ロッカーやミュージシャンや芸人だけでなく、誰にとっても髪型は大問題だ。若いうちはよいよ。天然資源である毛の量が多くて、しかも毎日増産されている。「ああ、ちがう髪型にしたいな。次はロングだ」と、鏡の前で思いつけば、伸びる過程もふくめてヘアスタイリストが、ファッションに作ってくれる。
と、ころがだ...。年齢40歳を超えるころになってくると、「アフロにしたい」とか「ドレッドにしたい」とか、RATMのザックの写真を手に美容院へ行ったりとかしても、資源不足を突き付けられる。
うう。つまりは毛が少なくなってくる。追いつかないばかりではない。現状維持すら怪しい。つまりは薄毛。毛の細り。白髪。後ろハゲ...。スキンヘッドにしていても安心はできない。顔面や体型の劣化によって、中年になるとイメージがちがってきて、たとえば...ビリー・コーガンをイメージしていたスキンヘッドが、飯島元首相秘書官にになったりする。(写真3点)
このようにーー髪型問題は、ロッカーやミュージシャンだけでなく、誰にとっても大問題なのだった。
そういう自分が最近、行きつけの美容院へもって行ってるのが、竹村健一の画像だ。竹村健一というのは70年代~80年代に活躍した、当時40代の人気評論家で口ぐせが「ま、だいたいやね~!」 全盛期には毎日のようにテレビに出てるメディアスターでした。
竹村健一の画像をスマホにいれて「こんなかんじの1:9分けを、今っぽくおねがいします」と、なじみの美容師へ最初にお願いしたとき、わたくしの美容師は、「う...」と言ったきり言葉を失った。そもそも1:9分けというヘアスタイルをやったことがないらしい。
「いやいや1:9は、つまりアンシンメトリーということで、それをツーブロックにすればクールなスタイリングの誕生です」とかなんとか、うまく言いくるめてやってもらったんだけど。
そういうわけでーーロッカーであれ芸人であれライターであれ、ステージに立つ人間は、何歳になっても髪型は大問題なのだった。ちなみに自分は、ロフトプラスワンに出始めた25年前からスキン→ドレッド→アフロ→と髪型をいくつも変えている。髪型がずっと同じだと気持ちが保守的になるようでいやなのだ。竹村健一にする前はデリック・メイ...からの映画『レイド』のヤヤン・ルフィアンという流れ。というわけでーー今月から自分の半径180センチの大問題をテーマにコラム書きます。よろしくどうぞ。
若き日のビリーコーガン。
最近のビリーコーガン。
飯島元首相秘書官。
ファッションリーダーは竹村健一
ヤヤン・ルフィアンもいい。
いまの自分。
石丸元章/いしまるげんしょう
ライター。1965年生まれ。著書に、『SPEED』 『平壌ハイ』『覚醒剤と妄想』、翻訳に『ヘルズエンジェルズ』など。近著に『霊園にて-bpm198』(東京キララ社)。プラスワンやネイキッド、ロックカフェロフト、阿佐ヶ谷などいろいろイベント出てます~。