これを受け取る日が来るとは。
第三回目にして、早くも来てしまった。
これが噂の、原稿の催促というやつか…!
締切に追われ、取り立てから逃げるようにライフを送る。ストレスにより増える白髪。痩せこけた顔。あぁっ! 魅惑の文豪ライフよ! もっと! もっとオラに締切をくれ!
だがしかし。ワタシは携帯電話なるものを所有していない激レアなモンスターなので、その催促はメールのみ。見てないフリをすればなんてことはない。まだまだ心は楽だ。但野だ!
さて。と。
先ほどまで、ライブをやっていた。客席めがけ偉そうに歌を歌っていると。泣いている人が見えた。
別に「俺の歌で、人を感動させてやったぜ」ということを主張したいわけではない。ただ、本気で泣いていた。
私はスーパーバンドマンなので、ステージから「別に泣いたってかまわないが、君には何も悲しいことなんてないんだぜ。この先だって悲しいこと、なに一つないさ」という、至極無責任でポジティブな心持ちで、そいつの心ど真ん中めがけて歌っている。そうして、ひょうきんに不思議な踊りを踊ってみせて、最後にはニッコリと笑わせてやるのだ。
きっと我々は、追われている。コラムの〆切に追われている。テストに追われている。仕事に追われている。悩みに追われている。
私は、最終少女ひかさのボーカリストとして生きていくためには、すべてを音楽に捧げなくては、成せないので。時には目の前の甘い誘惑を、見過ごさなくてはならぬ。他人が器用にずる賢く、上手いことやってるように見えようが、言い訳も負け惜しみも堪えて、やるべきことをやる(って、ブルーハーブが言っていた)。それは自分が思い描いた己になるためである。って! まだ何も成していない私が語るとなんとこの文章の軽々しいことか…!
そして、きっとあなたもそうではないだろうかと勝手に思っている。自分の頑張りは自分にしか分からない。しかしそれはどこにも吐き出せず。吐き出すべきでもなく。ただ、自分の頑張りに価値が付いて、初めて我々は、認められる。その時が来るのを夢に見ている。
時には、自分が不当な扱いを受けている気分を味わっているかもしれない。しかし歩みを止めるな。私はバンドマンなので、そんな君にピッタリな歌を用意して、いつか届けることを誓おう。
しかし、理想の自分を追うあまり、追われて追われて追い込まれすぎて、心が壊れてしまっては悲しい。だから、のんびり行こう。一人ぐらいは、あなたの頑張りを見てくれてる人が現れる。
profile
最終少女ひかさ:“北海道の最終兵器”との呼び声も高い5人組ロックンロール・バンド。2013年晩春に札幌市水車町で結成。昨年、札幌のみで発売したシングル『関係者でてこい』が海を越え全国各地で話題に。今年3月に発売したタワーレコード限定シングル『いぎありわっしょい』とMVが各メディアを席巻、ライブの動員も急上昇中。