このコラムの最初のほうに、小学校の頃仲良かったゆかりちゃん(本名)という女の子の話を書いたと思うのですが、このゆかりちゃんの他にもSちゃん(仮名)というちょっとおませな女友達がいました。
 Sちゃんのお部屋にある日遊びに行った時のこと。お部屋でひとしきり遊んだ後に、Sちゃんのお母さんがお部屋に運んできてくれたジュースなどを飲みながらくつろいでいたら、「よこたん、こういうのって知ってる?」とおもむろに何かの雑誌を見せてきました。
 なになに? と覗くと、そこには裸の女の人の写真がたくさんありました。
 他にも、まぁそうですね、端的に申し上げて性行為中の写真とか、エッチな描写の漫画とか、とにかく小学生が見るには刺激の強すぎるものがそこには繰り広げられていました。
 「え、え、なにこれ?」
 驚きつつも目が離せません。
 「私のパパがね、こういう本を買うとママに怒られるけど、絶対にSの部屋だと見つからないから隠させてくれって置いていくの」と、しれっとSちゃんは言っていました。けっこうそれって今考えると大変なことですよね、おそらく私が初めてエッチな写真を見たのはSちゃんの部屋だったと思います。
 ゆかりちゃんとSちゃんも仲が良かったのだけれど、二人はませていたのでとにかく性に関する知識は同級生の中でも飛び抜けていて、私はいつもクラクラする思いで二人の話についていこうとしたのですが(そして私は道を間違え、BLに向かっていきました。セックスは男性同士でするものだと中学生まで思い込んでいました)、二人にはある一つの共通点がありました。
 それは、俳優の織田裕二さんが好きな男性のタイプだったのです!
 「裕二クン(織田)、イケてるよね」
 「ちょー分かる」
 みたいな感じで、裕二クン(織田)がいかにかっこいいか、ある時は夢に出てきてお姫様抱っこしてくれただのという話で盛り上がっておりました。
 私は残念ながら裕二クン(織田)の魅力は分からなかったのですが、なんとなく当時のませた小学生女子の何らかに訴えかける能力を持っている人なのかもと思っていました。
 しかしある時、異変が訪れます。
 ゆかりちゃんが突如として、今で言う「歴女」になってしまったのです。
 と言うのも、ティーン向けのラノベを読むのにハマっていた彼女は、女子高生が戦国時代にタイムスリップして織田信長と恋に落ちるというストーリーのラノベに心酔してしまい、完全に織田裕二から織田信長にシフトしてしまったのです。
 そしてある日、「よこたん聞いて! 気づいてしまったの、私が好きになる人は、苗字が織田だということに!」とものすごい閃きを得たように言ってきましたが、誰でも最初の段階で気づいていました。
 ゆかりちゃんは手帳に信長の肖像画の切り抜きを挟んで眺めてはため息をつき、休み時間には信長に関する書物を読み漁るようになりました。
 「私、なんで戦国時代に生まれなかったんだろう…」と窓の外を眺めながらつぶやく彼女のアンニュイな表情が忘れられません。
 中学校に上がっても彼女の信長好きは止まらず、歴史のテストは必ず満点を取っておりました。
 でもある日、やっぱり裕二クンという結論に至っていました。
 それは、今同じ時代を生きているから、という理由で。好きな人と同じ時代を生きるって、実はすごいことなんだよと彼女に教えられました。
 
Blue Forest

FAMC-228
価格:2,200円+税
発売・販売:KADOKAWA
2016年6月15日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
01. 硝子のベッド(作詞・曲・編曲:浜崎容子)
02. 雨音はショパンの調べ(作詞:Paul Mazzolini/松任谷由実 作曲:Pierluigi Giombini 編曲:浜崎容子)
03. ANGEL SUFFOCATION(作詞:菊地成孔 作曲:浜崎容子 編曲:浜崎容子・成田忍)
04. 誰より好きなのに(作詞・曲:古内東子 編曲:浜崎容子・おおくぼけい)
05. Forever Us(作詞・曲・編曲:浜崎容子)
06. ねぇ(作詞・曲・編曲:服部峻)
07. Lost Blue(作詞・曲・編曲:浜崎容子)

 浜崎容子の6年ぶりのソロ・アルバム『Blue Forest』が好評発売中(FAMC-228/2,200円+税)。菊地成孔が作詞し、成田忍と浜崎が編曲する「ANGEL SUFFOCATION」、服部峻が作詞・作曲および編曲する「ねぇ」などの新曲を始め、小林麻美「雨音はショパンの調べ」、古内東子「誰より好きなのに」のカバー・バージョンを収録。「誰より好きなのに」のアレンジは浜崎とおおくぼけい(アーバンギャルド)が手がけている。

Live info.

SHINJUKU LOFT 40TH ANNIVERSARY『乙女の事情スペシャル』
■7月13日(水)新宿LOFT(with:キノコホテル、BILLIE IDLE?、Maison book girl)

アーバンギャルドのフラッシュバック・ワンマン Vol.3『少女の証明』
■7月30日(土)渋谷STAR LOUNGE(通常公演、追加公演ともにSOLD OUT)

代官山UNIT 12th ANNIVERSARY LIVE『ご安心ください vol.1』
■8月5日(金)代官山UNIT(with:藤井隆)

アーバンギャルド Presents 鬱フェス 2016
■9月18日(日)TSUTAYA O-EAST(with:オーケンギャルド、ムーンライダーズ、大槻ケンヂ、PANTA、真空ホロウ ACOUSTIC BAND and more...)

*その他のライブはオフィシャルサイトをご参照ください。

連載コラム一覧
  • おじさんの眼
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • さめざめの恋愛ドキュメンタリー
  • 清亜美のスナック亜美
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
  • アーバンギャルド浜崎容子のバラ色の人生
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の ああ夢城
  • ゲッターズ飯田のピンチをチャンスに変えるヒント
  • 戌井昭人の想い出の音楽番外地
  • 最終少女ひかさ 但野正和の ローリングロンリーレビュー
  • 吉村智樹まちめぐ‼
  • いざゆかんとす関西版
  • エンドケイプの室外機マニア
  • 日高 央(ヒダカトオル)のモアベタ〜よ〜
  • ザッツ団地エンターテイメン棟
  • 劔樹人&森下くるみの「センチメンタル「非」交差点」
  • 三原重夫のビギナーズ・ドラム・レッスン
  • ポーラーサークル~未知なる漫画家オムニバス羽生生純×古泉智浩×タイム涼介×枡野浩一
  • the cabs 高橋國光「アブサロム、または、ぼくの失敗における」
  • “ふぇのたす”ちひろ's cooking studio
  • JOJO広重の『人生非常階段』〜今月のあなたの運勢〜
  • マリアンヌ東雲 悦楽酒場
  • 大谷雅恵 人生いつでも初体験
  • ジュリエットやまだのイケメンショッキング
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門
  • 岡留安則 “沖縄からの『書くミサイル』”「噂の真相」極東番外地編
  • 高須基仁 メディア論『裏目を読んで半目張る』
  • 田中 優 環境はエンタメだ!
  • 吉田 豪の雑談天国(ニューエストモデル風)
  • 雨宮処凛 一生バンギャル宣言!
  • 大久保佳代子 ガールズトーーーク!!!!!
  • DO THE HOPPY!!!!!