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回「51名自害! 33名病死! 宝暦治水事件の悲しき顛末」

第四回「51名自害! 33名病死! 宝暦治水事件の悲しき顛末」

2018.08.02

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▲鹿児島城横の薩摩義士の碑とくつろぐ猫(2009年3月撮影)。

 どうもちは! 連載4回目、関東では梅雨があっという間に明けて、かたや西日本では大豪雨。そして半端じゃない酷暑と予測不能な日本列島。なんだか今までの常識が通用しないゾーンに来てますね。

 とは言いつつ、日本の歴史は災害の歴史とも言えるでしょう。地震、津波、噴火、台風といろいろあります。常に問題になっていたのは河川の氾濫による被害でしょう。

 ということで、今回はその河川の氾濫を抑えるための治水の話を一つ。

 現在の岐阜県、愛知県を流れる長良川、木曽川、揖斐川の3川が合流と分岐を繰り返す複雑な場所があって、そこが昔からよく氾濫を起こして被害を出してました。そこで江戸時代中期1750年代に幕府が決断します。

 「この3川を治水して洪水、氾濫を食い止めるぞ! やるのも金払うのも薩摩藩だけど」と。当然、薩摩藩は「え? うち!?」とテンパります。そりゃそうだ、土地的には何の繋がりもない薩摩藩。

 これには理由があります。幕府からすると、遠く離れた外様大名で力のある薩摩に金を使わせたいのです。この大工事はとにかく莫大な金と労力がかかります。薩摩藩のなかでは「幕府と一戦交えるでごわすー!」て意見も出ますが、どうにかそれを抑えて幕府の命に従うことにします。

 ほんで1754年1月、薩摩藩家老の平田靱負〈ゆきえ〉を筆頭に約950名の薩摩藩士が薩摩を出発、翌2月から工事に入ります。

 しかしこの工事がまた難航。やれと言った幕府も役人を派遣して、さらに嫌がらせまでするんですなぁ。薩摩藩士はやはり武士なので、普段土木作業してません。なので人足を雇うんすけど、経験あるやつを雇おうとしても、幕府側から「その氾濫する場所に住んでるやつらを雇って金落としてやれよー」と、素人を雇わせる。そして重労働なので体力が減っていくのに「一汁一菜で倹約しろな」と粗末な食べ物しか食べることができず、みんな消耗していきます。

 そして1754年4月に事件が起こります。薩摩藩士2名が切腹したのです。その2人が担当してるエリアをちょくちょく幕府側に邪魔されて壊された、ってことによる抗議の切腹です。それ以降、抗議の切腹が連鎖、合わせて51名が切腹します。幕府側の役人も「上からは邪魔しろって言われるけど...」と板挟みになったのか、2名が切腹。

 もうプライドが凄すぎんよ、武士たち。抗議の切腹て......。

 しかしこの切腹の連鎖を責任者の平田さんは公にしません。それは「抗議の切腹は幕府への反抗と捉えられて薩摩の殿様に迷惑をかけてしまう...」との観点からでしょう。

 それでも逆境に耐えながら工事は進みます。そしたら今度は劣悪な環境か、赤痢が蔓延、157名が感染して33名が病死。さんざんな犠牲を払って1755年5月に工事は完了します。工事完了を手紙で報告した平田さん、いろんな責任をとって美濃大牧で切腹します。

 この工事である程度の治水はできたが、当時の土木技術では限界があり、ちゃんとしたのは明治になってからとも言われてます。薩摩藩が使った金は現在の価値で300億円ほどの莫大な金額。全く関係のない土地の薩摩が治水を行なったこともあり、後々鹿児島と岐阜県は1971年に姉妹県盟約を結んで今も提携し合ってるようです。

 岐阜県にも薩摩義士を顕彰する碑があり、鹿児島城の傍にも薩摩義士の碑があります。旅行のついでにみなさんも行かれてみてはいかがでしょうか!

(挿絵:西 のぼる 協力:新潮社)
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