とうとう夏っぽくなってきましたね。大島薫です。
春とか夏とか、暖かくなってくると野外露出がアツい季節です。こんなに暑い日には男性ですが、どエロいマイクロビキニを着て海で好奇の視線に晒されたい気分になります。しないですけどね(笑)。
この『しないけどしたらどうなるかな』という感覚はわりと皆さんが持っている感情です。ボクは幼い頃わりとこの感覚に悩まされていて、たとえば「街中を歩いているときにいきなり奇声を発したらどうなるかな?」とか、「真面目な会議中、突然立ち上がって課長のハゲ頭をパーンッ! と叩いたら、皆どんな顔をするだろう」とか、よくそういう妄想に耽っていました。そうして、ひとしきり妄想したあと、これまた頭の中で「……ま、しないけどね(笑)」と一人ごちるわけです。
これくらいなら、大した問題ではないのですが、それが「長い階段を下りている最中、前の人の背中を押したらどうなるだろう」といった内容のものが自分の中で湧きあがったときなどは厄介です。絶対に自分がそれをしないことをわかっていても、少しでもそういう妄想をしてしまう自分は、もしかすると通り魔事件や、連続殺人などを起こすような犯罪者予備軍なのではないかと思い悩んでしまいます。
そんなある日、ネットを見ていると、まったく同じような妄想をしてしまうという人物の書き込みを見かけました。興味を惹かれ読み進めると、その書き込み者に返信が付いていて、返信者は「それは破壊衝動というものではないか?」とレスポンスしています。ボクはこれだと思い、破壊衝動について調べ始めました。
調べてみると、破壊衝動は人間であれば誰でも持っていて、それと同時に人間は通常それを抑え込むことができるということがわかりました。ボクの胸からスーッと何かモヤモヤとしたものが抜けていきました。自分だけじゃないんだと安心することができたのです。
我々人間はしばしば人と違うものを美徳とする節がありながらも、その反面、人と同じことにどこか安心している部分もあります。
最近、若い人の女装趣味が増えていますが、これも女装が必ずしもマイノリティーな趣味ではないという認識に若者の中で変わってきたのかなとボクは思うのです。一昔前であれば、女装をしたいと思った男性はネットで調べるわけにもいかず、誰かにメイクの方法を聞こうにも「女装がしたいなんて変態だと思われないだろうか」となかなか最初の一歩を踏み出せなかったものです。それがPCやSNSの普及によって「自分の願望はおかしなことではないんだ」と多くの意見に触れる機会が増えました。
男性だけど男性にフェラチオしてみたいとか、幼い少女のエッチなイラストが見たいとか、獣姦に興味があるとか、どれも珍しい性癖ではありますが、世界に一人しかいない性癖というわけではありません。
でも、その多くは人に相談できないものですから、我々は「自分は変態なんだろうか」とか、「将来幼女監禁事件とか起こすんじゃないか」とか思い悩んでしまいます。
法律は法律ですから、まぁ、どうしても犯罪になってしまうようなことはどうにもなりませんが、仮に他人から見れば反社会的、不謹慎なものを自分の中に持っていたとしても、まずはそんな自分を認め、どう社会と折り合いを付けていくか考えていくか。そんな風に考えることができたら、この何もないつまらない世界も、いくらか美しいもののように思えてきますね。