お金がたくさんあったら、裸にネクタイとエプロンだけ付けた美少年・美少女をはべらせて生きていきたい、大島薫です。
最近ウェブのコラムに飽きてきたので、紙面のコラムをもらおうと考え、各出版社に企画を持ち込んでおります。先日、とある雑誌の出版社の方とお会いしました。
持ち込んだ企画は日常にある疑問にボクの思想を反映させるというような内容だったのですが、見事に「ベタだ」とボツを食らってしまいました。まぁ、ここまではよくある話です。
しかし、ボク自体は面白いと思ってくださったのか、他の企画をブラッシュアップしてボクの考えを絡められないかという話になり、小一時間ほど相談をすることになりました。ああでもないこうでもないと打ち合わせをしていると、その方からこんなセリフが。
「大島さんって、基本的にジェンダーや性についての話を書くことが多いですよね」
ボクは頷きます。
「まぁ、元AV女優の男性なんて肩書でいきなり『ビジネス論』や『政治論』なんて書いても、誰も読もうと思ってくれないですからねー」
当然の判断です。この世の中『何を言ったか』ではなく、『誰が言ったか』なのですから。
「でも、せっかくだから、普段とまったく違うことをネタにしましょうよ。休みの日とかなにしてるんですか?」
まず、休みがありません。
「いや、事務所が自宅なんで、基本的に家で文章だけ書いてます」
編集さんが困っている空気を察して、慌てて何か探します。そういえばこの前、1日だけ休みをとった日があったような…… ──あ!
「おっ、なにかありました?」
「超かわいい男の娘と飲みに行ってイチャイチャしました」
「休みの日に会うのも男の娘ですか」
すみません。
「大島さん好きなこととかないんですか?」
「文章を書くことですね」
「趣味は?」
「文章です」
言われて、ハッとしました。ボク、無駄なことをやっていない。
好きなことを仕事にして、好きなことをやって生きているので、他のものに目を向ける瞬間をいつの間にか失っていることに気付きました。好きなことは好きだから、何時間でも何日間でも何年間でもやっていて辛くありません。無駄のないこと。ある意味それは他に興味を奪われることなく、目標に向かって突き進める理想的な状態です。
しかし、それではゆとりがありません。ゆとりのないゆとり世代です。
たった1日失うことを恐れて、毎日仕事ばかりしてきました。だって、そのほうがスキルも上がるし、締め切りだって守れるし。でも、その無駄な1日があとから考えればとても必要な1日だったと気付くこともあります。
精一杯無駄なことをしよう。精一杯無駄に生きよう。そう思いました。
そして、それは、たぶん、無駄じゃない。
大島 薫:1989年6月7日生まれ。ブラジル出身。ノンホル(女性ホルモン未使用)、ノンオペ(性転換手術をしていない)を公言している、純粋な男の子。Twitterフォロワー約15万人を誇る。女性よりも可愛らしい容姿を武器にセクシー女優として活躍していたが、2015年6月に引退。現在はマルチタレントとして幅広く活動中。