トップ > 編集無頼帖 > > ロフトプラスワン発、ロフトブックス編集の『団地団 〜ベランダから見渡す映画論〜』

編集無頼帖タイトル

ロフトプラスワン発、ロフトブックス編集の『団地団 〜ベランダから見渡す映画論〜』 2011.12.21


danchi-coverobi_web.jpg1月下旬にキネマ旬報社から刊行される『団地団 〜ベランダから見渡す映画論〜』という書籍の校了をつい先だって終えました。
去年の12月、ロフトプラスワンのトークイベントで結成された団地好きユニット「団地団」(大山 顕[フォトグラファー、ライター]、佐藤 大[脚本家、作詞家]、速水健朗[フリーランス編集者、ライター]のお三方)の過去4回にわたるトークを再構成して収録、膨大な脚注を団地団メンバー自身に書き下ろして頂いた上、名団地のロケ写真を多数掲載した類書なき団地エンタテインメント本なのです。
内容は団地の美観や構造に対する偏愛にとどまらず多岐に渡るので説明しづらいのですが、ざっくりと言えば、映画、マンガ、アニメ、小説などに登場する団地について「団地団」のメンバー各自が深く考察しながら抱腹絶倒の大鼎談を繰り広げるというもの。
そこで語られる作品とは、新旧の『団地妻』比較(1971年のオリジナル作と2010年のリメイク作があるんですね)なんかもあったりするのですが、たとえばアニメ・特撮なら『新世紀エヴァンゲリオン』や『ウルトラセブン』、『耳をすませば』、映画なら『家族ゲーム』、『踊る大捜査線 THE MOVIE』、『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』、コミックなら『童夢』だったりと、誰もがよく知る作品ばかりなのです。
実はそこがこの本のキモで、団地というフィルターを通して誰もがよく知る作品を再検証すると、今まで窺い知ることのできなかった世界が表出してくるのです。それはまるで、誰もがよく見慣れた建物であるはずの団地をよーく鑑賞すると、今までとは異なる印象を抱く感覚に似ているのかもしれない。
「見慣れたものほど、見えなくなる。理解しているものほど、知らない。そういうものの代表が団地だったのだと思います」と大山さんがまえがきで述べている通り、よく知っているはずの団地や映画を始めとする諸作品にこれまでとは違った景色を鮮やかに見せるのが「団地団」の手腕であり醍醐味。これは毎回イベントに参加するたびに思わず唸ってしまうところです。
もともとは「団地団」のブッキング担当が本を出したいと考え、お客さんとして参加していたキネマ旬報社の方が「是非ウチから出したい」と名乗りを上げ、こちらに編集委託があったという後発参加でしたが、狭山台団地を始めとする都内近郊の5団地ロケ取材(カバー撮影を含めると6団地)も含めて非常に楽しかった。数々の名ブックデザインを手掛けてきた大岡寛典さん(「団地団」第4のメンバーと言っていいでしょう)との仕事もとても勉強になったし、個人的にはすごく収穫の大きい仕事でした。
そうそう、本書の章扉は阿佐ヶ谷住宅を舞台にしたSF漫画の傑作『ぼくらのよあけ』の著者である今井哲也さんが素晴らしい団地イラストを描いて下さったことも実に感慨深かった。この今井さんによるイラスト、大岡さんによるぐっとくるにも程がある装幀だけでも“買い”だと思います。

danchidan_cover_obi_web.jpgこのカバー、幅の大きい帯をはがすとこうなります。

danchidan_cover_web.jpgさらにカバーをはがすと……。

danchidan_hyoshi_web.jpgどうすか! このシビレる表紙!
この先、刊行記念イベントをやらないわけがないと思うので、開催の折には是非ともお買い求め下さると幸いであります。知恵熱必至の知的エンタテインメントに感嘆することしきりでありましょうぞ。

プロフィール

椎名宗之(しいな むねゆき):音楽系出版社勤務を経て2002年1月に有限会社ルーフトップへ入社、『Rooftop』編集部に配属。現在は同誌編集局長/LOFT BOOKS編集。本業以外にトークライブの司会や売文稼業もこなす、前田吟似の水瓶座・AB型。

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリ

  • mamono
  • lpo