家オムニバス羽生生純×古泉智浩×タイム涼介×枡野浩一
  • the cabs 高橋國光「アブサロム、または、ぼくの失敗における」
  • “ふぇのたす”ちひろ's cooking studio
  • JOJO広重の『人生非常階段』〜今月のあなたの運勢〜
  • マリアンヌ東雲 悦楽酒場
  • 大谷雅恵 人生いつでも初体験
  • ジュリエットやまだのイケメンショッキング
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門
  • 岡留安則 “沖縄からの『書くミサイル』”「噂の真相」極東番外地編
  • 高須基仁 メディア論『裏目を読んで半目張る』
  • 田中 優 環境はエンタメだ!
  • 雨宮処凛 一生バンギャル宣言!
  • 大久保佳代子 ガールズトーーーク!!!!!
  • DO THE HOPPY!!!!!

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻